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『トクサツガガガ』が心に刺さる

2019-02-28 23:16:08 | 趣味人的レビュー

同名のマンガが原作のNHKドラマ『トクサツガガガ』。第1話放送時にはtwitterのトレンドワード・ランキングで世界1位になったという。一応どんなドラマなのか知ってもらうため、予告編を貼っておく。

 

私は金曜のドラマ10枠のドラマが好きでよく見ているので、『トクサツガガガ』も第1話から見ているが、第6話はマジで刺さった。

第6話は、仲村叶(かの)(小芝風花)とお母ちゃん(松下由樹)が、叶の趣味であり生きがいでもある特撮を巡って全面対決する。

正月も何だかんだと理由をつけて実家に帰らない主人公、仲村叶(かの)(小芝風花)の住む部屋に、合い鍵を手に入れたお母ちゃん(松下由樹)が急に訪ねてくることになった。お母ちゃんがそっちに向かった、という知らせを兄から受けた叶。娘が特撮ヒーローものを見るのが大嫌いのお母ちゃんに特撮ヒーロー・グッズが並ぶ部屋を見られてはアウトと、兄の協力で外の店を予約し、そこで母と会うことに。店では渾身のご機嫌取りで、何とかいい雰囲気を作ることに成功する叶。だが…。

この第6話では叶が少女時代、大事にしていた特撮ヒーローものの雑誌をお母ちゃんが焼き芋するのに燃やしてしまった話なども登場するのだが、私も小学校低学年の頃、『ゲゲゲの鬼太郎』が大好きで、東京の親戚の家に遊びに行った時、『鬼太郎』の絵本を買ってもらったのを激怒した父親に(父も母も私がそういう本を読むことを本当に嫌っていた)、風呂の焚き付けにされてしまったことがある。その夜、ワンワン声を上げて泣く私に向かって、『鬼太郎』の絵本を焚き付けにした風呂に入りながら父が「いつまでも泣いてるなら、お前も一緒に燃やしちまうぞ!」と怒鳴り声を上げたのをよく覚えている。

その後も、私は小学校の図書室でシャーロック・ホームズと出合ってミステリに開眼し、中学に入った頃から海外ミステリを本格的に読み始めた。けれども、それも父や母からは「そんなものばっかり読んで、お前、何する気だ。将来は人殺しにでもなるんか」と言われ、元々大した額ではなかったが(中学の時、友達からある時「小遣い、いくらもらってる?」と聞かれたので、その額を答えて「お前は?」と聞き返したら「かわいそうでとても言えない」」と教えてもらえなかった)その小遣いももらえなくなり、それが高校を卒業し予備校を出るまで(一浪してるので)続いた。

そんな状態でもミステリ熱は止まず、さすがに予備校時代は冊数は減ったが、現在までずっと読み続けている。今なら図書館で借りることもできるが、あの頃の田舎の町の図書館──というか図書室──にあるのは、せいぜい横溝正史ブームを受けての「横溝正史全集」くらいなもので、私が読みたい海外ミステリなんて全くなかったから、コツコツ買ったものを部屋に隠していた。が、それが部屋の掃除に来た母親に全部見つかって大騒ぎになったことがあった。「こんなものが買えないように小遣いも渡してないのに、これはどういうことだ? お前、万引きしてるのか!」と。

もちろん万引きなどしていない。実は中学、高校では給食費とか授業料とか修学旅行の積立金とか、冬にはストーブに使う灯油代とかを毎月学校に現金で持っていくので、親にはその額を1000円くらいずつ多めに言って、差額を小遣いとして頂戴していた。当時、文庫本は100~400円くらいだったから、そのカネと正月にもらう年玉を小出しにして使っていれば、それなりにミステリを買うことができたのだ(その代わり、仲間内の付き合いで学校帰りに買い食いするとかは一切なし。まあ一緒に買い食いするような友達もいなかったからね)。

結局、見つかった本は全て没収された。その後も隠していた本が見つかることが何度かあって、その場で破り捨てられたり、時には燃やされたりしたこともある。そういうことが続くと、もう目の前で大事な本やメチャクチャにされているのを見ても、心が凍りついたように無反応になって何の感情も湧いてこなくなってしまうのだ。そういえば高校の時のある日、父から吐き捨てるように「お前には子供らしいとこが全くねえ。まるで年寄りみてえだ」と言われたことがあったっけ。

『トクサツガガガ』第6話を見ていたら、あの当時のことが甦ってきて平静ではいられなかった。ただ、あんなヒドいことをする親はウチくらいだろうと思っていたが、そうではないんだねー(第6話のようなことを原作者自身が体験してるか、そういう話を誰かから聞いた、ということなのだろうから)。それが分かっただけでも同志を得た気分だ。さて、最終回となる第7話では、この件にどう決着がつけられるのだろう。


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