「カバラと『生命の木』」の第18回。
第17回で第3セフィラ、ビナーまで見てきた。このビナーはケテル、コクマーと共に「至高の三角形」を形成するが、その「至高の三角形」と、それに続くケセド、ゲブラーの間に横たわる「深淵(アビス)」と呼ばれる溝の先のマルクトを除く6つのセフィロトは「ミクロプロソポス(小さな顔)」と呼ばれるものを構成する(ちなみに、これに対する「マクロプロソポス(大きな顔)」とはケテルのこと)。これがアダム・カドモン(原初の人間)であり「王」である。そして物質世界を表すマルクトは「王の花嫁」たる「女王」であり、ここで「父」と「王」と「女王」が揃うことになる。
「マクロプロソポス」と「ミクロプロソポス」はそれぞれ潜在的なるものと顕在的なるものを表し、その間の「深淵」は両者を明確に分けるものとして存在する。また深淵の中には一般に「生命の木」には表れない不可視のセフィラ、ダート「知識」がある。万物は一度、対立する二極へと分裂し、第3のものの中で結合することによって顕現する。この顕現を解く鍵がダートである。それゆえ生成のセフィラとも呼ばれるダートは、視覚、認識、意識とも解釈される。
そして「ミクロプロソポス」の最初に来るケセドは顕現宇宙の最初のセフィラであり、元型的イデアが形あるものとして現れ、抽象的なものが具象化する最初の局面である。つまり、あらゆる創造的な仕事はケセドのレベルで働いている心によってなされるのである。
ということで以下、第4セフィラであるケセド(別名ゲドゥラー)「慈悲」について述べるが、まずは動画で「木」の中のケセドの位置づけについて。
ケセドには「慈悲」と合わせて「威厳」、「愛」という属性が付随するが、それは慈悲深い王、臣民の父という魔法イメージによるものであり、更にケセドが「生命の木」の慈悲の柱の中央に位置することから、被支配者の善のための安定性、規律正しく情け深い法という魔法イメージを確立する。そこからケセドには「王たる光輝」を表す天使の位階「カスマリム」、「大いなる慈愛」を表す木星が配当されている。
ミクロコスモス的な局面においてケセドの美徳は「帰依」である。組織化され秩序立った社会で生活するためには自身のエゴを抑制し、システムに「帰依」しなければならない。逆にケセドに割り当てられた悪徳は「頑固」、「偽善」、「独裁」で、これらはいずれも社会的悪としての側面を持つ。
ミクロコスモスにおける照応は左腕とされる。左手は宝珠を持っているが、その宝珠は地球そのものを表し、それを手に持つとは万物が支配者の手中にあることを意味する。ケセドが表すのはエネルギーではなく、むしろそうした堅牢さにある。
ケセドに配当される数は4で、これはしばしば3次元の正四面体で表される(ちなみに図形としてはケテルは0次元の点、コクマーは1次元の線、ビナーは2次元の面で表される)。これは我々が世界の顕現を3次元として認識することを表している。そして当然のことながらタロットは4枚の「4」が配当される。
ケセドに献じられる動物は一角獣と馬、植物は松、オリーブ、シロツメクサ、宝石はアメジストとサファイア、そして色は青である。
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