肩の凝らない漢方の話

漢方薬にまつわるあれこれを、気の向いた順に語っていきます。
私たちの生活に根差した漢方の世界をご紹介します。

風邪ひいた。

2017-11-25 17:56:08 | 日記
先日のお婆さん達の会話「風邪引くとあかんで、蓋しっかり閉めとかな」と液状糊の蓋を閉めていました。
 お婆さんと云っても私と同じ80年代ですが。湿布も、膏薬も、マッチも昔は風邪を引いていましたね。保管の仕方が悪く効果が無くなると風邪ひいてまったと破棄していました。
 翻って10代の孫たちの会話「チョーカッケ―、マジデ、アケオメ」世代間格差は大きいですね。会話が成り立たない筈です。
 全国的に通じると思っていた言葉が岐阜だけでしか通じないと判ってショックを受けたことが多々あります。
 机などの角の事をあなたはなんと言いますか。「スミッコ」「ハシ・ハッシコ」「ハジ・ハジッコ」「クロ」まだ有りそうですが、私は「クロ」です。これも大阪では通じなかった言葉です。
 机を動かす時「そっちかわつって」も通じませんでした。何気なく使う「たわけらしい」も大阪では激怒されました。大阪の「あほらしい」と同じニュアンスですけどね。「アホ」「バカ」「タワケ」は地域によって感じ方が違うことが岐阜を出て初めて知りました。
 岐阜の年寄りたちが使っていた方言の数々です。判りますでしょうか?
 「かがはゆい」「ヤットカメ」「アライマワシ」「メンボ」「クロニエ」「身体がエライ」「胸がズツナイ」
「~ナモ」「~シテチョウ、エカ」等々。
 「かがはゆい」顔が映ゆい→まぶしい。
 「ヤットカメ」八十日目→久し振り。人の噂も75日より少し長いのが微妙ですね。
 「アライマワシ」洗い回し→食事のあと食器などを洗って片付けること、マワシは根回しの意味か、相撲のマワシか判りませんが準備をすることです。
「早よマワシしや~」は早く「準備しなさい」の意味ですが、岐阜に住む孫たちにも通じなくなりました、
「メンボ」眼瞼炎、ものもらいのことです。
「クロニエ」皮下出血で青黒くなることです。
「エライ、エラカッタ」疲れる、疲れた、
「ズツナイ」胸苦しい、胸がザワザワする、不安になって胸が落ち着かないなどの意味があるようですが標準語では適当な言葉がありません。
「~ナモ」所謂接尾語です。「アノナモ」「ホンデナモ」と使います。ね~、な~、位の意味だそうです。
私は南無阿弥陀仏の南無から来たと思いたいのですが無理ですか?
「~エカ」~してちょうだいエカ、頼みごとを強調する意味です。「良いですか」を軽い意味でつけます。
他の地域の人には命令形に聞こえるようです。
満州で生まれ、神奈川で育った私の連れ合いは、何であの人に命令されないかんのと、怒っていました。
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岐阜薬科大学での講義の試験

2017-02-01 19:04:02 | 日記
岐阜薬科大学の漢方学の講義を受け持っています。講義をした以上評価が必要で、試験をしました。
試験本題は次に載せます参考まで。

Ⅰ次の文章は葛根湯についての記述である。( )内の番号は何が適当か、下の語彙群から選んで記号を解答欄に記入してください。下記の処方構成表やテキストの記述を参考にしてください。
 葛根湯は(①)と(②)の薬味の組み合わせで(③)に対応し、血に働く(④)や(⑤)も配合されている薬方である。
 風邪などの熱性病では、悪寒、発熱、頭痛、汗が出にくいなどの(③)に血証である(⑥)を伴う。また血滞に熱が加わる(⑦)では充血による発赤、灼熱感、疼痛が強く、排膿しにくい状態に応用する。
 また(⑥)は太陽膀胱経に(⑧)の邪が入り込んで(⑨)(⑩)の流れが滞る結果起こると考えられる。
A麻黄 B半夏 C生姜 D桂枝 E葛根 F芍薬 G黄芩 H表実熱 I裏熱 J頭痛
K項背強 L胸痛 M化膿症 N湿疹 O下痢 P風寒 Q湿 R気 S水 T血 
①(  )②(  )③(  )④(  )⑤(  )⑥(  )⑦(  )⑧(  )
⑨(  )⑩(  )

Ⅱ次の様な病人に対してどんな薬方が適当か、処方名及び選定理由を書きなさい。
        26才   女性
主 訴:月経不順、3年前くらい出血が続いた。1年前出産後月経が無い、低温期のみ。
望 診:舌無苔。
症 状:のぼせやすい、汗がやや多い、食思良好、大便1日1行、小便1日4~5行、肩凝り、冷えはない、皮下出血を起こし易い、月経前に腹痛、周期はまちまちだった。脉 沈。

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お屠蘇と七草粥

2015-12-13 21:32:13 | 日記
★お正月の行事★ 「屠蘇」と「七草粥」は東洋医学から

お屠蘇とは、お正月に頂くお酒(お神酒)のことと思っていられる方も多いようです。
「お屠蘇気分が抜けない」などと使われますが、本来は中国の三国時代(200年頃)の名医華陀が創成したもので、数十種の薬草を酒に浸した薬酒のことを云います。日本では嵯峨天皇の弘仁2年(811年)に宮中の儀式として用いられたのが始まりと言われています。
 屠蘇の名前は邪気(よこしまな気、今日ではウィルスなど)を屠(ほふ)り、正気(免疫力、抵抗力)を蘇(よみがえ)らせるところから付けられました。
山椒、陳皮(蜜柑の皮)桂皮(肉桂の皮)山帰来(さるといばらの根)白朮(おけらの根茎)浜防風(はまぼうふうの根)桔梗の根などの薬草を寒冷紗の袋に入れて清酒または味醂に一晩浸けておきます。元日から三が日の間は雑煮を祝う前に年少者から順次、新年の縁起と長寿を祈念して頂きます。
また醤油に浸しておくと、独特の香りと風味が増して味を引き立たせる効果があります。
 屠蘇散として漢方薬屋さんには大抵置いてあると思います。

「七草なずな唐土の鳥が渡らぬ先にトントントン…」と歌いながら七草を刻んでお粥に入れて頂くのが七草粥です。旧暦の正月7日青野菜の少ない時期に野に出て若菜を摘み、お粥にして食すのは、正月のご馳走やお酒で荒れた「胃」を労り栄養補給に持ってこいの行事でした。「君がため、春の野に出て若菜摘む…」と万葉集で詠われているように若菜摘みは平安時代の優雅な行事でもあったようです。今は新暦ですので、野原には七草は出ていませんが、スーパーでセットで売っているのを見かけます。
 「せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろこれぞ七草」と詠われ春の七草と言われています。
 せり=セリ科、なずな=ペンペン草の根生葉・アブラナ科、ごぎょう=ハハコグサ・キク科、はこべら=ハコベ・ナデシコ科、ほとけのざ=コオニタラビコ・キク科、すずな=蕪・アブラナ科、すずしろ=大根・アブラナ科がその植物です。
 消化を助け、胃腸を強くし、利尿の働き、咳止めなどの働きがあり健康増進に良いお粥と言えます。
「唐土の鳥が渡らぬ先に」とは中国大陸から邪気がやって来るのを暗示しているようで、鳥ウィルスや新型ウィルスの襲来を思わせます。
古来の伝統行事もなかなか良いものです。大切にしてください。
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お節料理に欠かせない黒豆と慈姑(くわい)の話

2015-12-01 16:10:01 | 日記
 12月になりました。お正月のお節料理の中の定番は黒豆と慈姑(クワイ)ですね
 
 黒 豆
 ◆畑のお肉◆は大豆の一品種です。栄養学的には大豆も黒豆も違いがありませんが、黒豆にはポリフェノール類のアントシアニンが沢山含まれていますので、生活習慣病や更年期障害の予防・改善や美肌効果があるようです。
ダイズは東アジアが原産のマメ科の1年生草です。日本には縄文時代にすでに渡来していたようです。
大豆は小豆に比べて大きな豆と云う意味です。
大豆には畑のお肉と言われるように良質のたんぱく質が多く、レシチンなど必須アミノ酸の殆どが含まれていて、煮豆、味噌、醤油、豆腐、油揚げ、納豆、おから、きな粉、など日本人の食卓には欠かせない食品です。 
含まれている成分の不飽和脂肪酸、ビタミンEなどは、抗酸化作用、血中コレステロールの低下作用があり、動脈硬化や糖尿病などの生活習慣病を予防します。
またレシチンには脳の老化防止作用が、イソフラボンには女性ホルモン類似の作用があり、更年期障害、骨粗鬆症などの予防・治療効果があります。またカルシウムなどのミネラル分も多く含まれています。まさに「マメで元気に長生き」のためには欠かせない食べ物です。
黒豆に甘草を加えて煎じたものは、魚、酒、薬などの中毒の毒消しに効果があります。私の若いときにトリカブト中毒になった時に使って良くなった経験があります。これは二日酔にも効果があるようです。風邪の咽痛、咳、声嗄れにも効果があります。
お乳の出が悪い時には黒豆、黒ゴマ、モチ米を粉末にして等量混ぜて黒砂糖を加えて味を調えて食べると出が良くなります。
心臓の弱い人(気の小さい人ではありません)は黒豆、トウモロコシの実、もち米を1日20gづつ粉末にして、1日3回に分けて水でかきまぜて生のまま飲むと良いそうです。

クワイ
◆芋から芽が見事に伸びる姿から芽出度い食品◆
◆親芋から子芋がびっしり出るから子孫繁栄◆
 クワイはオモダカ科の植物で北半球の温帯地方に広く繁殖しますが食用にするのは中国と日本だけです。
 澱粉質やタンパク質、ミネラルが豊富で生活習慣病や風邪の予防、美肌、便秘解消の作用があり、女性には嬉しい食品です。クワイとは、葉の形が鍬に似ているので「鍬芋」から来たそうです。また少し眉唾ですが、浮気封じの薬だそうです。クワイを常食するとご主人の性欲が減じて浮気が止まるそうです。我が家で試すには遅すぎますが!
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プロフィールの神農像について

2015-11-05 09:39:30 | 日記
中国の薬の神様「神農」さんです。
◆神農炎帝◆ 中国の薬の神様
中国の古代の伝説の三皇五帝の一人、その姿は人身牛首で、農耕と医薬の祖とされています。
 農具を作り、人々に農耕を教えました。
 また人々のために百草の滋味や水泉の甘苦を調べ薬になる物や毒になる物を人々に教えました。このことから神農は薬の神様として今も祀られています。
 この時神農は1日に70種もの毒に遭ったといわれています。その他琴を作り音楽の楽しみを教えたり、市を開いて物々交換の便利さを教えたり、易の八卦を作ったのも神農だとも云われています。
 現在東洋医学の生薬の事を書いた古い本「神農本草経」が伝わっていますが、流石にこれは神農が書いたものでなく、漢の時代の誰かが神農の名を借りて著したものです。今でも生薬の働きを知る手掛かりとして私たちも重宝しています。
 それによると薬物には365種あり、動物生薬67、鉱物生薬46、植物生薬252種が記載されています。
 東洋医学の源は不老長寿、仙人になることを目的に薬物の研究がされました。西洋の科学が金を作る事を目的に錬金術として発達したのとは対照的です。
 365種の薬物を上薬、中薬、下薬に分けらています。上薬(120種)には人参などがあり長服すると不老延年、身が軽くなるとされています。ただこの中には朱砂のような水銀剤もあって遺体の防腐剤に使われていたような危ない薬品も入っています。鵜呑みには出来ません。
中薬(120種)には無毒と有毒があって病を治し養生に効果があるとされています。使うのに注意が必要です。
 麻黄や当帰が分類されています。
下薬(125種)は有毒で使うのに細心の注意が必要だが病を治すのに必要な薬です。
 毒草のトリカブトの根の附子、下剤の大黄などが有ります。

 これは、イチイの一刀彫りの神農像です。ちなみにプロフィールのは九谷焼の神農像です。
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