曙医科大を放逐され、貧乏病院で老医師の代替医として勤める「医者探偵」宇賀神晃が医学会の伏魔殿の謎に挑む。曙医科大学が開発した認知症治療薬DB‐1は、同大付属病院が実施した臨床研究で画期的な成果を上げた。重症患者三人が、ほぼ完全に脳機能を取り戻したのだ。国際的製薬企業のサニー製薬も権利獲得に乗り出した。ところが、宇賀神とは医学生からの親友の医師明石が自殺した。スクープの為には取材協力者も欺くやり手で長身の美人中央新聞社会部の医療担当記者新郷美雪、お喋りだが行動力もある病院給食サービス業者最大手の女創業者・現会長瓦田春奈と共に事件の裏に隠された驚くべき策略の謎を解くべく行動する。アルツハイマー患者と家族の間に奇蹟の時間を作り出す。その結果が死であってもその薬は患者家族にとっての貴重な薬なのか悪魔の薬なのか読む人に選択を迫る。続編宇賀神探偵の続編が期待できそうか。?
「論理って、誰かが決めるものではないと思ってる。いろんな人の思いや事情がぶつかりあって、落ち着く所に落ち着いていく。・・・結論が出るまでには、長い時間がかかる」(P282)
2019年3月講談社文庫刊
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