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ポジティヴ・バカに捧げる『嫌われ松子の一生』

2006-05-28 19:48:48 | Weblog
本当は映画『ダ・ヴィンチ・コード』を観に行こうと思っていたのだが、かなり評判が悪い(NewsWeekの記事ではメタボロ)ので、急遽予定を変更し『嫌われ松子の一生』を観に行く。これでもか、というほど転落していく松子の人生の奇跡が、なぜかとっても光り輝いていて、いい厄落としができたような気分。

荒川の河川敷で一人の女の死体が見つかる。川尻松子、53歳。遺体には激しい暴行を受けた痕跡があり、警察は殺人事件として捜査を始める。そして松子の住んでいた、荒川にほど近いアパートに、松子の甥が父親(松子の弟)から言われて、遺品を整理するために現れる。ほとんど「ゴミ屋敷」と化していた、そのアパートを片づけながら、甥は松子の一生に思いを馳せていく。

その松子の人生は、とにかく絵に描いたような転落を辿る。中学の教師となったまでは良かったが、修学旅行中の不祥事によって退職を余儀なくされる。その後、作家の卵と同棲するが、暴力を振るわれたあげく男は自殺、生活のためトルコ嬢に身を落とす。一時はその世界でトップを取るが長くは続かず、ついには同棲中の男を殺し、逮捕、投獄…。「幸せ」を掴もうとすればするほど、止めどなく「不幸せ」掴んでしまう松子。その姿は悲惨ではあるけれど、決して暗くはない。

もちろん、それには、昭和歌謡をたっぷり詰め込んだ、チープでキッチュな「おとぎ話」風の作りが大きい。しかし、別の見方をすれば、「どんな悲惨な人生でも、そこにはいつも、光り輝いている何かがある」のかもしれない。そう、それがたとえボロ切れのようになって死んでいく人生であったとしても。

本屋に行くと、「成功本」がやたら目に付く。「成功者になるための…」「1億円稼ぐための…」…。ああ、どこもかしこも「前向きに」「夢に向かって」「目指せ大金持」のポジティヴ、ポジティヴ、ポジティヴの大合唱だ。もちろん、ポジティヴに生きることは悪くない。夢に向かって努力することは素晴らしい。しかし、陽あれば陰あり。光あるところには影がある。コンサルタントの神田昌典氏も強調しているが、ポジティブに傾きすぎると、ネガティヴな部分もまた同じように広がっていく、のである。

「成功本」や「成功セミナー」に毒されたポジティヴ・バカには、この『嫌われ松子の一生』は、そんな陰陽のバランスを取るために最適な1本なのではないか。転落人生を爆走していった松子は、実は天国へと続く「ヤコブの階段」を昇っていたのかもしれないのだから。

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2 コメント

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Unknown (おりご)
2006-05-29 02:54:56
はじめまして。

書き込みは初めてなのですが、ココ2ヶ月ほど楽しく拝見させて戴いています(*^ー^*)

とかく目を惹くのが『人間の体の不思議を垣間見た症例シリーズ』だったりする訳ですが、自分でも想定外なジャンルでの初レスに少々意外性を感じています(^^;



といっても、ココずっとポジティブとか前向きとかそんなのばっかりでかなり食傷気味だったトコロへ先生のコメントと出会い、読ませて戴くコトによって、もうホントとってもすっきりしました♪

こういうのって必然だなぁ~と感じます(〃▽〃)

また、『ポジティブに傾きすぎると、ネガティヴな部分もまた同じように広がっていく』というのも興味深かったです。



『嫌われ松子の一生』映画は観ていないのですが、先日サイトを熟読したばかりだったのでとっても共感、素敵なレビューだと思いました。

またちょこちょこ遊びに来たいと思います。
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コメントありがとうございます。 (sokyudo)
2006-05-30 13:23:36
ブログを見て下さってありがとうございます。



ポジティヴであることは、もちろんいいことですが、それ一辺倒というのは、健全じゃありませんよね。神田昌典氏は、成功の絶頂で大病を患って死にかけたり、家族が崩壊したりするのは、陰陽のバランスを取るための仕組みが働くからだ、というようなことを言っています。



私は成功とはほど遠い生活を送っていますが、こういうネガティヴな映画には、なぜか少し救われたような気持ちになりますね。
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