衆議院議員の宇田清治郎は、「総理の友人に便宜を払うため、国交省や県に圧力をかけたのではないか」と総理がらみの不正疑惑をマスコミから糾弾されていた。その最中、3歳になる孫娘柚葉が誘拐された。犯人の要求は、「記者会見を開いて、おまえの罪を自白しろ。今まで政治家として犯してきたすべての罪を、だ」タイムリミットは、翌日の午後五時。動機は宇田清治郎への怨恨か。それとも、総理の罪を暴くことにあるのか。警察は、思い当たる過去の罪を事前に打ち明けてくれ、と宇田を説得するが、煮え切らない態度。保身のための駆け引きに長けた「官邸サイド」と対峙するのは、宇田家・次男の晄司。宇田一族、総理官邸、警察組織。三者の思惑が入り乱れる中、刻々とタイムリミットが迫る。
派閥の裏政治や永田町の思惑がよく分かる展開だが誰にも感情移入出来ずに不完全燃焼気味。忖度がまかり通る今の政治とシンクロして結末の意外な展開も伏線が弱くスッキリ出来ないサスペンスだった。
2019年4月文藝春秋社刊
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