肩の凝らない漢方の話

漢方薬にまつわるあれこれを、気の向いた順に語っていきます。
私たちの生活に根差した漢方の世界をご紹介します。

「心(しん)」の話

2023-08-03 16:27:30 | 太田薬局からのお知らせ
 
酷暑の夏、私たちの体は、汗をかくことで体温を下げます。発汗は、大切な生理現象です。
漢方では、汗を「心(しん)の液」ともいい、多すぎる発汗は「気」と「水」を消耗し、「心」を弱らせると考えます。

 「心」の働きは、現代医学の心臓と大体同じと考えられています。
 「心」は蓮の花の蕾のような形をしており、ただ血液を送り出すだけでなく、
いわゆる「こころ」の働きも「心」がやっていると考えられています。
君主の官、神明出ず。諸臓は、心の支配を受けます。生命活動の主観で、すべての精神意識、思惟は、「心」の大事な働きです。
精神のうち、神の入れ物です。

 「心」は陽気を生む場所です。その陽気が皮膚から抜け出すのが、汗です。だから、汗を心の液ともいうのですね。
夏の暑さに順応できない、苦み成分のとりすぎ、酸っぱい物のとりすぎでも「心」は弱るといわれています。
また、発汗過多、胸騒ぎ、憂愁、恐れ、悲しむ、などの心の動きも心を弱らせます。
 そして、心が弱ると悲しみすぎるようになります。悪循環です。

 「気」と「水」を補って心の働きを強めましょう。
暑さのせいか食欲がない、疲れが取れない、気が晴れない、汗をかきすぎる。
そんな方は一度ご相談ください。
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山梔子

2022-12-26 12:58:22 | 太田薬局からのお知らせ
 
年の瀬になりました。お節料理に欠かせない栗きんとん、
黄金の色付けに使われるのが「くちなしの実」生薬名は山梔子です。
 本格的な栗きんとんに欠かせないくちなしの実。当店にて取り扱っております。

 さて。山梔子は、漢の時代の「傷寒論」「金匱要略」などの医書に記載されている古い生薬です。 
 一番古い本草書「神農本草経」には「邪気をとり、胃中の熱気をとり、顔の赤みや、鼻の頭の赤み、蕁麻疹などの皮膚病に良い」と書かれています。

 腫れて熱を持ち赤くなっているものに内服、外用ともに用います。
内服には1日5gを煎じて飲みます。
外用には実の粉末に等量の小麦粉を加えて酢で練ってつけます。打ち身などで赤く腫れている時に良くききます。
また興奮して眠れないときに煎じて飲むと良いでしょう。
口内炎、歯肉炎などには、煎じた液でうがいしたり、服用すると良く効きます。
食道炎や食道ポリープなどで嚥下困難なときに煎じて服用すると通りが良くなります。

 実際に食道ポリープが見つかり、手術までの気休めにとクチナシを煎じて飲んだら、牛乳がやっと通った咽喉が2,3日立つと楽になりすーっと飲めるようになり、
数日で何ともなくなり、再度診察して貰うとポリープが無くなっていて手術しなくて良い事になった漢方の先生があります。

 山梔子に黄連、黄芩(こがねばな)、黄柏(きはだ)を混合した漢方薬「黄連解毒湯」は、炎症や出血、に良く使われます。
皮膚病で赤く痒く掻き毟っているとき、口内炎、顔が赤くのぼせている、高血圧症、不眠、黄疸、など広範囲に応用されています。
 他にも山梔子が配合されている漢方薬は黄疸、蕁麻疹、胃炎などに使われています。

但し冷え症の人には苦くて飲めないことがあります。冷やし過ぎになることがありますので無理に飲まないようにしてください。


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 年末は30日まで。年始は6日から営業しております。

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皇帝と黄帝

2022-11-18 16:02:28 | 太田薬局からのお知らせ
抜けるような青空に映える薄紫の花。「皇帝ダリア」が見頃です。
一年で草丈が5~6mにも伸び、大きな美しい花を咲かせます。「皇帝」の名にふさわしい雄大な姿です。

漢方薬で、「こうてい」といえば、「黄帝」
中国伝説の医術の祖の一人です。
黄帝が書いたとされる書物に「黄帝内経素問」と「黄帝内経霊枢」があります。
前漢(紀元前200年~紀元10年)頃に書かれたようです。
「黄帝内経素問」は黄帝と岐伯の問答の形で書かれており、主に医学理論・思想考え方が書かれています。
第1章の「上古天真論」には「古の人は百歳まで生きたとされているが、今の人は五十歳で寿命が尽きているがどうしてか」の問いに
「昔の人は自然の流れに逆らわず、飲食を節制し、起居も季節の寒暑に合わせ、節度のある生活をしていた。だが今の人は酒色におぼれ、快適を望み自然の流れに逆らった生活をしているだから五十歳で寿命が尽きるのだ」といったことが書かれています。
前漢時代にこの記述、現代に生きる私たちには耳の痛い文章です。

便利さや快適さを捨て、自然のままに生活するのは難しいですが、
特に12月は様々なイベントや納ごとが多く、生活が乱れやすくなります。暴飲暴食をさけ、その日のうちに寝て、朝早く起きる。
規則正しい生活を心がけたいものです。

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乾燥の秋

2022-09-29 15:02:53 | 太田薬局からのお知らせ
朝晩、過ごしやすくなりました。見上げると、秋の空ですね。
秋は、乾燥の季節でもあります。鼻、口、咽喉には粘膜がバリアを貼ってホコリやウイルス、雑菌の侵入を防いでくれています。
乾燥し、湿度が下がるとこの粘膜のバリアが働きにくくなり、風邪をひいたり、アレルギーを起こしやすくなったりします。
先日来、鼻くそが増えた。鼻の中がピリピリする。とおっしゃる方が増えています。

漢方ではこのような状態を「肺」が渇いた状態。「肺燥」といいます。
「肺」を丈夫にすることで、粘膜の乾燥が防げます。白い食べ物が肺を丈夫にしてくれます。食べ物では大根、玉ねぎ、白ネギ。唐辛子。
生薬では、半夏、石膏などです。

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暑気ばらい

2019-07-31 09:31:40 | 太田薬局からのお知らせ
★暑気払い★ 暑い夏を楽しく過ごすには
 高温注意報が出る夏になりました。
 日本の夏は高温多湿で中国の揚子江以南のような気候と言われています。山嵐瘴気の地と言われる地帯です。北京を中心とした漢族が攻め込んでも悪疫で苦労したようです。
山嵐=山に発生する悪い気 瘴気=湖沼地帯に発生する悪い気 これらが体に侵入していろいろ悪さをするそうです
 湿気、暑気、熱気などや、ノロウィルス、ジカ熱のウィルス、日本脳炎ウィルスなどがそれにあたるようです。
 湿気がからだの中に入り込むと、体の節々が痛むリウマチや、身体が浮腫んでだるくなったり、水分の調節が上手くいかない為の吐き下しを起こしたりします。暑気や熱気にやられるといわゆる熱中症になります。
 また暑気にやられて水を飲み過ぎると胃酸が薄まり食欲がなくなるばかりでなく感染症にやられやすいとも言われています。それでも水分の補給を怠ると筋肉の痙攣を起こし易くなり、熱中症を起こします。
 夏の日本に住んでいる以上この高温多湿による危険性は覚悟して如何にこれを避けるか?が大切です。
 いわゆる暑気払いです。
★梅干し=熱中症予防にミネラルの補給に、腸内の消毒、疲労回復に最適。
★きゅうり=体を冷やしてくれます。高血圧の予防に、
 夏になるときゅうりに箸を刺して塩水に漬けて売っている地方があります。
★トマト=抗酸化作用、血液サラサラの作用、動脈硬化の予防に。
★イチジク=整腸作用、消化促進の作用、二日酔いの予防に。咽喉の痛い夏風邪に効果があります。
★なす=火照った体を冷やします。暑気あたりでのぼせているときに。体を冷やす力が強いので秋以降妊娠を希望している若い女性には禁忌です。(秋ナスは嫁にくわすな)
★タマネギ=血液サラサラ、疲労回復に、暑気払いには万能薬といっても良い野菜です。
★オクラ=ムチンを含み肝臓や腎臓の働きを高め、消化や新陳代謝を促進してコレステロール値や血糖値の改善に効果があります。
★スイカ=夏の果物の中で一番利尿作用が強いといわれています。体の中の余分な水分を小便で排出してくれます。各種の浮腫に、熱中症予防にも効果的です。 
 以上暑気払いに役立つ食べ物です。この時期おいしくなり旬を迎えるものばかりです。自然の妙味を感じますね。体に入り込んで悪さをする湿気を小便に出すには、茯苓、白朮を中心にした漢方薬を使います。
 五苓散(17番)がその代表です。
 省エネを気にせずクーラーの活用も大切です。
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