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「ココロとカラダ」再生研究所、蒼穹堂治療室が送る、マニアックなまでに深く濃い、極私的治療論とお役立ち(?)情報の数々。

何か面白いことはないかと劇場に出かける

2020-08-04 19:57:48 | 趣味人的レビュー

7/3に燐光群の舞台『天神さまのほそみち』を見に行ったのに続いて、8/1は演劇実験室◎万有引力の舞台『√何か面白いことはないかと劇場に出かける』を見に行った。場所は燐光群と同じく下北沢のザ・スズナリである。

この『√』は「疱瘡譚または伝染する劇」と「眼球譚または迷宮する劇」の2本からなっていて、そのどちかを選ぶ。ちなみに劇団のHPによると

「疱瘡譚または伝染する劇」は、アントナン・アルトーの「演劇とペスト」と、その演劇論を寺山修司が大胆に意訳作品化した「疫病流行記」を題材に、疫病と演劇、観客と演劇、劇場と演劇との関係性(引き合う孤独の力)を改めて問い直そうというものである。(後略)
「眼球譚または迷宮する劇」は、これまでの万有引力の記録映像からアンソロジー的にまとめた、謂わば、「終わってしまった公演の『予告篇』」である。(後略)

となっている。で、私が見たのは「疱瘡譚または伝染する劇」。やはり新型コロナの感染拡大が日々取り沙汰される今、見に行くならコレだろうと。

7月中旬に新宿の「シアター・モリエール」での舞台公演で感染のクラスターが発生したことで、もしかして『√』にも何らかの影響(最悪、公演中止とか)があるのでは?、という心配は頭の片隅にあって、予定通り公演が行われているのか、行く前にHPを確認したほど。

燐光群の『天神さまのほそみち』は、開場時に検温があり、手指消毒が求められたこと、客席が一つ置きになっていたことを除けば、普通の舞台公演だったが、万有引力の『√』は劇団員は全員マスクかそれに類するものをして観客に対しては一言も発さず、ジェスチャーと張り紙で検温、手指消毒に加えて、半券を自分で切り離して箱に入れるように指示。そして客席は一つ置きになっていることに加えて全てコの字型の衝立で囲われ、まるで個室で舞台を見るような感じになっている。その上、舞台でもやはり役者陣は全員マスクかそれに類したものをしてセリフをしゃべる、という徹底した感染対策ぶり。

普通の劇団の普通の舞台でそれをやったら、さぞ異様というか痛々しいものに見えただろうと思うが、万有引力の場合、普段の舞台からして異様なので「そういうのは全部、演出のうちでしょ」と言えてしまうところがコワい。実際、見ていて何の違和感も感じなかった。「そうそう、万有引力の舞台ってこんな感じだよ」と。

疫病患者の出た家の扉は、すべて釘づけにされた。そして釘づけにされた扉の中では、新しい世界がはじまっていたのだった。
─── ダニエル・デフォー

という字幕で始まる「疱瘡譚または伝染する劇」の内容は(万有引力の舞台が全てそうであるように)言葉で簡単に書き表せるようなものではないが、疫病とはある種の狂気を伝染させるものと考え、演劇の本質もまたそれと同じだと主張する。私にはそれが、このコロナ禍の中での演劇人の矜持を示したものに感じられた。

さて、1カ月ぶりの東京への往復となったが、やはり都内に入ると(体の外側であれ内側であれ)コロナを持ってる人の多さが草加界隈とは全然違うな、と実感する。もちろん草加と渋谷や下北沢では街を歩いてる人の数がそもそも違うが、人数ではなく割合から見ても明らかに違うと感じる。とはいえ、都内でコロナを持ってそうな人の割合が7月初頭と比べて大きく増えた感じはないので、東京に関しては7月後半からの新規感染者の急増は、PCR検査を増やしたことで元々いた感染者がより炙り出されるようになった、ということだろう(ただ地方都市についても同じことが言えるかどうかは分からない)。


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