2022年第25回日本ミステリー大賞受賞作。夏の数日をともに過ごす三組の家族を、悲劇が襲う。五歳の少女が失踪したのだ。事件性も疑われるが、行方は知れぬまま、月日が過ぎていく。長い時を経て現れ出た一通の告発状。絡み合った謎が氷解したとき、明らかになる真実に驚かされた。最初は複雑な人間関係がよくわからず登場人物のそれぞれの語り視点で語られる為、読みがたい印象だったが、中盤以降謎解きの出生の秘密が二転三転し、最後には一ひねりの意外性もあり、新人作家にしてはいい出来のミステリーだった。読み難い箇所や構成もあるが面白く読めた。
2022年2月光文社刊
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