深く潜れ(Dive Deep)! キネシオロジー&クラニオセイクラル・ワーク(クラニオ)の蒼穹堂治療室

「ココロとカラダ」再生研究所、蒼穹堂治療室が送る、マニアックなまでに深く濃い、極私的治療論とお役立ち(?)情報の数々。

2021年秋アニメの感想と評価 1

2021-12-22 20:06:42 | 趣味人的レビュー

2021年秋アニメは1本の再放送を含む18本を見て、途中切りは3本だった。その中の12/22時点で最終回を迎えたものと既に切ったものについて、感想と評価を述べる。なお評価は私の独断と偏見に基づいてA~Eで行っている。また順番は五十音順。

『海賊王女』

ProductionI.G.によるオリジナル・アニメ。18世紀のヨーロッパを舞台に、「〈エデン〉に向かえ」という父の最後の言葉を手掛かりに自らの運命に立ち向かうフェナと、長老の指示で彼女を守る雪丸たち真田忍群の物語。「所詮は作り話なんだから、もう思い切り振り切れたものにしよう」という作り手の気概と覚悟が感じられて、その点はよかったが、振り切れすぎて最後はこの世のものではなくなってしまったような展開はウ~ン…どうなんだろう…。戦闘シーンの迫力とキレは、さすがはProductionI.G.という出来。評価は難しいが、制作陣を覚悟を買ってC+~B-といったところか。

『鬼滅の刃 無限列車編』

劇場アニメとして制作されたものに新カットを加え、連続TVアニメとして再編集したもので、第1話は完全オリジナルの新作。既に劇場で一度見ているので、その復習のような感じで見ていた。その劇場アニメの感想は過去記事「無限列車編」で述べたとおりだが、改めて見ると、絵はufotableが作っているのでもう文句なしだが、何かというと家族の話を持ちだして泣かせにかかるところがクサくて、「もういい加減にして!」という感じ。ストーリーにも突っ込みどころ満載だが、元々「ジャンプ」のマンガなので、それは「言わぬが花」か。評価はストーリーに重きを置けばD-になってしまうが、映像のすばらしさを最大限考慮してD+~C-。

『逆転世界ノ電池少女』

見てみたものの、どうも自分にはテイストが合わない気がして1話切り。

『白い砂のアクアトープ』

2021年秋から放送していたアニメの第2クールだが、実質的に第2期ともいえる。沖縄のアクアトープ(水族館)が舞台の、いわゆるお仕事アニメ。制作はP.A.WORKSで、いかにもP.A.らしい質の高い絵作りはさすがだが、オジイがやっていて閉館が決まった「がまがま水族館」を孫娘のくくるが、アイドルだったが活躍の場がなくなって沖縄に逃げてきた風花(ふうか)とともに建て直そうと奮戦する秋の第1クールは正直、物語として面白くなかった。なので、彼女たちが新しくできた「アクアリウム・ティンガーラ」の社員として働く第2クールも期待していなくて、見ていたのは単に「第1クールを見たから」という理由だけだった。実際、全体を通して物語は面白かったとはいえないが、くくるが飼育員として働くつもりで「ティンガーラ」に入ったのに、全く意に沿わぬ広報部に配属され、パワハラ上司の下でどんどん腐っていく中盤以降はそれなりに見所はあったと思う。評価は第1クールから通してならD~C-、第2クールだけならC-~Cといったところ。

{Takt op.(タクトオーパス)Destiny}

今をときめくMAPPAとマッドハウスの共作ということで今期最も下馬評が高かったが、いざ蓋を開けてみたら、「あれ~こんなはずじゃあ…」という作品。D2と呼ばれる謎の存在の出現によって人間から音楽が奪われてしまった世界。そのD2に唯一対抗しうるものが音楽の力を宿す、少女の姿をした兵器〈ムジカート〉とそれを操るコンダクター(指揮者)。ある出来事をきっかけにコンダクターとしての力を得たタクトは、彼のムジカート「運命」とともにニューヨークを目指す(その理由は、そこが北米大陸の中で唯一D2の出現を許さず、まだ音楽が人々から失われていないから、らしい)が、コンダクターとムジカートを統べるニューヨーク・シンフォニカの最高責任者、ザーガンには秘めたる目的があった…という物語。この作品は「人々から音楽が(ほとんど)奪われてしまった世界に、再び音楽を取り戻す」という話であるにもかかわらず普通にBGMがガンガン流れるので、見ている側にタクトたちの喪失感や焦燥感が全く伝わってこない。美しい画面構成もキャラクタの流れるような動きも、物語の根本的な世界観を自ら否定するようなBGMの多用が全て台無しにしてしまっているので、評価はD+~C-。

『月とライカと吸血姫(ノスフェラトゥ)』

かつての冷戦期の米ソ宇宙開発競争をモデルにしたフィクション。世界大戦後、世界を二分する超大国となった、東のツィルニトラ共和国連邦、西のアーナック連合王国は、国家の威信をかけた熾烈な宇宙開発競争を繰り広げていた。中でもツィルニトラ共和国連邦は犬をロケットで宇宙に送ることに成功し、世界を驚嘆させた。だが大々的に宣伝された内容と異なり、実際は犬は宇宙に到達した直後に宇宙船内の温度の異常上昇によって死んでいたのだ。そこで共和国は次なる有人飛行計画の前段階として、吸血鬼を実験体とした試験飛行を行うことを決める。もちろん、成功してもそれは国家上層部と関係者以外誰にも知られることのない秘密計画であり、実施後、吸血鬼はすみやかに「処分」されることになっている。その実験体として連れてこられたのは、まだ19歳の少女だった…(なお、ここでいう吸血鬼とはある民族につけられた蔑称のようなもので、「いわゆる吸血鬼」ではない)。制作したアルボアニメーションは、これまでいくつかの作品に制作協力という形で参加したことはあるが、丸々1つの作品の制作を請け負うのはこれが初めてだったようだ。ネットによると中には「古くさい」という批判もあったようだが、やや地味ながらキッチリとよくまとまった、いい作品だったと思う。評価はC+~B-。

『プラチナエンド』

原作は、あの『Death Note』、『バクマン。』の大場つぐみ、小畑健コンビの作品。13人の天使が選んだ13人は、年老いてもうすぐ死を迎える神の後継者となるべき神候補だった。ただ1つの神の座を巡って神候補たちのデス・ゲームが繰り広げられる、という『未来日記』を思わせるような作品だが、『未来日記』には遠く及ばない。主人公が『Death Note』の夜神月(ライト)の「新世界の神になる」というような強い動機を持たず、(夜神月的な立ち位置の人は別にいるものの)何となく話に締まりがない上に、なぜか見ていると妙にイライラ、ムカムカしてくるので、精神衛生上よくないと、7話まで見たものの切ってしまった。

『ブルーピリオド』

既に「主人公と一緒に成長できるアニメ『ブルーピリオド』」という記事を出していて、そこにも書いた通り、今期尻上がりによくなっていった作品である。芸術家とは自分が一番見たくないもの、他人には絶対に見せられないものを抉り出して提示してみせる仕事であり、最後の12話も、まるで運命に導かれるように東京藝大を受験することにし、そんな芸術家の世界の入り口に足を踏み入れることになった主人公を、そのヒリヒリするような感情の動きを含めてをキッチリと描いて見せてくれた。『見える子ちゃん』と並んで今期、私が一番推す作品はこれだ。評価はB+~A-。

『見える子ちゃん』

霊感が強くて霊を見てしまう女子高生が全力でそれを無視する、という話。見る前はハッキリ言って全然期待していなかった。第1話では主人公の四谷見子たちが短いスカートで四つん這いになったりして、「なるほど、『見える子ちゃん』とは『霊が見える子ちゃん』じゃなく『下着が見える子ちゃん』だな。これはホラーに見せかけたエロ・アニメだったか」と思った。が、そうではなく、このアニメは「○○のように見せて実は○○」という仕掛けが毎回施された、視聴者の予想を(いい意味で)裏切る高度なストーリーが展開される作品だった(そういう意味ではちょっと『無能なナナ』に似ていなくもないが、物語の方向性は全く異なる)。最終話となる12話でも、しっかり意外性を見せてくれて、最後まで飽きさせない。舐めててスミマセンでした。評価はB+~A-。

『結城友奈は勇者である―大満開の章―』

安定の『ゆゆゆ』。前回の「勇者の章」で物語は綺麗に完結したはずなのに、「大満開の章」って一体何やるんだろう?と思っていたら、今回のは『ゆゆゆ』のスピンオフ小説『乃木若葉は勇者である』と『楠芽吹は勇者である』を取り込んだ、『ゆゆゆ』補完計画wwだった。時系列でいうと、1.バーテックス侵攻後のまだ元号が平成だった頃の勇者第1世代の物語「乃木若葉」→2.無印の1つ前の勇者の物語「鷲尾須美」→3.結城友奈が主人公となる無印→4.勇者になれなかった者たちで結成された防人の物語「楠芽吹」→5.勇者たちの最終決戦「勇者の章」となっていて、この「大満開の章」で描かれたのはその中の1と4~5(とその後日談)だった(そのため5のパートは「勇者の章」で放送されたシーンも結構使われている)。胸が痛くなるような展開も含めて非常によくまとまっていて、本当はAをつけたいところだが、1/3くらいが再放送に近いものだったため、評価はB+。

『ルパン三世 PART6』

『ルパン三世』を見なくなってどれくらい経つだろう? そんな私が今回「PART6」を見ることにしたのは、脚本に「押井守」の名を見たからだ。押井は『カリオストロの城』の次回作となる劇場版の監督・脚本を担当するはずだったが、「この1本で『ルパン三世』を全て終わらせる」という押井の構想に恐れをなした上層部が彼を制作から外したのだ(で、差し替えられた別の監督が撮った『ルパン三世』を見に行ったが、「見るんじゃなかった」と思うようなひどい作品だった)。そんな押井守が『ルパン三世』の脚本を!?と興味が湧いて今回は見ようと思った(なお、今回のシリーズの脚本は押井だけでなく辻真先や湊ちひろも書いている)。けれど実際に見てみると、面白いとかつまらないという以前の問題で、何も感じるものがない。何とか頑張って押井が脚本を書いた第4話までは見た(し、妙なこだわりと蘊蓄の詰まったその第4話はまだ多少面白く見られた)ものの、その先も続けて見るのはちょっと耐えられそうもなくて、切った。

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 主人公と一緒に成長できるア... | トップ | 2021年秋アニメの感想と評価 2 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

趣味人的レビュー」カテゴリの最新記事