仙丈亭日乘

あやしうこそ物狂ほしけれ

読書録 2023年10月上旬

2023-10-10 07:21:00 | 読書録(備忘)


101

『陰陽師(太極ノ巻)』夢枕獏 2003

「二百六十二匹の黄金虫」 名作!中島敦の「文字禍」とは逆ながら。

「東国より上る人、鬼にあうこと」 月をめぐる唯識論。呪(しゅ)とは認識に他ならぬ。


103

『陰陽師(瀧夜叉姫)』上下 夢枕獏 2005

長篇。読み応えのある名作。

都での異変には将門が関わっているのか?

凄まじきかな、平将門。

将門の首を黄金丸で落とした俵藤太藤原秀郷、こんなに凄い武人だったとは!

将門の首をふた月かけて焼いて灰にした浄蔵。その話を聞いて将門の痛みに涙した博雅、いい男だ。

その将門を甦らそうという瀧夜叉姫とは?

平貞盛の「児干」のおぞましきことそして甦る将門

将門を鬼に、蠱毒の法で式神にした興世王とは?

ああ、面白かった。


104

『陰陽師(夜光杯ノ巻)』夢枕獏 2007

「月琴姫」 名とは呪であるということ。ラスト3行は蛇足。

「蚓喰法師」 最後の一文が洒落ている。

「浄蔵恋始末」 恋はかくありたきもの。


105

『陰陽師(天鼓ノ巻)』夢枕獏 2010

「紛い菩薩」 跳び麻呂あはれ

「鏡童子」 博雅、方違えを間違え鏡の中に


106

『陰陽師(醍醐ノ巻)』夢枕獏 2011

「笛吹童子」 博雅、さすがだ

「はるかなるもろこしまでも」 最期にこんな夢を見て逝きたい。

この巻で12巻合本版を読了。もっと晴明と博雅に会っていたい。


1010

『なぎさホテル』伊集院静 2011

伊集院静を初めて読んだ。

自伝的な作品ということで、初めて読むのにいいだろうと思った。

名前に似合わず、無頼な生活を送って来た人だと知った。逗子のホテルで暮らした7年がなければ、この人は作家になっていないどころか、生きてもいなかっただろう。

人と人の出会いの不思議さ、大切さをしみじみ思う。



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 映画『沈黙の艦隊』を観てき... | トップ | 蟹の冷製茶碗蒸し@丞 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿