1964年の東京オリンピックの頃が舞台のミステリーサスペンス。終戦時の満州、そしてオリンピック開催直前の東京。二つの「昭和」を貫いて走り始めた機密列車の後ろ暗い任務、楔になろうとした男たちの、捨て身の作戦。関東軍の機密物資を日本に運ぶ途中、終戦間際の満州で二人の関東軍中尉に助けられ親を失った三人の戦災孤児耕平、志郎、早紀子。
焼け野原から復興へ・・・オリンピックを目前に急ピッチで東京の整備が進む中、日銀の現金輸送担当者が線路に転落死を遂げた。鉄道公安官の牧の捜査によって事故として処理されるはずだったその死は事件として扱わられる。失踪した幼馴染を捜す耕平、米軍の機密列車に関わる任務を与えられる防衛庁の最上、それぞれの視点を通して過去の因縁が交錯しながら徐々にストーリーは加速される。二度と交わるはずのない人生が再び交差する。そして、運命の列車は走り始める。迫力ある暴走シーンと『レーテー』って何?が最後に明かされる興味ある展開でした。人間の生き方についても考えさせてくれる小説でした。
2022年5月KADOKAWA刊
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