仙丈亭日乘

あやしうこそ物狂ほしけれ

「上高地の切り裂きジャック」 島田荘司

2006-07-02 22:02:00 | 讀書録(ミステリ)
「上高地の切り裂きジャック」 島田荘司

お薦め度:☆☆☆+α
2006年6月30日読了


表題作と「山手の幽靈」、2つの中篇を收めてゐる。

表題作は、上高地で發見された、下腹部を切り裂かれて臟器を取り出された死體を巡る話。
被害者は上高地から横濱に歸つてゐた筈なのに、何故、死體は上高地で發見されたのか?
何故、臟器が剔出されてゐたのか?
この2つの謎が明らかにされるとき、事件は解決されてゐる。

「山手の幽靈」。
こちらは凄い。
山手にある新興住宅地の地下室から、その家の元の住人が餓死した状態で發見される。
しかし、彼は地下室に入ることは出來なかつた筈だし、
そもそも、その住宅を賣つてしまつた後も、居酒屋などで姿をたくさんの人に目撃されてゐるのだ。
その住宅は山の上に建てられてゐるのだが、その家の下を通るトンネルでも女性の幽靈が目撃される。
列車の運轉席の窓に、女性が逆さになつて覆ひ被さるのだ。
そして、その女性は、件の家で亡くなつた娘さんなのである。
こんな不思議な事件に合理的な説明がつくのか、讀んでゐて心配になつてくる。
しかし、さすがは御手洗潔、見事に解決してみせる。
表題作よりも、こちらの作品のはうが面白かつた。


2006年6月30日讀了


上高地の切り裂きジャック

講談社

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