深く潜れ(Dive Deep)! キネシオロジー&クラニオセイクラル・ワーク(クラニオ)の蒼穹堂治療室

「ココロとカラダ」再生研究所、蒼穹堂治療室が送る、マニアックなまでに深く濃い、極私的治療論とお役立ち(?)情報の数々。

クラニオで静止を重ねる 2

2014-09-11 12:34:48 | 症例から考える

前回に引き続き、アニメ『Steins;Gate』OSTから「Gate of Steiner」とともに。



「1」では自分の頭痛を治すのに、静止(stillness)への誘導を6層重ねたことまで書いた。それによって、それまでのしつこい頭痛が嘘のようにスッと消えた。

この静止の階層を重ねることに関して、フランクリン・シルズは『クラニオセイクラル・バイオダイナミクスVol.1』で次のように述べている。

静止点処理に精通してくると,静止点には異なる性質や深さがあることに気づくだろう.本来,静止には深さがあり,システムがより深い深度の静止に入っていくと異なった可能性にアクセスできる,ということを学んでいく.システムが静止点に入ると,その時に可能で,治癒処理に必要な深度の静止にアクセスする傾向がある.だからあなたは,システムに異なった深さの静止が現れ,それらの深さには異なった性質があると感じるのだろう.

そして、静止には7つの階層(あるいは深度)があると書く。

静止の7深度
・身体レベル
・感情レベル
・精神あるいは心理レベル
・ハートあるいは欲求レベル,あるいはカルマ的性向のレベル
・マインド・レベル,あるいは元型的な心のレベル
・精神あるいは魂レベル,あるいは存在そのもののレベル
・根源(the Source),あるいは一体性のレベル,空(くう)(emptiness),あるいは神

なぜ階層(深度)が7なのか、またそれが身体レベルだとか魂レベルだとか神レベルだとか、一体誰がどうやって調べたんだ、と思うが、シルズの本ではそれらの根拠については何も記されていない。

私が経験的に言えることは、静止の階層を重ねていくと実際に感じるものが変わっていくということ。ただ私には、それがシルズの本に書かれているような元型レベルだとか魂レベルだとかまでは感じ取れないし、7層を越えて静止を誘導してはいけないとも思わない。

そもそもバイオダイナミクスにおける静止の誘導は、バイオメカニクスのそれとは違って施術者は操作的に動きを止めるようなことは一切せず、ただ相手に提案するだけだ。その提案を相手が飲めば静止に入るし、飲まなければ静止には入らない。

そういうバイオダイナミクスの基本に立ち返るならば、相手が必要だと思えば7層を越えても静止に入るだろう。それは施術者側がコントロールするような話ではないし、そもそもコントロールできるはずもない。

だとすると、上に出てきた○○レベルとかいうものも多分、眉唾だ。

とはいえ、興味のある人もいるかもしれないし、何かの参考になるかもしれないから、『クラニオセイクラル・バイオダイナミクスVol.1』から以下の部分を引用しておこう。長いので、こういうことに興味のある人だけ読んでくれればいいと思う。そして、くれぐれも無批判に信じ込まないこと。

 

静止の7深度

静止の最初の三つの深度は自律神経系,辺縁系,そして大脳皮質の全般的な活動(general dynamics)と直接つながりを持っている.

1.身体レベルは静止の体験の最初の深さと考えられる.体全体に渡って深い静止の感覚があるかもしれない.身体的な抵抗は停滞支点が処理されると解決し,ポーテンシーの律動,体液の側波動(lateral fluctuations),組織の再形成が感じ取られる.自律神経系や脳幹は自律神経のトラウマ化やショック症状を放出する.施術者はこれをかすかな組織の震えや脳脊髄液の中の阻滞として感じるかもしれない.
    
2.感情レベルは,感情的なトーンやシステムに抱え込まれた感情的な蓄積の静止として感じ取られるかもしれない.感情的に良き状態(well-being)の深い感覚はここから起こる.反対に,辺縁系は静止のこの深さでトラウマティックな感情面への影響を放出するので,患者は治療セッション中に感情的なエネルギーが解放されるのを感じることがある.感情面の処理を外に現すことがここでの目的ではない.起こるのが,やさしくさりげないエネルギーの処理であることが理想的だ.感情的なエネルギーを解決すると,エネルギーの流れを体験するだろう.

感情解放(エモーショナル・リリース)の体験は患者を勇気づけるのが一般的である.これが自然治癒だと思えるからだ.しかしながら,強力な感情的トラウマの影響の現れは全く治癒されないことを指摘しておくことは重要だろう.それは再トラウマ化する可能性さえある.この文脈で,人間システムにおけるショックによるトラウマ化と治療する上でどう関わっていくかを理解しておくことが重要である.後の章でこれについての基本的な見解を紹介する.

3.精神あるいは心理レベルは,心理的パターニング,条件づけられた自己の発達的,心理動態的(psychodynamic)な層のレベルでの静止である.この静止の層で大脳皮質のメンタル・セットが開き,遷移する.過去にとらわれ反応する自己(セルフ)への洞察が生じ,発達性トラウマの自動反応を深く手放すことが可能になる.

次のレベルは本当の意味で,人間心理の無意識的な未知の領域に深く入り込んでいく始まりのところである.

4.欲求あるいはハート・レベルで,私たちの人格(パーソナリティ)システムのより深い性向が静止に入る.ここはカルマ的性向,つまり定められた欲求や本能的な命令の層である.それは条件づけられたプッシュ・プル・システムであり,ジーグムント・フロイトの"id"(英語では通常"it"と訳される)のレベルである.ここは深い無意識的な振る舞い,人間システムの基本的な本能のエネルギー,人間の複雑なカルマ的性向のレベルだ.このレベルの静止では,人生の過去の記憶が現れ,時に退廃的と呼ばれる同時代的性向が静止し,処理される.カルマ的性向が処理されるのである.無意識のまわりを回る人生の問題がより意識され,強く洞察され,明確化され,その解決が前面に現れ始めるかもしれない.

5.マインド・レベルでは,元型に裏打ちされた現実に共鳴することのできる静止の深さがある.それはビッグ・マインド(Big Mind)のレベルであり,超自我(トランスパーソナル)の可能性と体験のレベルである.元型のエネルギーとイメージが存在するかもしれない.このレベルの静止では,より大きな相互のつながりや生命のホリスティックな体験が起こり得る.人生の過程での相互性(interbeing)やつながりを体験し,認識するかもしれない.人間の状態に対する深い慈悲の心が起こってくる.痛みを互いに分かり合い,互いに起こる大いなる喜びを体験することになるだろう.それに従って,普遍的なつながりや愛を深く体験し,内なる暖かさが生じるかもしれない.

6.精神のレベルでは,個人の自己(セルフ)の感覚が消え,分裂し二つになっている問題が次第に統合と受容(openness)へと変わる.人間の状態本来の受容性や果てしない広がりを深く体験し,認識する.生命の受容性や,統合や無限性の一体化した体験での不変性の基本的な感覚がここで現れる.時に宇宙意識(cosmic consiouceness)とも呼ばれるものの体験が,境界も分離も終わったところに起こり,一つのものという深い感覚が現れる.

7.最後に,根源のレベルには,言葉で説明することのできない,偉大なるスピリチュアルな伝統が指し示す固有の真理を処理しなければならない深さが存在する.ここは,神の現れ,サトリ,ニルヴァーナ,道(タオ),といった名で呼ばれるものを認識し得る.それは全ての存在の中心にある基本的な空(くう)性や受容性の具現化,創造性そのものの中心である静止に関わるもの,完結しあらゆる可能性を包み込んだ空(くう)なのである.過去,現在,未来は互いに包含し合い,時間は意味を失う.

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