深く潜れ(Dive Deep)! キネシオロジー&クラニオセイクラル・ワーク(クラニオ)の蒼穹堂治療室

「ココロとカラダ」再生研究所、蒼穹堂治療室が送る、マニアックなまでに深く濃い、極私的治療論とお役立ち(?)情報の数々。

結界列島

2019-02-16 11:54:49 | 趣味人的レビュー

陰陽師、安倍晴明には正室のほかに五人の側室がいた。彼は正室の子だけでなく側室との間に生まれた子たちにも陰陽師としての力を伝授し、その子孫はやがて、それぞれ五行の木・火・土・金・水の属性が配された五つの家──陰陽師五家──となり、正室の生んだ晴明の次男の血を引く宗家(注)とともに、安倍晴明の呪術を継承する陰陽師六家として、今日まで歴史の裏で様々な呪術師集団と霊的攻防戦を繰り広げていた!
(注)長男の血を引くのが土御門(つちみかど)家。

──などと書くと、「何だ、また深夜アニメの話かぁ…┐( ̄ヘ ̄)┌ ヤレヤレ」と思われるかもしれない。が、その陰陽師六家のうちの水の家系、第27代陰陽師を名乗る安倍成道による『日本の結界』を読むと、そんな荒唐無稽な話が現実にあるという。

以下、そこに書かれたことが全て事実だとすると…

日本には古来から様々な場所に結界が張り巡らされた、まさに「結界列島」とでも言うべき状態にある。陰陽師が登場する以前から、例えば役小角(えんのおずぬ)=役行者を始祖とする修験道などによる結界、奈良から長岡京を守るために張られた結界(平城京から長岡京への遷都は強大になりすぎた奈良仏教勢力から帝を守るためだった)などがあり、更にその長岡京が様々な呪いを受けたため平安京へと遷都した折には、長岡京から平安京を守るための結界が、安倍晴明の師匠に当たる賀茂氏によって構築され、現在に至っているという(なお、京の町のマス目を描くように縦横に張り巡らされた道は唐の都、長安をモデルにしたと言われているが、実はその道1本1本が賀茂氏による結界なのだという)。

このように陰陽師は代々、帝に仕える者たちだったが、特に戦国時代以降は陰陽師の持つ「先読み」(どちらかというと「未来予知」というより「未来予測」の色合いが強いと思われる)の力を求めて大名がこぞって彼らを召し抱えるようになり、各地で軍師として活動する陰陽師も増え、そのことが近畿などが中心だった結界が日本中に張り巡らされる一因にもなった。また大名に仕える陰陽師にとっては、主君の命運が自身や一族の生死に直結するため、その「先読み」はまさに命懸けのものであったという。そして安倍成道は、桶狭間の合戦での今川義元の敗死や豊臣政権の崩壊の裏に陰陽師や結界の存在があったとしている。幕末・明治期にも陰陽師の親子で一方が薩摩、一方が長州について、互いに殺し合うといったこともあったようだ。

そのように日本各地には様々な目的で大小の結界が張られているが、逆に意図的にそれらの結界を壊している者たちもいる。例えば山岳地帯は修験道にとっての聖地でもあるため、そこではしばしば結界を巡って陰陽師と修験者とのパワーゲームが繰り広げられている。また例えば北陸の海岸線は大陸からよからぬものが入ってくるのを防ぐため結界が欠かせないが、この結界も昔から張っては壊されるを繰り返しているという。安倍成道によれば、ここの結界張りを担当しているのは陰陽師六家の中の金の家系、とのことなので、陰陽師六家の特に金の家系の結界を熟知した何者かとの間で、遠い過去からこの地を舞台に目に見えない攻防戦が繰り返されているのである。

さて、今年(2019年)は現在の天皇が譲位し新たな天皇が即位することになっている。当然、それに合わせて陰陽師六家による(皇居を中心とした?)結界の張り替えや手入れなども行われているはず。ところで何かと天皇との確執が取り沙汰される安倍官邸だが、官邸もまた陰陽師六家とは違う何らかの呪術師集団を擁して、御所との霊的闘争を繰り広げているのだろうか?

※「本が好き」に投稿したレビューを加筆修正したもの。


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