半年前に暗譜して以来、毎日弾いている、ショパンのプレリュード第8番。
この「24のプレリュード」は20年以上前にも全曲弾いたことがあるが、再び第8番の魅力に取りつかれた。
急速なアルペジオから旋律が浮かび上がる、という曲は枚挙に遑が無い。ショパンのものでも「エチュードOp.25-1」などは最も有名だが、「プレリュード第8番」と比べると遜色を認めざるを得ない。何が違うのか。
「エチュード」の方は主にソプラノが旋律を歌うのに対し、「プレリュード」は右手の親指が主旋律を打鍵し、その周りを風のように疾走する音型の中に、その1オクターブ上の音がエコーとして混じっている。
伴奏形についても「エチュード」のバスは常に拍点にあるが、「プレリュード」はアルペジオの最後の音、裏拍がバスになる。
このテクスチャにはスクリャービンもラヴェルも取りつかれたに違いない。
和声についても「プレリュード」の9-10小節目、これは曲を[A]-[B]-[A']-coda とすると[B]に入った箇所だが、この2小節には驚嘆する。
属音(F音)に留まるバスの上で、信じられないほど多彩な和音が立ち上り、一つずつゆっくり弾くと、まるで無調の強烈な不協和音だ。心地よい目眩!
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