エゾ中村のブログ

「藤圭子」から「現代医学の功罪」まで、思いの丈を綴ります。 ・・・ From 北海道 ・・・

ある吞兵衛の‟告白”(師走編)

2020-12-01 08:04:10 | 日記

詰まらない 昔話です。 クリスマス・イブの夜、浮き浮きした気分で 友達二人と、北の繁華街 “すすきの” に向かいました。 勇んで飲み屋街に繰り出すも 人出が多く、空席がある店を探すのが大変な年末でした。 偶々、ある “バー” から酔った客が 5~6人、店を出るのを確認し滑り込みました。 やっと飲める。 少々待たされた後、席に案内されました。 席に着いて間もなく、ボックスの近くに見覚えある顔を発見しました。 高校時代、ハンドボール部で一緒だった後輩「源田」(仮名)でした。 相手も気が付いた様で、笑顔で挨拶に来ました。 「ご無沙汰しています 7年振りですね。 良かったら一緒に飲みませんか」と誘われ、後輩の席に一人移動しました。 そこで、一時間ほど飲んで昔話をした後「源田」から 頼みを聞く事になりました。 「会社関係のクリスマス・パーティーに招待されたのですが、急用が出来て行けなくなりました。先輩、明日 自分の代わりに出席して貰えないですか」今日会って明日の話ですから少々警戒しましたが「パーティーに出席するだけなら、引き受けてもいいよ」と、返事をしたのです。 そこで、住所と地図が印刷されたパーティー券を受け取りました。 後輩から「違う店で飲み直しませんか」と誘われましたが「この後 友達と飲む予定だ、今度 誘いの連絡するよ」と、お互いの電話番号を教え合い 別れました。 昔と変わらない後輩と再開し、安心したのが “トラブル” の始まりでした。

翌日、クリスマス・パーティーに向かいました。 そこは、“すすきの” に次ぐ市内の繁華街です。 地下鉄駅から徒歩2分ほどの雑居ビルで、すぐにパーティー会場は分かりました。 ビルの入口に案内板が 会場には受付があり、まるで結婚式場の様な物々しさです。 会場に入って 驚きました。 広いフロワーに大きな 10脚ほどの円卓、その上には豪華な肴と料理が多数、それにビール・日本酒・高級な洋酒・・・、相当 金が掛かったパーティーと直感しました。 会場には、すでに100人程が集まっていました。 その内 30人弱が派手な服装の女性なので、少々違和感を覚えました。 どう見ても、水商売&コンパニオンらしい女性達です。 「どんな会社の集まりなのか」少々疑問はありました。 それでも パーティーが始まると、次から次と女性達から酒を注がれ、快い酔いが疑問や不安を打ち消しました。 「取り敢えず、パーティーが終わるまで楽しもう」 吞兵衛の性が 勧められた酒は拒まず、気持ち良く飲んでいました。 パーティーが終盤に近付いた頃、長身で白髪の老人が、何やら話し掛けて来たのです。 5分ほど話したでしょうか?  しかし、何を言っているのか内容が理解出来ません。 おそらく、誰か(関係者)と間違えたと思います。 酔いが回って口が軽くなたせいで「お爺チャンの言う事、サッパリ分からない」 その言葉が、とんでもない “トラブル” の原因になったのです。

老人の傍にいた体格のいい男に、いきなり腕を掴まれ会場の隅に連れて行かれたのです。 「兄さん “組長”に何ちゅう言葉を使うんだ」 それを聞いて、怪しいと思っていたパーティーが、“ヤクザ” の集まりだった事に気付きました。 「まずい!」 よりによって、組長に関わってしまった。 すぐ組員 5人に取り囲まれ、一人が「ここではまずい 事務所に連れて行こう」と言って、同じビルの組事務所に連行?されました。 「貴様は、誰の紹介でパーティーに参加したんだ」 答えに詰まりました。 果たして、後輩の名前を出して良いものか? 悩みましたが 知らぬ存ぜぬでは、通用する相手でありません! 取り敢えず、名前だけ言いました。 高校時代の後輩「源田」です。 「なに源田だと」 そこで、後輩の素性を知る事になりました。 この組の “構成員” だったのです。 「源田の野郎、上納金も納めず逃げ回ってパーティーに他人を送り込むとは、見下げた奴だ」・「その先輩野郎が、組長を “じじい” 呼ばわりとは、許すわけにはいかない」 立て続けに罵声を浴び、まるで “狼に囲まれた羊” 状態でした。 万事休す!

そんな時間が、30分ほど続いたと思います。 そこに、パーティーが終わって組長が 事務所に戻って来たのです。 「お前たち、何を遣っている」と一言。 「組長に暴言を吐いた野郎に、説教していたところです」と組員が言うと「馬鹿な事を言うな、その人と世間話をしただけだ、何も嫌な話は聞いていない」  組員:「奴は、ろくでなしの源田とつるんでいます」と言い返すと「内輪のもめ事を、堅気の人間に押し付けるな、なんも言わずに帰してやりなさい」 正に“地獄に仏”でした。 組を束ねる “大親分” が、修羅場から救ってくれたのです。 組長に最敬礼し、ヤクザの巣窟を出る事が出来ました。  「恐ろしい経験でした!」

ある吞兵衛の告白:「あの件はすでに時効だ」と、友人は小声で話してくれました。