肩の凝らない漢方の話

漢方薬にまつわるあれこれを、気の向いた順に語っていきます。
私たちの生活に根差した漢方の世界をご紹介します。

漢方小噺 ~秋の過ごし方~

2024-09-13 17:16:33 | 漢方小噺
   もうすぐ秋の彼岸ですね。「暑さ寒さも彼岸まで」といいますが、今年はどうでしょうか?
  お彼岸が過ぎるのを楽しみに待ちたいと思います。
  相変わらず、気温の高い日が続いていますが、夜になれば虫の声が聞こえてきて、
  ススキや萩など秋の花もちらほら姿を現してくれています。
  季節は確実に進んでいますね。

   中国の古い医学書「黄帝内経(こうていだいけい)」によると
  秋は
   「容平(ようへい)。
     天地の気が引き締まって澄んでくるように、すべてのものの形が定まる季節」
  だそうです。
  
  その秋の養生法は次のように記されています。
   *鶏のように早く寝て早く起きる
   *志を安らかにし、やりたくてもできなかったあれこれを悔やまず、心をゆったりとさせる。
   *やり残したことをやり遂げようと、あちこち動き回らず、心を落ち着かせる。
   *冷えを受けて「肺」を冷やさないようにする。

   一年の終わりが見えてくる秋。
  やり残したことがあれこれ気になる方も多いでしょうが、落ち着いて日々を過ごしましょう。
  そうすると 冬に風邪をこじらせたり、冷えて困るようなことが起こらないそうです。
 
   とはいえ、秋じゃなくてもあれこれとやるべきことが多く、落ち着いてなんかいられない!
  という方もみえますよね。 
   多少バタバタしても、くよくよ嘆かなければ良いと思います。
   「悲」は「肺」を痛めます。
   忙しく動き回った日は、後悔や反省は横に置いて。
   寝る前に少しでも、心を落ち着かせる時間が持てるといいですね。
  
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漢方小噺 ~夏の過ごし方~

2024-08-01 13:57:46 | 漢方小噺
 暦の上では、夏は、5、6、7月の3か月です。
今年は7月19日~8月6日が夏の土用。
8月7日立秋から秋になります。

 ですが、それはあくまでも暦の上のお話。
今年は、10月まで、平年より気温が高くなるらしいですね。
というわけで、先人に学ぶ、夏の過ごし方をご紹介します。

 中国の古い医学書「黄帝内経(こうていだいけい)」によると、
夏は「蕃秀(ばんしゅう)。
天地の陰陽の気が活発に交流し、陽気が多く発生するので、
生命あるものすべて、花咲き実る盛んな季節」
だそうです。成長の季節ですね。

 その夏の養生法は次のように記されています。
*夜は夜更かしせず、朝は早く起きる。
*日が長くても飽きないようにする。
*春に思い起こした志を高ぶらせることなく、のびのび過ごす。
*体内の陽気を発散させる。
*心に不満をためない、体に熱をこもらせない。

 夏に『ため込まず、ほどよく発散させる』ようにすれば、
秋に疲れが出ず、健康に過ごせるそうです。

 『ほどよく』が難しいのですが、例えば、お風呂。
暑いからとシャワーで終わらせず、
37~39℃のぬるめのお風呂にゆっくりつかってみてください。
特に、冷え症の人は、秋、冬を過ごしやすくなりますよ。

入浴前の水分補給もお忘れなく。
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漢方小噺 ~東洋医学の今~

2024-05-28 18:33:08 | 漢方小噺
   
 先日のNHKスペシャル「東洋医学を“科学”する~鍼灸(しんきゅう)漢方薬の新たな世界」
ご覧になられた方もいらっしゃると思います。
東洋医学のメカニズムの科学的な解明が進み、鍼灸や漢方薬の効果が科学的にも説明されるようになってきました。
西洋医学の治療に鍼灸や漢方薬を取り入れる病院も増えています。

 同じ薬を飲んでも効果のある人とない人がいることを
少し前までは、「だから、漢方は眉唾ものだ。」という見方が多かったように思います。
漢方を深く学んだ人の、「証が違うから」という見方も、
なかなか理解を得られなかったように思います。
 今は、「この違いはなぜだろう?」と疑問を持ち、
効果のあった人となかった人を科学的に分析し解明しようとする動きがあり、
新しい視点からの研究がすすんでいるようです。
ありがたく、嬉しく思います。

 さて、番組の中で、黄疸の改善を目的とした、茵陳高湯の効果の違いについて、
腸内細菌が関係しているのではないかという研究が紹介されていました。
 茵陳蒿湯に含まれる山梔子の成分、ジェニポシドが
腸内細菌によってジェニピンという黄疸の改善に効果のある成分に変わります。
効果のあった人は善玉の腸内細菌が多く、無かった人は少なかったことが分かったそうです。
結論はまだ出ていないようですが、

 これは、病名ではなく証をみて薬を選ぶこと。
漢方薬は空腹時(食前または食間)に服用した方が効果がある。
ということの裏付けにもなるのでは?とわくわくした次第です。
 東洋医学と西洋医学、双方の良さを上手く組み合わせた治療が
どこでも、だれでも受けられる。そんな日がきたら最高ですね。
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漢方小噺 ~春の過ごし方~

2024-03-16 10:49:08 | 漢方小噺
 春は、寒かった冬が過ぎ、植物が芽生え、虫や動物も動き出し、生命の輝く季節です。
中国の古い医学書「黄帝内経」によると、春は「発陳。すべての物が発生し、つらなる季節」だそうです。
万物が生き生きと芽生え、栄える季節というわけですね。

その春の養生法は、次のように記されています。
*夜は早く床に入り、朝は早く起きる。
*朝、ゆったりと散歩し、体をのびのびと動かす。
*頭や体を締め付けるような髪型、服装はやめる。
*急激な労働をしない。
*冬の間にしまい込んだ志を思い起こす。
このように『すべてをゆったりとのびのびさせる』

 人も自然の一部です。春に芽生える万物と同じように、心も体ものびやかに、
冬にため込んだ陽気を発生させれば、健康で長生きできると説いています。
 とはいえ、今の世の中、4月から生活や仕事の環境が変わる方も多く、緊張したり、頑張ったりしがちですよね。
また、真面目な方ほど「早寝早起き」を意識しすぎて、できないと自分を責めてしまうことも。
引き締めすぎている自分に気づいたら、『春はゆったりのびのび』を合言葉に、大きくうーんと伸びをして、力を抜いてみてください。
少しスッキリしますよ。
「意訳黄帝内経素問」小曽戸丈夫+浜田善利共著、築地書館を参照しています。

最近、なんだか調子が悪い。
「どこも悪くないですよ。」「様子を見ましょう。」と言われたけれど…
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漢方小噺 ~2024年はどんな年~

2024-01-25 17:21:17 | 漢方小噺

年明けから、大きな災害がありました。犠牲になられた方々に謹んでお悔やみ申し上げます。
 被災された方々には心よりお見舞い申し上げますとともに、一日も早く安心して暮らせる日が来ることをお祈り申し上げます。

 2024年は、十干十二支では、甲辰(きのえたつ)の年です。
中国の古い医学書「黄帝内径 運気篇」によると甲(土運太過)の年で、十二支が辰(土用の位)。
運と位が一致している年を歳会といい、一般に気候が平穏だそうです。

 甲辰の年は、太陽司天・土運太過・太陰在泉で、この年は社会の動きも平穏。
万物は、順調に成長し、繁茂します。
ただ、雨が多く、湿った日が多くなりやすいそうです。
これ以降は、記述通り、平和で穏やかな年になることを願うばかりです。

 この「運気篇」は、天気の変化を
5,6,10,12,30,60年のリズムで統計を取って規律を見つけ、記した書物だそうで、その出典には諸説あります。
また、2000年以上も昔の話なので、現代にあてはめるには無理がありますが、
先人の知恵と思考をたどるのも面白いと思いご紹介しました。
「意訳黄帝内経運気」小木戸丈夫+浜田善利共著(築地書館)を参照しました。
実は、もっとたくさんの記述がありなかなか興味深い書物です。
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