読書備忘録

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奥田英明著「コロナと潜水服」

2022-07-03 | 奥田英朗
5つのファンタジック短編集。5歳の息子には、新型コロナウイルスが感知できる? パパがとった究極の対応策とは・・・「表題作・コロナと潜水服」。家庭内に勃発したあることがきっかけで、主人公は葉山の古民家を借り、しばらく一人暮らしをすることに。ところが一人のはずなのに、家の中で子どもの足音が聞こえる。実はその家には・・・「海の家」。早期退職リストラ勧告に従わず、閑職に追いやられた男たちが、暇を持て余して始めた「部活」に「コーチ」が現れます。家族を養うため、会社の仕打ちに耐えてやりがいのない職場にしがみついていた男たちがどんどん強くなっていく・・・「ファィトクラブ」。プロ野球選手の恋人が、入団三年目にしてブレイクした。恋人の予想以上の活躍がうれしい反面、フリーアナウンサーの麻衣子は心配のほうが大きくなっている。彼の態度もそっけない。事務所の社長に紹介してもらった原宿の雑居ビル。道に迷ってたどり着いた先には同年代で鏡子と名乗る占い師が、ため口で語りかけてくるアドバイスとは・・・「占い師」。小さな会社を起こして、長年頑張ってきた直樹は、自分へのご褒美にセカンドカーを買うことにした。イタリアの自動車メーカー,フィアットの初代パンダ、しかも赤色を。フィアットの初代パンダは1980年代に世界で流行した人気モデルで、直樹は、若い頃に欲しくてたまらなかったのだ。ようやく新潟の中古車販売会社が所有していることがわかり、契約。わざわざ新潟まで取りに行き、ドライブしながら東京に帰ってくることにした。ところがカーナビが、当初の目的地とは全然違う場所に案内し・・・「パンダに乗って」。どの短編もホッコリ感があるがロードムービーなミステリーの「パンダに乗って」が面白かった。表題作はコロナ渦ならではの作品。
2020年12月光文社刊


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