深く潜れ(Dive Deep)! キネシオロジー&クラニオセイクラル・ワーク(クラニオ)の蒼穹堂治療室

「ココロとカラダ」再生研究所、蒼穹堂治療室が送る、マニアックなまでに深く濃い、極私的治療論とお役立ち(?)情報の数々。

2022年春アニメの感想と評価 1

2022-06-24 11:36:13 | 趣味人的レビュー

2022年春期は2本の再放送を含む15本のアニメを見た(途中切りはなし)。
ちなみにアニメの何をどう評価するかは各人さまざまだと思うが、私の場合、何より物語が面白いことが重要で、作品全体の評価の少なくとも半分はそれで決まる。逆に萌えやエロといった要素にはさほど興味はないし、作画崩壊のありなしも(目に余るほどヒドいなら別だが)あまり問題視しない。

この「1」は6/24深夜までに放送が終了したものを。並びは五十音順で評価はA~E。なお再放送の1本『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』は特別編集版、もう1本の『四畳半神話大系』は私には初見だったので、新作と合わせて以下にレビューと評価を載せている。

『エスタブライフ グレートエスケープ』

『Code Geass』の監督だった谷口悟朗によるオリジナル企画で、近未来の東京を舞台にした“逃がし屋”たちの物語。エリアごとに分断され、エリア間を自由に移動することができない東京で、主人公たち4人(?)は「別のエリアに行きたい。そこで人生をやり直したい」という人たちを、エリアから逃がす手助けをしている。“逃がし屋”に逃亡を依頼する人たちの事情もさまざまで、そこからいつの時代も変わらない人間の喜悲こもごもが見えてくる。
ただ最終回を見て感じたのは、彼ら“逃がし屋”のやっていることに本当は意味なんかないんじゃないか?ということだった。彼らが逃げたい人全員を逃げたい場所に逃がしてやったとしたら、その果てにあるのは「ただ元に戻っただけ」ということになるのでは? 以前、ドラマ『ハゲタカ』で菅原文太演じる大手電機メーカーのオーナー会長が言った「やり直したければ何もせんことだよ」というセリフが思い出される。なので私としては、このアニメは『四畳半神話大系』とセットで見ることをオススメしたい。
制作はポリゴン・ピクチュアズ。ポリゴンのCGアニメというと『シドニアの騎士』や『亜人』のような、どちらかといえば乾いた空気感の作品が多かったが、この作品はより“萌え”に寄った作りになっていて、本来のポリゴンの持つドライな感じとウェットな感じが絶妙に混じり合った、不思議な空気感を醸し出している。私は萌え要素にあまり興味がないが、主人公のエクアには凄く「萌え」た。
評価はC+~B-。

『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ特別編集版』

後日談がゲームとして制作されるのに合わせて、全50話で放送された『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』を全9話の総集編にしたもの。この作品については「鉄血の孤児たち」に述べているので、そちらを参照されたい(なお、この総集編にはオリジナルの最後の4話分は含まれていないので、あの有名なオルガの「止まんじゃねぇぞ!」のセリフも出てこない)。
50話を9話に再編集ではさすがに端折りすぎの感があり、これで初めて『鉄オル』を見たという人は、彼らの結末も含めてオリジナル全50話をゼヒ見てほしいところ。
評価は懐かしさも込みでB-。

『古見さんは、コミュ症です。』2期

超絶美人だがコミュ障で人とまともに話すことができない古見さんを中心に、いずれもどこか人とは違う個性的な面々が繰り広げる学園コメディ。
1期に引き続いて見ていたものの、実はこの作品、私はあまり好きではない。その理由はタイトルにも使われている「コミュ症」という言葉遣いにある。「こみゅしょう」とは「コミュニケーション障害」の略で、だから一般には「コミュ障」と書くが、「障」を「症」の字に変えて「コミュ症」と書くと、「それは病気である」ことを表すことになる(そして実際、それを裏付けるように毎回「【コミュ症】とは、コミュニケーションを苦手とする症状、あるいはその症状を持つ人のことを指す」というナレーションが入る)。とすると、(作者の真意はともかく構成上)これは「コミュニケーション障害」で生きづらさを抱えている人たちにエールを送る作品に見せかけて、実は「コミュ症」(という心の病)を患う“病人”たちの奇妙な生態を観察する作品である、と解釈できる(その上、彼らは“病人”であるにも関わらず、誰一人、治療を受けている描写はない)。この作品のそういう偽善的で薄ら寒いところが、私はどうにも気持ち悪くて仕方がないのだ。
OLM制作のアニメーションの美麗さも十分考慮した上で、上記のような理由で私の作品全体の評価はC~C+。

『処刑少女の生きる道(バージンロード)』

異世界ものだが、現実世界から転生した主人公が異世界で無双する、という手垢のついたストーリーを逆手にとって、異世界に転生した者たちを無双させないように殺す、というのが、この物語の主人公が負う役割になっている。キャッチコピーは「これは彼女が彼女を殺すための物語」。
1話はあの『無能なナナ』的な意外性がとてもよかったが、2話以降も1話ほどのインパクトはないものの、ほのぼのしたシーンにもどこか不穏な感じが通奏低音のように流れていて、その冷たく乾いた空気感がいい味を出していた。物語の舞台となる世界では街に日本語の看板が溢れているが、それにも合理的な説明があり、細部までちゃんと作られている感じもいい。主人公の神官、メノウを始め、メノウを拾い、育て上げたフレア、メノウの後輩のモモ、そしてメノウが殺そうとしている異世界=日本からの迷い人、アカネ、彼らにつきまとう、心から戦いを愛する姫騎士、アーシュナなどのキャラクターが魅力的だし、何よりストーリー展開に心惹かれた。
評価はB~B+。物語はまだ続いているみたいで、アニメでも2期がありそうな終わり方だった。今のところ2期をやるという告知はないが、やるならゼヒ見たい。

『ダンス・ダンス・ダンスール』

踊ることの魅力に取り憑かれた男子高校生が、意を決して入ったバレエ・スクールでのレッスンや仲間との出会いを通して、プロのバレエ・ダンサーへの道を歩み出すまでを描く。ちなみにタイトルのダンスールとは、古典バレエにおいて女性ダンサーの頂点であるプリマの相手となる男性ダンサー、ダンスール・ノーブルを指す。
とにかく踊ることがテーマのアニメだから、ダンス・シーンに説得力がなければ物語を成立させられないが、もちろん第1話からその辺は抜かりない。物語展開では、それまで「男がダンスなんて」と踊りを学ぶことを避けて格闘技を習っていたいた主人公が、格闘技を止めてバレエ・スクールに通うようになる前後の描写が何ともアッサリしすぎていて(例えば格闘技の先生との軋轢はなかったのか、とか)、そこに若干の不満が残るが、それ以外は話数が進むにつれて「努力と才能」という普遍的なテーマが浮き彫りになるストーリー構成も、若者たちの人間ドラマとしてもよくできている。ただ私は主人公、村尾潤平の資質は古典バレエより、田中泯(みん)のやっている「その場踊り」のようなものでこそ生きるような気がする(が、そうするとダンスールではなくなってしまうな…)。
評価はA。一般の評価も結構高いようなので、2期もあるかも(もちろん、やるなら絶対見る)。

『トモダチ・ゲーム』

主人公(たち)が理由も分からず突然、負ければ多額の借金を背負わされたり命を奪われる理不尽なクソゲームに参加させられる、という作品。このジャンルには『ライアー・ゲーム』や『ダーウィンズ・ゲーム』といった先行作品も多く、それらとの明確な違いを打ち出せるかどうかが鍵となるが…。
このジャンルの作品は、純粋に知力で押していくものから純粋にフィジカル(というか暴力)で突破していくものまで、さまざまなバリエーションがある。この作品は本当は前者を目指していながら、実際は後者に寄ってしまっている感じ。まあ、そのことを特に云々する気はないのだが、腑に落ちない点が1つ。物語の中でこのゲームは参加者の様子を運営が監視しているだけでなく、それがライブ配信もされていて、コメントも書き込めるようになっている。そして、その映像は恐らくアニメの視聴者が見せられているものとは大きく違うはずなのだ。アニメの視聴者は参加者がゲーム中に何を仕掛けたか謎解きされるまで分からないようになっている反面、運営やライブ配信を視聴している人には参加者の心の声は分からない。つまり両者には与えられる情報に大きな違いがあるはずなのに、この作品はアニメの視聴者も運営やライブ配信を視聴している人も同じものを見ている、という前提で作られている。これはおかしい。原作自体がそうなっているので仕方がない、ということなのだろうが、そういう部分の作りはとても雑だと言わざるを得ない(他にも突っ込みどころは満載だけど)。
それでもゲスい内容がそれなりに楽しかったので、評価はC~C+。最後は第4ゲームの開始が告げられて終わるので、場合によっては2期もあるかも。

『マギアレコード・ファイナルシーズン 淡き夢の暁』

本来は2期の9~12話として放送されるはずだったのが、制作が間に合わずイリーガルな形で3期になってしまった作品。述べるべきことは「『マギアレコード』あるいは失敗の物語」に書いたので、ここでそれを繰り返すことはしないが、これまで積み上げてきた謎が1話で一気に解決するスピード感と物語の面白さという点で、今期1,2を争う出来だったと思う。
評価は1期、2期からは想像できない、まさかのA-~A。

『四畳半神話大系』(再放送)

湯浅政明監督作品で、例によってかなりくせが強いが、ハマると抜けられなくなる中毒性を有する。京大(?)に入学し華やかなキャンパスライフを夢見る「私」が、理想のキャンパスライフを送るべく時間を遡って延々と1回生~3回生をやり直す。
いわゆるタイム・リープものだが、そこに命や世界の命運がかかっていた『まどマギ』、『Steins;Gate』、『Re:ゼロから始まる異世界生活』などと違い、「一体どのサークルに入ればよかったのか」みたいに、話が妙にせせこましいのがいい。人はしばしば「あの時、こっちじゃなくあっちを選んでいたら、自分の人生変わってたかも」と思うものだが、「私」がどれだけ違う選択をしても結局は同じところをただグルグル回っているだけのこの作品を見ると、決してそんなことはなかったことが分かる。「努力では才能は凌駕できない」ということを見せつけた『ピンポン』もかなりビターな作品だったが、この『四畳半神話大系』はそれとはまた違う意味で、相当にビターである。が、それを飲み下すのが“大人”ということなのだろう。
一言で言えば「奇妙な味」の作品で、評価はB-~B。


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