宮崎駿の『風立ちぬ』を観に行こうと何度か頑張ったんだけれども、ダメだった。『ポニョ』を見て以来、体があのジブリのタッチを受け付けなくなってしまったのだ。結局、『風立ちぬ』を観るのは断念した。
けれども、全然ガッカリなどしていない。この秋は観たい劇場版アニメが目白押しだから。
その第1弾として『劇場版 あの日見た花をの名前を僕達はまだ知らない。(あの花)』を観に行ってきたぜ。
テレビアニメ『あの花』については、物語の概要を含めて以前このブログで「あの花」という記事で書いたので、この作品を知らない人はまずそちらを読むべし。
でも、そんなまどろっこしいことはしたくない、という人のために『あの花』という物語についてザックリ書いておこう。
BGMはもちろん「secret base ~君がくれたもの~ (10 years after Ver.)」だ。なお今回のリンクはテレビ版EDでも使われた本間芽衣子(めんま)、安城鳴子(あなる)、鶴見知利子(つるこ)の3人が歌っているバージョン。
『あの花』は先の震災直後の2011年4~6月にフジテレビ系のノイタミナ枠で放送されたテレビアニメだった。もちろん放送が震災直後になったのは全くの偶然で、高校生たちの一夏の出来事を描いた地味な作品だったので、制作側も話題になるとは考えていなかったという。
しかし蓋を開けてみたら、『魔法少女まどか☆マギカ』と並ぶ、2011年を代表するアニメ作品になってしまい、舞台となった秩父には今も「聖地巡礼」に行く者が絶えないほど。
物語は、不登校の高校生、宿見(やどみ)仁太(じんたん)のもとに小学生の時に死んだはずのめんまが成長した姿で現れたことで、小学校時代に「超平和バスターズ」として一緒に遊んでいた面々の間に起こるさまざまな葛藤を描く。
全11話だが、特に第10話「花火」と最終話「あの夏に咲く花」は必見(この2話だけ見てもダメだけど)。
で、『劇場版 あの花』は彼らがめんまと別れた1年後の一日の話──なのだが、そこに出てくる回想シーンがテレビ版の総集編になっている、というわけ。
とは言っても、劇場版はテレビ版を見ている前提で作られているため、回想シーンは時系列もバラバラで、劇場版で初めて『あの花』を見る人は、どれだけ物語を理解できるか謎だ。
今回の劇場版では、その1年後の一日のほかに、じんたんたち「超平和バスターズ」の6人の小学校時代の話が追加されている。その中でも重要なのが「かくれんぼ」のエピソードで、それがテレビ版最終話「あの夏に咲く花」のクライマックスにつながっていく。
と同時に、あの1年後の一日を描くことで、めんまと過ごしたあの夏が彼らにとって決して忘れることのできない、かけがいのない時間だったことが改めて浮き彫りになった。
そう、『あの花』とは、そんな永遠にも匹敵する一夏の物語だ。しかし、そんな鮮烈だった時間も確実に過去のものとなっていく。そして1年後、10年後、…、彼らはあの夏をどんなふうに思い出すのだろう。
俺達は大人になっていく。
どんどん通り過ぎる季節に道ばたに咲く花も移り変わっていく。
あの季節に咲いた花は何て名前だったんだろう?
小さく揺れて、触れればチクリと痛くて、鼻を近づければわずかに青いひなたの香りがした。
次第にあの香りは薄れていく。俺達は大人になっていく。
だけど、あの花はきっとどこかに咲き続けてる。
そうだ。俺達はいつまでも、あの花の願いを叶え続けてく。
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