読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

曽根圭介著「黒い波紋」

2023-11-14 | さ行
元刑事・加瀬将造(38)は、借金取りから逃げ回るロクデナシの日々を送る。ある日、30年前子どもの頃に家を出ていった父親が、孤独死したとの知らせを受ける。加瀬は父親が住んでいたボロアパートを訪ね、金目のものがないかと探すと、偽名で借りた私書箱の契約書があり、何者かが毎月30万円を送金していることを知る。さらに天井裏には古いVHSのビデオテープが隠されていた。再生した映像に映っていたのは・・・。父親の遺したVHSを使い、政治家を強請る元刑事の将造と、その政治家の父親、祖父の2代に仕えた臼杵家に大恩がある混血の老人である生方貞次郎の二人が主人公。「ゆする側」と「ゆすられる側」の視点が交互に語られるのだがクズの元刑事、どうしょうもない腐れ3代目政治家臼杵浩太、半グレの外道ととんでもない人間だらけが登場する昭和の臭いぷんぷんの人間の業の深さが随所に残るクライムミステリー小説でした。最後に表紙絵に繋がる展開は見事。
2017年6月朝日新聞出版刊


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