羽花山人日記

徒然なるままに

2020-12-30 20:54:19 | 日記

わたしは毎日9種類の薬を飲んでいる。点眼薬までいれると11種類を,5つの診療科から処方されている。循環器が4種類,持病の左心室の心筋肥大に不整脈が加わってきた。やはり持病の潰瘍性大腸炎はここ数年緩解状態にあるが,根治困難ないわゆる難病であるので,薬の服用はやめられない。そのほか,頻尿治療,血糖値抑制,ビタミン剤数種,緑内障予防。おかげで体調はすこぶる良い。

先日,Zoomでの集まりでこの話をしたら,何人かから呆れられたり,軽蔑されたりした。製薬会社を儲けさせるだけではないか,薬をやめたら肝臓の具合が良くなった知人がいた,等々。もらった薬を無駄にするならともかく,わたしは医師の指示通りに薬はすべて服用し,そのことで症状が改善されているので,製薬会社にその対価を払っている。肝臓への負担は心配だが,血液検査における肝機能の値はすこぶる良い。思い込みや自分の信念に適った一つの事例を普遍化するのは無理だろう。当分は医師にとっての模範生を続けることにする。

しかし,残っている薬が減っていくと,自分に残された寿命も同時に減っていくのだと感じて,奇妙な気分になるときがある。聞くか読むかしたことだが,ウオーキングをすると,その時間だけ寿命が長くなるという。1日1時間ウオーキングをすると1年で365時間,つまり15日間寿命が延びるということだ。しかし,その延びた分をひたすら歩いていたことにならないか。

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10大ニュース

2020-12-28 13:40:31 | 日記

今年の10大ニュースが発表されている(読売新聞読者選出)。第一位がコロナ蔓延だったのは当然で,志村けんさんの死去が5位に入っていた。そういえば,うちの孫が本格的に新型コロナに危機意識を抱いたのは,この死がきっかけだった。

朝日新聞に掲載されていたサザエさんの4コマ漫画に,波平さんが自分の10大ニュースを風呂の中で考えていて湯気にあたった話が出ていたが,私も今年の10大ニュースを考えてみた。トップに来るのは孫の大学合格である。これをダントツとして,他は平々凡々。要するに平穏無事に過ぎたということか。

世の出来事に目を転じれば,最も印象に残ったのが,プロテニス大阪なおみ選手の黒人差別に対する抗議の行動である。これは,上記のアンケートでも14位にランクされている。全米オープンでは,黒人襲撃事件の犠牲者の名前をマスクに掲げ,見事優勝を遂げた。優勝後のインタビューでの振る舞いも立派だった。犠牲者の名前を付けたマスクを着用したことの感想を訊かれて,「あなたはどう思いますか。」と,インタビュアーに問い返していた。これは私たちへの問いでもある。

 

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第九

2020-12-27 20:15:01 | 日記

今年もN響の第九を聴いた。

コロナにめげず,サントリーホールに集まった高校同期生は付き添いも入れて14人。びっくりするほど衰えた仲間もいたが、大部分はまあまあ元気だったのが嬉しかった。

 

新橋から乗ったタクシーの運転手がサントリーホールが分からず、うろうろした挙句に近くらしいところで降ろされ,すぐそばに立っていたお巡りさんに道を尋ねたら、あれこれ調べてくれたのはいいが、とんでもない方向を教えてくれた。結局一番頼りになったのは、スマホで探してくれた通りがかりのお嬢さんたちだった。

 

滑り込みセーフで開演に間に合い、G線上のアリア,主よ人の望みの喜びよ(バッハ)の重厚なオルガン演奏に身を委ねることができた。オーケストラは三分の一の構成、コーラスは男女20人ずつ。やや迫力欠けたが、第九は第九。ベートーベンを堪能した。

 

第4楽章の合唱が始まるころ,中山競馬場では有馬記念がスタートし,わたしの5種類の三連複は灰燼に帰した。

 

 

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読書備忘(2)

2020-12-25 13:03:16 | 日記

ナチスドイツ及びユダヤ人ホロコーストに関わる本を今年は4冊読んだ。いずれもフランス人ないしはフランス在住の作家による小説(邦訳)である。

 

エリック・ヴュイヤール『その日の予定 事実にもとづく物語』 岩波書店 2020

1938年前後のナチスドイツによるオーストリア併合の過程における出来事を,関係者の実名入りで記したドキュメンタリー風の作品。淡々とした記述がかえって迫力を与えている。 「いちばん大きなカタストロフは,しばしば小さな足音で近づいてくる。」名言である。

 

ダヴィド・フェンキノス『シャルロッテ』 白水社 2020

実話に基づく,子供を身籠ったまま27歳でナチスのガス室に消えた,ユダヤ人女性水彩画家の伝記。一文一行の形式をとった叙述が緊張感を高めている。絵日記に残された言葉が,随所に引用されている。彼女の画集は別に出版され,ネットでも閲覧できる。これらは,彼女が逃れ逃れて最後に身を潜めていたスペインの家主さんが秘匿していたものである

 

サンティアゴ・H・アミゴレナ 『内なるゲットー』 河出書房新社 2020

ナチスの迫害からブエノスアイレスに亡命してきたポーランド人にしてユダヤ人の,残してきた家族への苦悩を描いた小説。著者は主人公の孫で,自らもアルゼンチンの圧政から亡命し,パリで暮らしている。アイデンティティーとは何かを問い,そのアイデンティティーから逃れられぬ思いを問うている。“Hier ist kein Warum” (ここにはナゼは存在しない)強制収容所におけるドイツ兵の被収容者の問いに対する言葉。

 

ジャン=クロード・グランベール『神さまの貨物』 ポプラ社 2020

森の中を走る貨物列車から一人の赤子が落ちてくる。それは。強制収容所に送られるその子の父親が助かって欲しいとの願いを込めて窓から落とした乳飲み子。子宝に恵まれない貧しい木こりの夫婦がそれを見つけ,神さまの贈り物として育てる物語。童話風に描かれたフィクションだが,著者の祖父と父親はホロコーストの犠牲者で,自身の存在に至るまで貫かれている愛をモチーフにしたものであろう。木こりの奥さんの言葉―「人でなしも人よ。心臓がある。心がある。おまえさんやわたしと同じように。」ー

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桃太郎

2020-12-24 14:25:04 | 日記

日本育種学会の和文誌が送られてきた。英文誌は電子情報化されていて,そちらの方はほとんど読むことがない。和文誌も興味のある総説か,英文誌の和文要約に目を通すくらいで甚だ不勉強である。今回送られてきた第22巻2号の中で目を惹いたのが,タキイ種苗グループによるトマト「桃太郎シリーズ」育成に関する記事であった。2019年度の学会賞にこの品種群育成が選ばれ,それを機に寄稿されたものらしい。

日本育種学会賞には学術賞と品種育成賞の二つがあって,私の記憶の範囲では,品種育成の賞の対象となったのは,国あるいは地方自治体による官製品種のみで,民間育種の受賞はこれが初めてである。この「官尊民卑」の傾向はかねてから気になっていて,「桃太郎」の受賞は遅きに失したとはいえ,嬉しい限りである。

記事によれば,「桃太郎」は1976年に本格的な育成に取り掛かり,約10年かけて1985年に全国にリリースされたという。それまでは完熟前の果実が青切り出荷されていたのを,「桃太郎」は尻まで真っ赤の完熟トマトで出荷することを可能にし,全国のトマト市場を席巻した。私もこの品種に瞠目したことを記憶している。これを嚆矢としてタキイ種苗は「桃太郎シリーズ」の名品種を陸続として発表した。

私は植物育種学を身過ぎ世過ぎの手段としてきたが,この記事を読んで,品種育成の過程には,私が習ったり教示したりした育種学ではとても包摂できない奥深さがあることをあらためて感じた。学会全体としても,学問と現場との乖離を埋める努力がもっとなされるべきではないだろうか。「桃太郎シリーズ」の学会賞受賞がその契機になれば幸いである。

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噂話

2020-12-22 15:40:21 | 日記

カミさんが,あるご婦人から,中国人が土地を買いあさるために北海道に入り込んでいて,それがコロナウィルス蔓延の原因になっている,という話があると聞いたという。にわかには信じ難いし,そのご婦人も単なる噂話として話したことだろう。

私がその話から思い出したのは,ヨーロッパやアメリカで,日本人を含む東アジア系の人たちが,コロナウィルスの感染源だといじめられているというニュースである。また,関東大震災の時の,朝鮮人虐殺も連想した。

スペイン語クラスの教材で読んだのだが,バルセロナ市は,特に移民に対する差別を助長するような噂(デマ)をなくすために,「反噂ネットワーク」を組織したという。このネットワークの戦略は,噂を真っ向から否定して一掃しようとするのではなく,粘り強い対話を通じて,噂のもとになっている情報が間違っていることを,噂を媒介する人々に納得させることだという。このネットワークに参加するエージェントは,移民に関するデマの根拠となっている情報が間違っていることを学ぶ。そして,移民に関する受入国のひとびとへのアンケートの結果を見せられる。粗野,無教養,怖い,この国の分化を理解せず同化しようとしない,等々。そして,このアンケートが1970年代にベルギーで働いていたスペイン人に関するものであることを知らされるという

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切り干し大根

2020-12-21 09:58:34 | 日記

切り干し大根が仕上がった。今年2セット目である。8月末に播いて,10月の終わりから収穫を始め,直径が10㎝くらいに成長して,残っているものから切り干し大根を作ることにしている。

厚さ5㎝くらいの輪切りにし,皮をむいて縦に四分の一に切り分ける。断面が台形になるように,弧の部分をそぎ落とす。かなり大きくそぎ落としても,その部分はカミさんが料理に使うので無駄にならない。断面が台形の塊を鰹節削りのような形のスライサーで削って,厚さ2~3ミリのスライスにする。これを包丁で千切りにし,酢水にさらす。繊維と平行に切るように気を付ける。酢水にさらしてあく抜きすると,色白の上等な感じの製品になる。水を切り,天日で干す。天気が続けば3日ほどで出来上がる。気温が低い方が,質が良いように感じる。

輪切り5個から,約100gの切り干し大根ができる。子供や知人に分ける分まで入れて,あと500gは作る予定である。ネット通販で調べたら,100g千円前後の価格が付けられていた。千切りを作って干すまでだけで1時間半ほどかかる。売る気はさらさらないが,この価格は私の作る切り干し大根には低すぎる。しかし,食べてもらっておいしいと感謝されれば,それに越したことはない。

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読書備忘(1)

2020-12-19 20:03:10 | 日記

Naoko Abe: ‘Cherry Ingram.’ The Englishman who saved Japanese blossoms. Penguin, London. 2019

昨年オランダを観光旅行で訪れた時,ふらっと入ったアムステルダムの街角の本屋で偶然目に入り,著者が日本名であることに興味を惹かれて購入した。一年近く本棚に眠っていたが,読みだしてみると面白く,一気に読了した。

ロンドン在住の日本人文筆家,阿部菜穂子さんによる,イギリスのアマチュア博物家にして桜愛好家のCollingwood Ingram (1880-1980)の評伝である。Ingramは日本のサクラに魅せられ,1920年代に日本を数回訪れ,日本の桜守たちと交流し,多数の品種・系統を収集して,イギリスの彼の所有地で繁殖した。中でも「太白」という日本ではほぼ絶滅していた品種がイギリスに輸入されて残っていたのを知って繁殖し,日本に里帰りさせたことは特筆に値する。

著者は一次資料を丹念に漁り,多くの知人たちにインタビューを重ね,Collingwood (Cherry) Ingram についての素晴らしい評伝を書き上げた。この評伝もさることながら,桜の日本精神史に果たした役割を論じ,太平洋戦争における悲劇的な役割に,悲しみをもって言及していることは著者の気配りである。

Collingwood Ingramの三男の妻が香港で日本軍の捕虜として虐待され,生涯桜を忌避していたこと,函館の桜ブリーダーが函館の捕虜収容所におけるイギリス兵への虐待の贖罪として,自分が育成した「松前」という桜品種を無償でイギリスの収集家に提供し,日英和解の糸口を付けたことなど,感動的な逸話がいくつも紹介されている。

アメリカ,ドイツ,スペインなど世界各国で翻訳・出版され高い評価を受けているらしいが,この英語版の出版に先立って,2016年に岩波書店から日本語版,『チェリー・イングラム 日本の桜を救ったイギリス人』が出版されている。日本人にももっと読んでほしい本である。

 

 

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ホウレンソウと鳥

2020-12-17 20:55:10 | 日記

今朝畑に行ったところ,ノラボウナが押し倒され,葉っぱが食いちぎられていた。鳥の仕業だ。昨日の午後はそんなことは見られなかったので,ゆうべから今朝にかけてやられたと思われる。例年より1ヶ月以上早くお出でになった。

この畑は,8年前からレンタルファームの一画を借りて耕作している。広さは約80㎡。年間十数種類の野菜を作り,台所に提供している。

作り始めて2年目にホウレンソウを蒔いた。寒締め用の縮葉の品種である。翌年の1月下旬,いざ収穫と畑に赴いたところ,葉がきれいに切り取られていた。悪質ないたずらだと思い,地主のおばあさんに訴えたところ,鳥の仕業だと教えられた。怒り心頭に発したが,それから一月半ほどすると,残された根元から新しい葉が成長して,寒締めのおいしいホウレンソウが食べられた。鳥は共生の礼儀を知っているのかと,妙に感心した。

以来,寒締めホウレンソウは,鳥の食べ残しを収穫していたが,今年はご遠慮願おうと畝を網で覆った。それが一昨日のこと。タッチの差であった。鳥にはノラボウナだけで我慢してもらおう。葉を啄まれても,ノラボウナは新しい葉をまたつけ,春先にはおいしい菜花を提供してくれる。

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流行語

2020-12-16 17:46:19 | 日記

今年の漢字は「密」,流行語大賞は「三密」だそうである。ちなみに,トップ10にあげられた流行語のうち,4つは何のことかわからなかった。過半数にならなかったのを可とすべきか。

新型コロナ流行に関連した標語私の印象に残ったのは「不要不急」である。何を不要不急とするかは,それを判断する主体の意思と価値観による。「不要不急」を慎んでという掛け声は,ものごとの価値観を見直す契機になり得る。新型コロナ騒然たる中で,さまざまな営為の存続が喧伝されるのは,それらが「不要不急」ではないと,世間に認知を求めているような気がする。

「不要不急」に関連して私が連想したのは,「欲しがりません,勝つまでは」,「贅沢は敵だ」という戦時中の標語であった。白い割烹着に「愛国婦人会」の襷をかけた女性の姿は,今でいう「自粛警察」に重なる。しかし,ひるがえって考えると,当時もっとも「不要不急」だったのは戦争そのものではなかったのか。

過日来日したIOCの会長は,来年7月のオリ・パラリンピックの開催は,人類がウイルスに勝った証となると力説した。ウイルスを相手に「戦う」とか「勝つ」とかいう言葉を使うのは私にはなじまないが,それはさておき,最近NHKが実施した世論調査によれば,来年7月のオリパラを「延期すべき」が35%,「中止すべき」が31%で,いずれも「開催すべき」の26%を上回っている。主催者や推進者は「不要不急」の観点からその価値観を見直せないものか。

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