11月25日
『未踏峰』(上・下) 森村誠一
1989年5月刊行
再読。三読?
夏の八ヶ岳で出会った男女8人の大学生のその後の6年間を描いた長篇。
ヒマラヤを目指す雪吹は、大方の予想通り、ヒマラヤの8,000m峰登頂後に行方を断つ。
この作品の真ん中にいるのは、大財閥の馬鹿息子、北上栄二だ。
八ヶ岳の8人のうち、一人の女を妻にし、一人の女を愛人にする。さらには一人の女の姉を殺した疑いと一人の男の父を殺した疑いまでかかっている。
なんともご都合主義的存在だが、この男の存在で物語は回っていく。
最後にすべての罪を暴かれて、この男は逮捕されると思いきや、さにあらず、そのシーンは描かれない。
8人のうち4人が八ヶ岳に登り、6年前に出会った横岳の稜線で来し方を回想する。
作者はあとがきで、この作品は「わたしにとって『一期一会』の作品である」と書いている。
ぼくには、これがそれほどのものとは思えなかった。
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