女子高生4人組の南極への旅を描いて、「ニューヨーク・タイムズ」のレビュアーなどからも高い評価を得たTVアニメ『宇宙(そら)よりも遠い場所(よりもい)』の制作チームが再結集して作られた劇場アニメが『グッバイ、ドン・グリーズ』だ。
『ドン・グリーズ』で描かれるのは、男子高生(?)3人組の(使われている方言から多分)茨城の山の中の冒険譚である。南極大陸から一転して茨城の山の中というのもスケールダウン感が半端ないが、物語は決してショボくない(し、合わせて南極に匹敵するもう1つの冒険の地も登場する)。けれども、『よりもい』でも南極は彼女たちの冒険への動機づけの1つに過ぎなかったように、遠い異境の地を旅することが冒険なのではない。『ドン・グリーズ』ではそのことが、より明確に語られている。冒険とは自分にとっての宝物を見つけることなのだ、と。
あなたにとっての宝物は何ですか?
中学時代、陰キャでクラスで浮いていた鴨川朗真(ロウマ)と御手洗北斗(トト)は、2人でドン・グリーズを結成し秘密基地を作っていた(ちなみに、この「ドン・グリーズ」は、『あの花』の「超平和バスターズ」と同じくらい変な勘違いでつけられた名前だ)。中学を卒業するとトトは東京の高校に進み、地元に残ったロウマは1人で基地を守ってきた。その高1の夏、ロウマと帰省したトトの前に、アイスランドから来たという佐久間雫(ドロップ)が現れて、ドン・グリーズに加わる。そして祭りの夜のある出来事をキッカケに、3人は山の中の冒険に出発することになるのだが…。
──もし明日世界が終わるとしたら、その瞬間、何を後悔する? 僕はね、この広い世界のどこかにある、僕の宝物を見つけられないままに終わってしまうこと。それを一番後悔すると思うんだ。
物語のクライマックス、大きなサプライズ──ストーリーの上での、そしてビジュアルの上での──が待っている。その時、私はそのサプライズを見ながら、「それでも、これは俺が見たい風景ではない」と思った。私が見つけ出すべき宝物はそこにはない。私の宝物は、彼らドン・グリーズのそれとはまた違うものだ。私にとっての宝物とは──。
さて、あなたにとっての宝物は何ですか?
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