1年振りに実家に帰った。大晦日の晩23時に家族で近所の神社へ初詣に出かけた。
受付で5円玉が包まれたお守りを貰い、記帳する。甘酒、日本酒、豚汁が無料で振舞われていた。焚き火が暖かかった。
0時前になると、町内会のオヤジたちが二人一組で太鼓をドカドカ叩き始めた。年が明けると会長が「お参りは二拝二拍手一礼でお願いします」と告げた。
元日は一人で墓参りをした後、幼少時に過ごした柏谷を散策した。
柏谷公園に「柏谷百穴」と呼ばれる横穴群がある。小高い丘の側面に何十もの洞穴が開いている。
そこまで登り、いつもの帰路とは10数メートルほど違うルートを選んだら、ふもとは全く見知らぬ田圃と竹林しか無い風景だった。
登山は下りの方が遭難し易いと言われるが、登りは目標が一つなのに、下りではわずかな方角の狂いが増幅されるからなのだろう。そこにいるのは自分一人。数えるほどしか人と出会わない。
人気を求めて歩くと「畑毛せせらぎ公園」という、砂利が敷き詰められただけの小川のほとりに来た。4人家族と、女の子とその「ジージ」の6人しかいなかった。
さらに歩くとバス通りに辿り着き、地理が分かることでややほっとする。畑毛(はたけ)は温泉街。湯治客で賑やかなはずなのに、ここもひっそりしていた。
蛇行するバス通りを登ると見る見る街の風情を帯び、町役場のある慣れ親しんだ風景に戻ることが出来た。
頂上でのほんの10数メートルの差が、結局1キロ以上になってしまった訳だ。そこからは幼稚園時の登園ルート、さらに小学校時の下校ルートを辿り、実家に戻った。
小学4年生頃、学校帰りに友達と必ず宙返りをしていた干し藁のあった田圃は、伊豆縦貫自動車道高架化のための巨大な盛り土で、つぶされていた。
翌2日は大場川沿いの土手を、伊豆箱根鉄道と交差する地点まで北上。
田舎の景色はどこも似ている。子供の頃、電車の窓からここの景色を見ると、関西にある父の実家周辺とあまりにも似ていて、ここで降りたら従姉に会えるのでは、とノスタルジーに駆られた。
富士山の積雪は昨年の3分の2くらいしか無かった。
謹賀新年
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