深く潜れ(Dive Deep)! キネシオロジー&クラニオセイクラル・ワーク(クラニオ)の蒼穹堂治療室

「ココロとカラダ」再生研究所、蒼穹堂治療室が送る、マニアックなまでに深く濃い、極私的治療論とお役立ち(?)情報の数々。

大鳥の来る日

2013-12-21 10:22:18 | 趣味人的レビュー

12/20夜、豊島公会堂にJ・A・シーザーのコンサート『大鳥の来る日-The End Of The World-』に行ってきた。ロック・コンサートなんて行くことはまずないのだが、J・A・シーザーのコンサートなら行かずばなるまい。

演劇実験室◎万有引力から届いた案内によると、去年の5月に32年ぶりのコンサートを新宿でやったらしいが、それは全く知らなかった。今回はそれから更に1年半ぶりの、一夜限りのコンサートだった。


私はロック・ファンじゃないのでロックのことはほとんど何も知らないが、いわゆるロック・ファンを自認する人たちでもJ・A・シーザーの名を知っている人はほとんどいないんじゃないだろうか(そうじゃなっかたらスマン)。なので、(かく言う私も、それほど知っているワケじゃないんだが)J・A・シーザーについて簡単に紹介すると…

J・A・シーザーと名乗ってるけど、れっきとした日本人。

1960年代、新宿の3大フーテンと呼ばれた人たちがいて、その中の1人がJ・A・シーザー。もう1人はイエス・キリストといったそうだが、残る1人の名前は知らない(ゴーダマ・ブッダだったりすると『聖(セイント)☆おにいさん』になってしまいそうだ)。

で、いきさつはよく知らないが、寺山修司が主宰した演劇実験室◎天井桟敷の音楽を担当することになり、寺山の死後も天井桟敷の後継劇団である万有引力の音楽(と演出の一部も)をずっと担当し続けている(だから他の劇団が寺山作品を上演する際も、音楽:J・A・シーザー、となっていることが多い)。

他にアニメ『少女革命ウテナ』の音楽も担当していたらしいが、基本的にJ・A・シーザーの音楽は寺山演劇のBGMとして使われてきたので、その特異性(J・A・シーザーのロックは説教節をベースにした、説教ロックとも呼ばれる非常に土俗的なもの)とも相まって、一般の人に広く知られるということがなかった。

だから曲名なんて書いても、そもそもこれを読む人にはどんな曲かわからないだろうから意味ないのを承知で、それでも曲名を見るだけでも面白いので今回のコンサートで演奏された曲を以下に挙げると…

◆第一部◆
01.絶対運命黙示録
02.天使創造すなわち光
03.ワタシ空想生命体
◆第二部◆
04.煙草極楽浄土
05.鎌倉外人歩抄
06.母捨般若経~母恋しや珊瑚礁
07.越後つついし親知らず
08.ジンギスカン
◆第三部◆
09.子供和讃
10.桜暗黒方丈記
11.天幕エレジー
◆第四部◆
12.犬神サーカスジンタ
13.のどきからくり赤い帯
14.霊燕記
15.風見鶏マリー
16.惜春鳥
17.サキの夢
18.盲目ばやし
◆第五部◆
19.子供遊戯七夜の祝ひ
20.被愛妄想鈴蘭燈
21.田舎モンという名の恐ろしヤンマ鬼蜻蛉
22.累々賛歌~夢の地獄~
23.最後の地獄
◆第六部◆
24.大鳥の来る日

このうち第一部が『少女革命ウテナ』で使われたもの。また第三部、第四部では万有引力の役者陣が出演し、舞台を見せ物小屋に見立てての演奏になった。

私自身は寺山作品をこれまで何度か観てきて、その中でJ・A・シーザーの音楽を耳にしてきたが、それを舞台とは切り離した「音楽」として聴いてみると、それは唱歌のようでもあり、子守歌のようでもあり、民謡のようでもあり、神楽のようでもあり、謡いのようでもあり、オラショのようでもあり、祈りのようでもあり、呪いのようでもあり、何とも計り知れない。

恐らく寺山修司は自らの言霊とJ・A・シーザーの音霊とをぶつけ合うことで、あの呪術的な演劇空間を現出していたのだろう。

コンサートでは、J・A・シーザーは何度も水を飲み、ブラジルの知人から送られたというプロポリスを口にしながら謡っていた(そう、「歌って」いたというより「謡って」いた)。ノドがもたないのだそうだ。途中のトークでも、「(コンサートは)これが最後かもしれない」みたいなことを語っていた(毎回そう言ってるらしいが)。

会場となった豊島公会堂は、昔通っていた小学校の講堂を思い出させる、都心にあるとは思えない垢抜けない作りが、J・A・シーザーのコンサート会場にはピッタリだった。


次回のコンサートはいつになるのか、いや果たして次回があるのかどうかもわからないが、もしまた1年半後くらいにあるなら、ゼヒ行って自分の体をJ・A・シーザーの音霊で満たしてみるべきだ。

それから、試しにYouTubeで「J・A・シーザー」で検索してみると、結構アップされていることがわかった。最後にその中の1つ、映画『田園に死す』の冒頭部分を引用しよう。寺山修司の言霊とJ・A・シーザーの音霊のコラボレーションをとくと見よ。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« そして境界の彼方 | トップ | 小町さん来訪記 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

趣味人的レビュー」カテゴリの最新記事