仙丈亭日乘

あやしうこそ物狂ほしけれ

初めてのサントリーホール

2010-10-22 18:10:45 | クラシックはいかが
いよいよ明日は、 マウリツィオ・ポリーニ の演奏會。
演奏曲目は、私の好きなベートーヴェンの後期ソナタで、最後の3曲である。

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第30番 ホ長調 op. 109
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第31番 変イ長調 op. 110
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第32番 ハ短調 op. 111

以前にも書いた やうに、私はこの演奏會をとても樂しみにしてゐる。
それは、演奏者がポリーニであること、曲目が素晴らしい曲であることが理由だが、じつは他にもある。
それは演奏會場が サントリーホール だということ。
そして席がPブロックだといふことだ。

私の住む關西にも、大阪に 「ザ・シンフォニーホール」 といふ素晴らしいホールがある。
このホールは1982年にオープンした日本初のクラシック音樂專用ホールで、當時は大きな話題になつた。
私も、友人に連れられて、その年の12月10日にメサイヤを聞き、音の豐かさに驚いたものだ。
サントリーホールは、「世界一美しい響き」を基本コンセプトに設計され、1986年にオープンした。
シンフォニーホールの響きの美しさはわかつてゐるが、それより美しいかもしれないサントリーホールで一度聽いてみたい。
その望みがかなふといふわけである。

この2つのホールに共通する特徴のひとつとして、客席配置があげられる。
ステージを取り圍むやうに客席が配置されてゐて、通常の客席からステージを見た時にステージの奧にあたるところにも客席が設けてある。
私はこれまで、このステージ奧の席で聽いたことがないのだが、じつは今囘の席がこの席、サントリーホールのPブロック席なのだ。
私は、この席を一度は經驗してみたいと思つてゐた。

しかし、この席、音樂を聽くうへでのメリットはあまり思ひ浮ばない。
事實、今囘のチケットはC席といふ一番安いチケットだ。
オーケストラを聽く時のことを想像するとわかりやすいが、樂團員はみんな通常の客席にからだを向けてゐる。
といふことは、音もその方向に向かふのではなからうか。
ヴァイオリンやチェロ、まあ何でも良いが、器樂曲のコンサートでもそれは同じ。
ソリストの背中やお尻しか見えない席だといふことだ。
それでも構はんといふ人はあまりゐないだらう。

ところが、このデメリット、ピアノの場合はデメリット度合が緩和されるのだ。
ピアニストは通常の客席に向かつてピアノを彈く譯ではないので、視覺的には通常席と變らない。
通常席からはピアニストの右横顏が見え、ステージ奧の席からは左横顏が見えるだけの違ひだ。
しかも、ステージ奧の席はステージより高い所にあるため、場所によつてはピアニストが鍵盤を叩くタッチを見ることすら出來る。
あひにく、私の今囘の席からは角度的に見えないので殘念だが。
ピアノでも音響的にはオーケストラ同樣のデメリットがある。
ピアノには弦の上にフタ(屋根)があつて、演奏の時に開けるのだが、開けるとその名の通り屋根のやうになり、弦からの音が屋根に反射して通常の客席に向かふやうになつてゐる。
つまり、屋根が邪魔になつて、ステージ奧の席の方向にダイレクトには音が擴がらないといふことだ。

しかし、と私は思ふ。
私のナマクラな耳で、その違ひがわかるだらうか、と。
通常席とステージ奧席と同時に聽き較べればわかるかもしれないが、そんなことは出來ないわけだし。
とすれば、1萬千円近い料金の違ひを思へば、むしろピアニストに近いだけいいんぢやないか。
唯一の氣掛かりは、私の席からポリーニの顏が見えるかどうか。
角度的にはピアニストの左斜前から見る席なのだが、ピアノの屋根が邪魔をするかもしれない。
あとは行つてみてからのお樂しみだ。



<追記>

オーケストラの場合、ステージ奧の席のメリットをひとつ思ひついた。
それは、指揮者を正面から見ることができるといふこと。
通常席だと、ソリストの場合と反對に、指揮者の場合は背中を見續けることになる。
ところがステージ奧の席だと、指揮者の表情やタクトの動きがよく見える筈だ。
美男子だつたカラヤンや、情熱的な演奏スタイルのバーンスタインが存命であれば、通常席よりも高い値段でも即座に完賣だらう。
私も次はオケを聽きに行かう。



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【2010 セリーグCS】 ファ... | トップ | 【2010 セリーグCS】 ファ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿