深く潜れ(Dive Deep)! キネシオロジー&クラニオセイクラル・ワーク(クラニオ)の蒼穹堂治療室

「ココロとカラダ」再生研究所、蒼穹堂治療室が送る、マニアックなまでに深く濃い、極私的治療論とお役立ち(?)情報の数々。

ある本のこと

2008-12-09 00:57:20 | 一治療家の視点
今年はあまり本を買わなかった。いや、「今年も」か。考えてみると、毎年、自分の買う本の冊数は微々たるものだ。と言っても、それでも本を買うようになったのだから、いくらマシになったと言えるかもしれない。とにかく治療院以外に使えるスペースが狭いので、以前は本を買うことを極端に控えていて、読みたい本はなるべく図書館で借りるか、本屋で立ち読みするかで済ませていた。去年、部屋を少し整理して、押し入れを占拠していた本をかなり売ったり実家に送ったりしたため、少しスペースができて、何とか少しなら本を買えるようになったのである。

さて、今年買った数少ない本の中から1冊を紹介したい。それは、アルバート・クラインヒーダーの『病いとこころ からだの症状と対話する』(コスモスライブラリー刊)という本である。

私は上に書いたように、勝間和代のように読みたい本をどんどん買える状況にはないので、例えばamazonで「これは!」という本を見つけても、「ほしいものリスト」に入れるだけで、すぐには注文しない。この『病いとこころ』も最初は、「ほしいものリスト」に入れていただけだった。他の本ではなく、それをなぜを注文したのかといえば、安い中古が出ていたからだと思う。

送られてきた梱包を解いて本を初めて目にした時、正直ちょっとがっかりした。思っていたよりも薄っぺらくて貧相に見えたからだ(実際には、あとがき込みで130ページあるのだが)。多分、本屋にあったとしても、手に取ってみることはなかっただろう。やはり買う前に何とか実際の本を探して、見てみるべきだった。失敗した──。

それでも買ってしまったのだから、と気を取り直して読んでみた。読んでみて初めて、この本の内容の一部を知っていたことに気づいた。以前読んだアーネスト・L・ロッシの『精神生物学(サイコバイオロジー)』(日本教文社刊)の中に、それはあった──ユング派の心理療法家が自らのリウマチを、その痛みと対話することによって治癒させた話。早速『精神生物学』を見てみると、それはアルバート・クラインヘーダー(注1)のエピソードとして紹介されていた。
このエピソードは、ある患者の治療で大きな助けになり、またこの治療を通して自分の考え方が大きく転換することとなった、私にとって忘れられないものだったが、その元ネタ?が、この『病いとこころ』にあったとは!(注2) 私はそれを全く知らぬまま『病いとこころ』を買っていたのである。

(注1)Albert Kleinhederと綴る。明らかにドイツ系アメリカ人なので、ドイツ式に発音すればクラインヘーダーとなるが、英語あるいは米語式に発音を変える人も珍しくないので、どちらが正しいのかはわからない。
(注2)ちなみに、このエピソードは『病いとこころ』の「6 車椅子」の中に出てくる。

この『病いとこころ』は、そういうわけで私とは奇妙な縁でつながっていた。ちなみに、この本が届いた時、私は治療院のHPの全面作り替え作業を行っていたのだが、HPの中にこの本からの引用を入れている。実はユングの言葉を引用したいと思って『エセンシャル・ユング』(創元社刊)でユングの原典に当たったのだが、適当なものがなくてどうしようかと思っていた矢先に、この本を手にしたのである。結論から言えば、私にとってやはり必要な本だったのかもしれない。

『病いとこころ』は、このブログを読んでくださっている全ての人に必要な本だとも、よい本だとも思わない。それは、これを読むことによって病というもの見る視座が大きく変わる可能性があるためである。それを求めている人、それを必要としている人、それを受け入れる準備のできている人には、読む価値のある本だと思う。

からだはもっとも重要だ。私たちはからだを無視してきた。私たちは自分の思考や外の世界ばかりに重きを置き、からだと共に生きてこなかったのだ。からだはもっぱら研究の対象になってきた。私たちの思考は神ではなく、人間の所作である。神はからだの中にいるのだ。
『病いとこころ』より

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8 コメント

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また (nanahoshi)
2008-12-09 10:41:48
今日も匂いましたよ。 笑
「鼻が利く!」んですいけど、「どんな匂い」とかじゃなくって、文字で確認するんです。
全てを、そう感じる訳でもありませんが、鼻が反応するんです。
どうなっているのか、自分でも解りません。

>それを受け入れる準備のできている人には、読む価値のある本だと思う。

 恐ろしい御言葉です。

 準備運動を始めたいと思います。

返信する
あやかりたい! (sokyudo)
2008-12-09 13:38:03
>nanahoshi先生
>全てを、そう感じる訳でもありませんが、鼻が反応するんです。

うらやしい。私もあやかりたいですー。

ちなみに、本文には「薄っぺらくて…」などと書いた『病いとこころ』ですが、まだ読み終えていません。同じところを何度も何度も読んでしまうので──。
返信する
Unknown (ウル@俺の家)
2008-12-09 22:39:09
病とこころ・・・この言葉に全てが凝縮されてる気がします。
返信する
タイトル (sokyudo)
2008-12-10 10:40:54
>ウル@俺の家さん

ちなみに原題は
BODY AND SOUL: The Other Side of Illness
です。
こちらもシンプルだけれど深い、いいタイトルだと思います。
返信する
繋がっていくような。。。。。 (souichi)
2008-12-11 11:30:48
以前先生のブログに、
『買って(もらって)読まずに何年もほったらかしにしていた本をたまたま手にしたときに、まさに今必要なフレーズがそこに潜んでいた。』
的なことが書いてあったと記憶しております。

また、話はちょっと違うかもしれませんが、以前先生との会話の中でフォトリーディングに関し、
『本の頁を写真を眺めるように、潜在意識(記憶)の中にどんどん放り込むと、(潜在意識での認識は無くとも)その中の情報が必要な時に出てくる(ことがある)。』(私の記憶ですので、正確な先生の言葉ではありません。)
と言っていました。

最近入手して観た【神話の力:ジョーゼフ・キャンベル】の最終章の中に下記のようなフレーズが有りました。
『晩年を迎え人生を振り返った時、全ては私にとって完璧なタイミングで起こっていた。
 同様に、私とかかわりあった人達の人生にも私が完璧なタイミングでかかわっており、
 同様に、その人達とかかわりあった人達の人生にもその人達が・・・・・・・
 まるで、人生(世の中)は曼陀羅の様だった。』(私の記憶の中のフレーズです。)


マトリックスですね。


あっ これって前回のブログ『真実の奥の奥…』にも繋がっていくような。。。。。


souichi
返信する
まぁ、同じ人間が書いてるので (sokyudo)
2008-12-11 19:03:19
souichiさん、コメントありがとうございます。
souichiさんご指摘のように、今回はシンクロニシティの話なワケですが、著者のクラインヒーダーがユング派心理療法家だった、というところがミソだったりするのですね。

>あっ これって前回のブログ『真実の奥の奥…』にも繋がっていくような。。。。。

いや、まぁ裏話をしてしまえば、同じ人間が書いてるので、結局同じことしか言っていない、ということなのです。
返信する
Unknown (souichi)
2008-12-15 11:51:45
あっ
先生ごめんなさい。

先生が同じ事を言っているということではなく、
「人生マトリックスやなぁ・・・・ 」って自分に思わせる事のひとつに、先生のブログがあって。
今回の先生の書き込みを読みながら、「ユングちゃんと読むか。。。」とさらに思わされました。

でも、その前に「スティルネス」読まなきゃ。。。

souichi
返信する
お気になさらずに! (sokyudo)
2008-12-15 17:29:01
>souichiさん

決してsouichiさんのコメを悪意に取ったわけではないので、お気になさらずに!

>でも、その前に「スティルネス」読まなきゃ。。。

『スティルネス』相変わらずわからないです。

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