楽器編成とは、面白いことに大編成であればあるほど、楽器の扱いで新鮮さをアピールすることは難しい。楽器の選び方に相当自由度のある室内楽にこそ、冒険の可能性が秘められている。
作曲は、どんな編成で書くか、そこから始まる。今回はジャズの編成に挑む。ピアノ、サックス、トランペット、ドラムス、ウッドベースのクインテット。
ジャズの語法を取り入れた現代作品は今や珍しくない。僕が意図するのはむしろ、現代音楽の語法によるジャズ作品。
最早それをジャズとは呼ばないだろうが…。呼称などどうでも良い。僕にとってジャズは全く未知の分野だ。だからやりがいがある。
この夏の異常な暑さをエネルギーに変え、煮えたぎる音のるつぼから新たな自分を精錬する。
ジャズの編成で現代音楽を書くなど、単に面白半分でやるなら簡単だろう。しかしこの3か月、ジャズのCDを手当たり次第に聴いてきたが、聴けば聴くほど、ある種のペダンティックな現代音楽など及びもつかない生命力、表現の深さ、簡潔さ、超絶技巧の奔出に打ちのめされ、おいそれと書けるものではなかった。
一方、ジャズは決して異国の音楽ではなく、日本の伝統音楽との接点も多い、と気付いたのは収穫だった。
楽器編成に関して言えば、太鼓、はじく弦楽器、管楽器、そしてピアノは昔「洋琴」と訳したから、ジャズと邦楽は類似する。
音楽語法の点でも、ジャズのスウィングするリズムは阿波踊りなど祭囃子のリズムに比べ得るし、旋法、音程のずらし、即興性も両者共通の特徴。
日本の伝統音楽との接点はクラシックよりもはるかにジャズの方にあり、自分の血のルーツにも深い所で混じっているはずだ。
♫ 試聴
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