読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

道尾秀介著「雷神」

2021-07-08 | ま行
埼玉で小料理屋を営む藤原幸人のもとにかかってきた一本の脅迫電話。それが惨劇の始まりだった。昭和の終わり、藤原家に降りかかった「母の不審死」と「毒殺事件」。 真相を解き明かすべく、幸人は姉の亜沙実らとともに、30年の時を経て、因習残る故郷へと潜入調査を試みる。すべては、19歳の一人娘・夕見を守るために・・・なぜ、母は死んだのか。父は本当に「罪」を犯したのか。村の伝統祭〈神鳴講〉が行われたあの日、事件の発端となった一筋の雷撃。後に世間を震撼させる一通の手紙。父が生涯隠し続けた一枚の写真。そして、現代で繰り広げられる新たな悲劇。ささいな善意と隠された悪意。決して交わるはずのなかった運命が交錯するとき、怒涛のクライマックスが訪れるという展開。主人公の妻の事故死と31年前に起った殺人事件が絡まりあうように進行していくハードボイルド的謎解きは面白かった。田舎の小さなコミュニティーの中で起った怨念の絡まる事件。都合よくて出来事が起きるのは仕方がないのだが、写真家でいわば“事件ハンター”ともいえる彩根が途中都合良く登場して、まとめ進行役を勤めてしまっているのだが立ち位置がイマイチ不明。誰が罪を犯し、誰を救おうとしていたのか、30年前に起きた事件の真相を探る彼らの果たした結果に救いはあったのか疑問に思った。
2021年5月新潮社刊

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