「ビッグブラザーを撃て!」 笹本稜平
お薦め度:☆☆☆+α
2006年7月28日読了
笹本稜平が「時の渚」で第18囘サントリーミステリー大賞を受賞してデビューしたといふのは周知の事實だ。
しかし、それ以前に、阿由葉稜といふ名前で「暗號-BACK・DOOR」といふ作品を書いてゐた。
それを改題したのが、この作品なのださうな。
コンピュータ・ソフト會社に勤務してゐる石黒悠太は、友人の變死の場に居合せてしまふ。
そして、その友人から托されたのは、世界最強の暗號ソフトだつた。
その暗號ソフトを巡り、悠太は、國際的な謀略組織「ビッグブラザー」との鬪爭を餘儀なくされてしまふのであつた。
面白い。
讀んでゐて、確かに面白い。
しかし、國際的謀略組織「ビッグブラザー」にリアリティが感じられない。
どうしても、おとぎ話のやうな感じがしてならない。
それは、「ビッグブラザー」といふ組織の得體の知れなさを強調しやうとすると、その組織を詳細に説明するわけにいかない、といふ矛楯によるのかも知れない。
また、最後には或る種の「どんでんがへし」があるのだが、それも讀者にはだいたい豫想がついてしまふ。
家族を守らうとする行爲と、世界的な陰謀を防ぐといふ行爲の間にあるギャップにも違和感が殘る。
つまり、面白いけれど心に殘るものが少ない、そんな感じのする作品だ。
「天空の囘廊」や「太平洋の薔薇」などの素晴らしい作品を生み出すには、もう少し時間が必要だつたといふことだらう。
2006年7月28日讀了。
お薦め度:☆☆☆+α
2006年7月28日読了
笹本稜平が「時の渚」で第18囘サントリーミステリー大賞を受賞してデビューしたといふのは周知の事實だ。
しかし、それ以前に、阿由葉稜といふ名前で「暗號-BACK・DOOR」といふ作品を書いてゐた。
それを改題したのが、この作品なのださうな。
コンピュータ・ソフト會社に勤務してゐる石黒悠太は、友人の變死の場に居合せてしまふ。
そして、その友人から托されたのは、世界最強の暗號ソフトだつた。
その暗號ソフトを巡り、悠太は、國際的な謀略組織「ビッグブラザー」との鬪爭を餘儀なくされてしまふのであつた。
面白い。
讀んでゐて、確かに面白い。
しかし、國際的謀略組織「ビッグブラザー」にリアリティが感じられない。
どうしても、おとぎ話のやうな感じがしてならない。
それは、「ビッグブラザー」といふ組織の得體の知れなさを強調しやうとすると、その組織を詳細に説明するわけにいかない、といふ矛楯によるのかも知れない。
また、最後には或る種の「どんでんがへし」があるのだが、それも讀者にはだいたい豫想がついてしまふ。
家族を守らうとする行爲と、世界的な陰謀を防ぐといふ行爲の間にあるギャップにも違和感が殘る。
つまり、面白いけれど心に殘るものが少ない、そんな感じのする作品だ。
「天空の囘廊」や「太平洋の薔薇」などの素晴らしい作品を生み出すには、もう少し時間が必要だつたといふことだらう。
2006年7月28日讀了。
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