仙丈亭日乘

あやしうこそ物狂ほしけれ

「陽気なギャングが地球を回す」 伊坂幸太郎

2006-04-30 11:17:38 | 讀書録(ミステリ)
「陽気なギャングが地球を回す」 伊坂幸太郎 

お薦め度:☆☆☆☆
2006年4月25日読了 


2004年2月に 「オーデュボンの祈り」 を讀んでその才能に吃驚したのが、伊坂幸太郎作品との出會ひだつた。
その後、2005年5月に「ラッシュライフ」で、この人の才能の豐饒さに確信を持つた。
そして、今囘のこの作品だ。

映畫化されたらしく、書店でも平積みされてゐる。
前2作とは趣の異なる作品のやうだ。
裏表紙には「ハイテンポな都會派サスペンス」と書かれてゐて、興味を掻き立てられた。

ストーリーは、4人の銀行強盜グループの話。
綿密な計畫に基いて銀行強盜を成功させた主人公たちだつたが、逃走中にその強奪した金を、別の現金輸送車襲撃犯たちに強奪されてしまふのだ。
とんびに油揚げをさらはれた主人公たちは、強奪された金の奪還をはかるのだが・・・

この作品の魅力は、主人公たちの個性的なキャラクター設定にある。
冷靜沈着なリーダーの成瀬。
子供のやうな純眞さをもつスリの久遠。
成瀬の學生時代からの友人、響野のまさにええ加減な性格。
そして、人に頼ることをせずに生きて來た、自分を律することに嚴しい雪子。
この4人がそれぞれの持ち味を活かして仕事をする、その姿がじつによい。
彼らの交はす會話の面白さも大きな魅力になつてゐる。

面白いといふ點では、間違ひなく面白い。
ただ、前2作で感じられたやうな、作者の比類なき感性、寓話的世界の構築といつたメタフィジカルな味はひは、この作品では感じられない。
それを物足りないとおもひながらも、面白いのでよしとしやう。

この面白さは映像化しやすい面白さだと思ふので、映畫もきつと面白いだらう。
佐藤浩市が出演するらしいのだが、役どころは誰なんだらう。
リーダーか響野かどちらかだけど、リーダー役ははまりすぎで意外性がない。
彼の響野を觀てみたい。
5月からロードショーとのことだけど、觀てみやうかな。


2006年4月25日讀了


陽気なギャングが地球を回す

祥伝社

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コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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佐藤さんは響野 (雪芽)
2006-06-09 22:49:47
TBありがとうございます。

映画では饗野役、佐藤浩一さんとのことです。

この役どころだと観てみたくなりますね。

「オーデュボンの祈り」も買ってみました。

面白そうですね。期待して読みます。
返信する
ポスター (仙丈)
2006-06-09 22:53:27
雪芽さん



コメントありがたうございます。

佐藤浩一が響野なんですね~

實はけふ、會社の中庭?で、この映畫のポスターが張つてあるのを見て知りました。

なんか髮をカフェオレ色に染めてゐましたよ~

見てみたくなりますね!

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