「連続殺人鬼 カエル男」の続編。凄惨な殺害方法と稚拙な犯行声明文で世間を震撼させた「カエル男連続猟奇殺人事件」から十ヵ月後、事件を担当した精神科医・御前崎教授の自宅が爆破され、その跡からは粉砕・炭化した死体が出てきた。そしてあの犯行声明文が見つかる。カエル男の報復に、埼玉県警の渡瀬&古手川の刑事コンビもふたたび動き出す。釈放されたカエル男こと精神障害者の当真勝雄、勝雄の保護司で今は医療刑務所にいる有働さゆり、釈放間時下の古沢冬樹、そして有働の弁護を担当する悪徳弁護士の御子柴。多くの役者が揃う中、どんな捜査が行われるのか、埼玉県警の古手川の回想場面が多く挿入されて前回を振り返る展開。
刑法39条の欠陥「心身喪失者の行為は罰しない。心神耗弱者の行為はその刑を軽減する」責任主義を徹底的に批判し刑法三十九条の精神障害の扱いが今回の事件をめぐる大きな焦点となっていて、人権問題と犯罪者の更生の問題、予算不足によるお粗末な医療刑務の実態、所精神障害者の扱いなど、マスコミやSNSを用いながら市民感情なども取り上げていて面白い。結末に意外性はあるが前作を読まずに読んだため面白さは半減カモ。刑法39条の問題点の指摘だけで解決策のヒント提示がないのは不満。
2018年5月宝島社刊
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