羽花山人日記

徒然なるままに

『母の待つ里』(テレビドラマ)

2024-09-30 19:39:51 | 日記

『母の待つ里』(テレビドラマ)

宮本信子、中井貴一、松嶋菜々子、佐々木蔵之介、伊武雅刀という、豪華な出演陣の名前に誘われて、NHKBSプレミアムから2週連続で放映されたこのドラマを観た。

出演者の演技にゆとりがあるので、ゆったりとした気分で楽しむことができた。 それにしても、宮本信子のバーチャルと現実を使い分ける演技は圧倒的であった。

舞台はカード会社が経営する、「老母」が暮らすバーチャルの里。 1泊50万円で、茅葺の大きな曲がり屋で宮本信子扮する「老母」と一晩を過ごす企画である。

分断と孤立化が進む現在、どこにも落ち着き先がない孤独感・喪失感に悩む人を狙った商品ということであろう。

東北地方のローカル線の鄙びた駅を降りるとバスが待っている。 これも企画のうちで、運転手に問うまでもなく行く先は決まっている。

雑貨屋の前の停留所でバスを降りると、軽トラックで通りかかった老人が、「○○さんでねえが、よーくけえってきだな。母さんも喜ぶべ。」 といって、道を教えてくれる。 村の住民は、すべてバーチャルの里の構成員である。

テレビ画面を撮影

途中から犬に案内されて、伊武雅刀扮する寺の住職に声をかけられながら進むと「老母」が出迎え、「立派になってー」と来訪者をほめたたえて迎え入れる。 そして、お互いに「母と子」を演じて過ごす。

最初の来訪者は、中井貴一演ずる東京の会社社長。 60歳を過ぎて独身。 心ならずも社長になり、部下にかしずかれるが、疎外された孤独感にさいなまれている。

2人目は、松嶋菜々子扮する独身で50歳台の女医。 認知症の母を亡くし、医師として何もできなかったことに、無力感と喪失感を覚えている。

3人目は、会社のラインから外れて定年退職した中年の男性。 退職金の折半を確認した妻に離婚され、子供からも敬遠され、孤独と無聊の中で暮らしている。

「子」たちは、「母」の演技に戸惑いながら「子」を演じ、しかしだんだんとその人間味に引き込まれてゆく。

「子」が就寝した枕辺で、「母」は小さい時にしたようにと、村に伝わる昔話をしてくれる。 (ドラマでは、この昔話が文楽人形を使って演出され、効果的であった。 )この昔話は、「子」たちの心に今はいない母を感じさせ、自身をさらけ出して「母」に接するようになる。

悩みを打ち明ける「子」に、「母」は「カード会社に叱られるかもしれないけど」といって、仮面をはずして人として対応するようになる。 そして、来訪者たちは癒され、自身をリセットし、この里を帰るところと感じ、「母」との触れ合いを求めて再訪したり延泊したりする。 バーチャルの里は実在する里に転じる。

この女性が「母」を演じてなぜそのように「子」を引き付けるのかは謎である。 しかし、一両年もしないうちに「母」が亡くなり、葬儀に訪れて顔を合わせた「子」たちの前に4人目の「子」(満島真之介)が現れ、「母」なる人の悲しい歴史と謎が解き明かされる。

原作は浅田次郎の同名小説。 さすがのストーリーテラーである。

結論はやや甘いかなと感じつつ、結構ほっこりした気分にさせられた。

ドラマで名演した犬が、「のこ」の芸名でキャストに名を連ねていたのは愉快だった。

 

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アジア版NATO

2024-09-28 20:20:16 | 日記

アジア版NATO

自民党の新しい総裁が石破茂氏に決まった。

わたしには、9人の候補者の中で、絶対総裁になってほしくない人はいたが、是非なってほしい人はいなかった。石橋氏は、なってほしくないグループには入っていなかったので、ほんの少しホッとしている。

彼の口調はシンネリムッツリで言質を与えないという感じだったが、昨日からはなかなか能弁である。

その発言の中で、わたしが一番気になったのは「アジア版NATO」の構想である。

この発言は国際的に注目をあびているようで、中国には警戒感を与えたのは当然として、アメリカからも時期尚早との見解が出されている。

わたしにはこの構想が非常に危険なものに思える。

NATOは明らかな軍事同盟であって、そのアジア版といえば、中国、北朝鮮、ロシアを意識したものになるだろう。当然世界の分断化を促進することになる。

日米安保条約の施行や自衛隊の運用にあたって、日本政府は憲法との整合性にそれなりに配慮をしてきたはずである。

日本を対立する勢力の一方の軍事同盟国に位置づけ、それをもって国の形を変えようというのは議論が逆である。

石橋氏には、事実を先行させて憲法を形骸化するような蛮行はぜひ慎んでもらいたい。孫子のために本当にそう思う。

 

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『虎に翼』終わる

2024-09-27 20:16:15 | 日記

『虎に翼』終わる

NHK朝ドラの『虎に翼』が終了した。

わたしはカミさんと朝飯を食べながら、ほぼ毎回このドラマを観てきた。観終わっての感想は「秀」である。

日本初の女性裁判官三淵嘉子さんをモデルにした主人公佐田寅子を演じた伊藤沙莉さんの演技は、最初はちょっとなじめなかったが、年齢が進むにつれて、「裁判官のおばさん」という雰囲気が見事に演じられていて感心した。

わたしは9月6日のブログに、このドラマの原爆被爆者による損害賠償請求裁判の場面についての感想を書いたが、それ以降のシーンで特に印象に残ったのは、尊属殺人の違憲性を巡る最高裁判所法廷の弁論場面だった。

男装の女性弁護士山田よねが、弁護する被告人に対して、尊属殺人の重罪規定を適用するのは、法の根幹にある道徳に反していることを指摘し、「クソ」だと断じる。それに対し、裁判長が「不穏当な発言」を慎むように注意する。それを同僚の弁護士轟が引き取って、陳謝しながら山田を励ます。

わたしはこのシーンの流れに、ドラマの基調が示されているように感じた。

『虎に翼』には実に多くの社会的あるいは個人的な問題が取り上げられている。ジェンダー差別、夫婦別姓、同性婚、被爆補償、外国人差別、家族制度等々、ドラマ当時に存在し、現在に持ち越されている問題が、当事者を登場させて提起されている。

しかし、そうした問題の不当性を劇中では徹底的には追及しない。いろいろな壁を提示し、壁に突き当たった当事者を受け入れる人や台詞を用意し、問題をそれなりに落ち着かせ、視聴者を納得させる。見事な起承転結である。

作者の吉田恵理香さんはインタビューで法律の問題に正面から向かい合い、書くべきことを書くという姿勢で取り組んできたと語っている。そして、もう30回くらいドラマが続いて欲しいくらい、書きたいことがあったという。

憲法14条にある「法の下の平等」を基軸に置き、女性問題を中心に人権や社会構造の問題に正面から取り組んだ吉田恵理香さんに拍手を送りたい。

NHKの朝ドラの大部分はわたしの記憶の中で新陳代謝されている。『虎に翼』は、多分代謝されずに記憶の中に留まるだろうウ。

 

公民館の庭で

ムクナ

ランタナ

ヒャクニチソウ

 

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ナスカの地上絵新たに

2024-09-25 19:35:04 | 日記

ナスカの地上絵新たに

山形大学の坂井正人教授らの研究班が、IBM研究所と共同して、AIを駆使して新たな地上絵を発見したとの報が伝えられている。

同大学は2004年から、ペルーのナスカ台地に散在する地上絵の研究を行ってきたが、航空写真の解析からAIが特定した1309地点の四分の一を現地調査し、新たに303点の地上絵を確認したという。

地上絵には二つのタイプがあるという・

一つは「面タイプ」で、地面を掘ったり、石を積み上げたりして作られている。平均的な大きさは約9メートルで、人形、ヒトの顔、家畜のような動物が描かれている。道路沿いに描かれ、人身供犠や家畜のことについて、歩きながら眺めて勉強したのではないかと、阪井教授らは考えている。

もう一つのタイプは「線タイプ」で、従来からわかっていて観光スポットとされていた、コンドルとかサルのような地上に線で描かれたものである。大きさは平均で大体90メートルで、約50点が確認されている。坂井教授らは、このタイプの地上絵は宗教的儀式に使われたと考えている。

なおこの研究結果は米国アカデミー紀要に掲載されていて、下記のウェブサイトから地上絵の画像を見ることができる。

AI-accelerated Nazca survey nearly doubles the number of known figurative geoglyphs and sheds light on their purpose | PNAS

ナスカの地上絵については、2022年7月にこのブログで取り上げたことがある。

そこにも書いたが、マリア・ライヒェというドイツ生まれの女性が、1938年に、アメリカの考古学者とともに地上絵を発見し、以来彼女はその守護神として一生を過ごした。時によると地上絵を私物化したような振る舞いをして、他の研究者の調査を妨害することもあったが、ペルー政府はその功績を認め、彼女の誕生日は国民の休日となっている。

彼女は地上絵に天文学的な意味づけを与え、いろいろな仮説を提起しているが、それは根拠がなく、想像上のものとみなされている。

しかし、彼女以外の考古学者が提案した、天文学的あるいは水文学的な仮説も、具体的な証拠を欠いているようである。

山形大学の研究班が提起した説の根拠や確かさについてはわたしにはわからないが、ナスカの民は文字を欠いており、状況証拠的なことに基づいていることは確かだろう。

地上絵はまだ500以上は見つかるだろうと、坂井教授は言っている。地上絵の持つ意味はさらに明らかにされていくだろう。

わたしは、この前のブログに、地上絵はナスカの人々の遊び心によって描かれたものという、全く無責任・無根拠な仮説(?)を提案した。

研究者には叱られるかもしれないが、ナスカの地上絵は謎のままでいてくれる方が面白いと、わたしは思っている。

マリア・ライヒェ書斎(既出)

ライヒェの研究ノート

ナスカ地上絵「ハチドリ」

同「手」

写真はいずれも2011年撮影

 

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アリの会話

2024-09-23 19:13:52 | 日記

アリの会話

一昨日NHKEテレで再放送された「サイエンスZERO アリに言葉あり」は面白かった。話題はアリの音によるコミュニケーションで、岡山理科大学教授の村上貴弘さんのユニークな研究が紹介された。

研究対象にされたのは中南米に生息するハキリアリ。わたしはこのアリにサンパウロ大学の研究室でお目にかかったことがある。

100万匹単位の大家族集団で、その名の通り木の葉を切り取って巣に運び、キノコを栽培してえさにしている。農業をするアリともいわれる。

テレビ画面を撮影

分業が発達していて、葉の切り取り、切り取った葉の運搬、キノコの栽培、清掃、幼虫の世話など30種類くらいの仕事に分かれているという。

地下に作られる巣は大きくて、トラックが上に乗っかると沈んでしまうという話を聞いた。

ハキリアリが何か音を出しているということは以前から言われていたが、村上さんはこの音を拾う特別なマイクを作って、ハキリアリの音を解析した。10種類以上の音があるという。以下番組で紹介されたことを記述する。

葉を切り取るときに音を出す。無用で切り取る必要のない葉の上ではこれとは違った音を出す。切り取るときの音は他のアリを誘導する。

巣を壊すと女王アリが音を発する。部下のアリを鼓舞して巣の修理と外敵の警戒に当たらせる。

音を出さないようにすると、アリはキノコを育てなくなる。音が聞こえないようにするとアリはウロウロするだけで社会的行動をしなくなる。

ハキリアリの近縁種を調べると、進化の順が新しくなるにつれて集団が大きくなり、音を出す頻度が増加する。大きな社会集団の維持には、音によるコミュニケーションの必要性が増加しているといえる。

アリは音を出すものと出さないものの2種類に分かれる。腹部と胸部の境目にある腹柄節が2個あるアリは音を出す。腹部の上部に表面がギザギザの発音器官があり、これをこすって音を出す。打楽器のギロと同じ仕組みである。

ギロ

音の受容器官は肢にある。空気の振動でなく、肢が接触している枝ような固形物を通ってくる振動を受信する。

わたしは。アリがフェロモンによって情報伝達をするのは知っていたが、音でコミュニケーションを取っていたことは知らなかった。

村上さんの発見は、世界で初めてだそうである。耳では感じることのできないかすかな音を拾い、それらの音の持つ意味を解明した、ユニークなそして粘り強い研究の成果に心から拍手を送りたい。

ハキリアリは農業害虫で、農薬によって駆除されている。村上さんは音を通じてハキリアリとコミュニケーションをはかり、うまく共生できないかと考えている。

そんなことができたらなんと素晴らしいことだろう。

 

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50-50

2024-09-21 19:35:08 | 日記

50-50

大谷翔平選手が50本塁打50盗塁を達成した。大リーグ前人未到とのこと、全く素晴らしい。やろうと思ってもできないことを、彼はやろうとしてやってしまう。

試合後のインタビューの対応も、素直で如才なく好感が持てる。すべての人に愛されるように生まれ育ってきた好青年である。だから、ゴリラのような大リーガーたちに混じっても、ニコニコしていられるのだ。

日本人大リーガーとしては、松井選手の打点を超え、イチロー選手の盗塁数に迫っている。しかし、大谷選手のホームラン数はイチロー選手よりはるかに多い。ホームランを打つと盗塁をすることができないことを考えると、盗塁数もイチロー選手を越えているといってもいいのではないだろうか。

大リーガー前人未到の記録は、48-48のときには達成されていた。しかし、それほど騒がれず、50-50への期待の方が多く語られていた。

人間は10で区切られた数字を好む。○○十周年記念、□□十年代等々。これはヒトには5本の指があって十進法を採用しているからだろう。

もし、ヒトの指が4本で八進法を採用していたら、48-48を大谷選手が達成した時点で、60-60の大記録と大騒ぎしていたことだろう。

もっとも、ヒトの指が4本だったら、人類が野球をやっていたかどうかは不明であるが。

 

天晴れ大の里

わが町の二所ノ関部屋関脇、大の里が14日目で優勝を決めた。これまでに3敗している大関豊昇龍が相手でやや心配したが、内容は圧勝。今場所の好調ぶりを象徴する一番だった。

先々場所の優勝に次ぐ先場所は、序盤に迷いがあり9勝6敗に終わったが、これがいい薬だったか。物言いのついた相撲が3番あったが、内容はすべて圧勝だった。

来場所の大銀杏を結った大関の姿を見るのを楽しみにしている。

 

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胸つぶれる思い

2024-09-20 19:32:41 | 日記

胸つぶれる思い

凶刃に襲われてなくなった中国日本人学校のお子さんのことを思うと、胸がつぶれる思いがする。

こんなことは絶対にあってはならない。真相は究明され、明らかにされなければならない。

わたしは、この事件に、1世紀にわたる歴史の重みがかかっているように感じる。

その重みをわがこととしても受け止め、亡くなったお子さんとご遺族に、心からの哀悼をささげる。

合掌

 

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反差別のカルト化

2024-09-19 19:08:32 | 日記

反差別のカルト化

9月14日付の朝日新聞の「多事奏論」に、田玉恵美記者による面白い記事が載っていた。

記者旧知の大阪で着物屋を営む居内久勝さんは、画像資料を参考に新しい文様の浴衣を売り出し、その文様をSNSに載せて販売した。なかなか好評だったが、その柄がアイヌ民族の伝統的な文様だったので、アイヌ民族を抑圧してきた和人の浴衣にそれを使うのは、アイヌの尊厳を傷つけるものだとの抗議が寄せられるようになり、それがまたたく間に広がって、抗議の電話までかかってくるようになった。

アイヌ問題には無頓着だった居内さんは、調べてみると、浴衣の柄がアイヌ工芸家関根真紀さんのデザインに似ていることに気づき、販売を中止して北海道まで関根さんに謝りに行った。

関根さんの対応を読んで、わたしはホッとした気分になった。

彼女はいう。

アイヌ文様を和服に使ってくれて嬉しかった。基礎や歴史性や地域性を学ばずに好き勝手にやるのは困るが、アイヌ文様はアイヌだけのものではないので、勉強して使いたい人は応援したい。

さらにいう。事情も知らずにアイヌのためにとか上から目線で抗議するより、アイヌのことは知らなくても、かっこいいといって作品を買ってくれる人の方がよほどアイヌの力になっている。

居内さんに抗議を寄せた人たちの中には、アイヌの方たちも混じっていたらしいが、この話から、わたしは、「思い込みの正義」に依拠する「反差別行動」が、ネット上の炎上を通じてカルト化し、逆に差別を助長するのではないかという危険性を感じる。

なお、関根さんがデザインし、居内さんが制作したネクタイが好評で、千本以上売れているそうだ。

 

国際的日本語単語

昨日の「天声人語」に、オックスフォード英語辞典(OED)に収録されている日本語の単語の話が出ていた。

わたしはその辞書を持っていないので、ChatGTPにどんな単語が収録されているか調べてもらった。

以下の単語が挙げられた。

Karaoke(カラオケ)、Tsunami(津波)、*Tycoon(大君)、

*Samurai(侍)、*Shogun(将軍)、Sushi(寿司)、

Tofu(豆腐)、*Kimono(着物)、Origami(折り紙)、

Sukiyaki(すき焼き)Ramen(ラーメン)、Ninja(忍者)、

Manga(漫画)、Anime(アニメ)、Pachinko(パチンコ)、

Zen(禅)、Bonsai(盆栽)、Haiku(俳句)、

Karate(空手)、Judo(柔道)

手持ちの1952年版Concise Oxford Dictionaryに収録されていたのは、上記のうち*印をつけたもので、いずれも武家政治時代にかかわっている。

OEDは定期的に新単語を補充しているというので、日本の文化や習慣が国際的に広まっていくにつれて、その他の単語は英語圏で使用される単語として認知されるようになったということだろう。ちなみに、カラオケが収録されたのはパチンコより後らしい。すき焼きは寿司、豆腐に先立っているようだ。

animationから派生したアニメという和製英語が、英語圏に普及したのは、なんとなく愉快である。

 

知人が送ってくれた写真

グロリオサ

アメジストセージ

 

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エミー賞

2024-09-17 19:16:05 | 日記

エ ミ ー 賞

真田広之さんの制作・主演による『SHOGUN 将軍』が、テレビドラマのアカデミー賞ともいわれるエミー賞を獲得したニュースが、大々的に報じられている。作品賞、主演男・女優賞をはじめとする18部門の独占的受賞とか。快挙である。

このニュースを聞いてすぐ思い浮かべたのが、20年くらい前に公開された『ラスト サムライ』である。

トム・クルーズと渡辺謙の主演で大々的に宣伝され、ヒットした作品らしいが、わたしはテレビで観て実に嫌な気分になった。明治維新を題材にしたらしいが、日本には全くあり得ない滑稽なシーンの連続で、あまり使いたくない「国辱的」という言葉がぴったりのように思えた。

真田さんはこの映画の編集に参加し、できるだけ日本のイメージに近づけようと努力したが違和感が残ったという。

以来、本物の日本時代劇を世界に伝えようと、満を持して送り出したのが『SHOGUN』である。台詞の7割が日本語で、時代劇のための専門スタッフを日本から呼び寄せたという。また、三浦按針に模したイギリス人の目を通した演出にして、国際性にも配慮している。興行的にも大ヒットしたらしい。

このニュースを聞いて、留飲を下げた思いがする。わたしはやっぱり愛国者なのだ。

ぜひ観なければと思っている。

真田広之さんに満腔の敬意を。

 

中秋の名月

自宅ベランダから撮影

 

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(ニセ)アカシア

2024-09-16 15:50:28 | 日記

(ニセ)アカシア

兵庫県三田市の住宅街、「アカシア台」のニセアカシア並木の伐採が話題になっている。

この地域には1987年当時、1.86キロに300本以上のニセアカシアが植えられ。市民にはアカシアの名前で親しまれてきた。

しかし、台風による枝折れや倒木、根上がりによる交通事故などの危険性から、2018年に市は一部区間のニセアカシアの半数を伐採する計画を発表した。

この計画には、住民から賛否両論が寄せられ、市は一旦計画を白紙に戻し、自治会による住民、市、専門家による検討会を設けて並木の措置を検討することにした。

2022年、検討会は「歩道の安全性や生物多様性の観点からニセアカシアは街路樹としての適性を欠く」として、他の樹種に転換していく方針を決めた。住民へのアンケートでは、約9割がこの方針に賛成しているという。

今年すでに、一部のニセアカシアが伐採され、外来種だが街路樹特性に優れたセイヨウシナノキに植え替えられているという。

わたしは、2021年1月20日のブログで、長野県で行われていたニセアカシア伐採計画を批判した。ニセアカシアが侵略的外来種ワースト100に入っていることを根拠に、地元に親しまれてきたニセアカシアを無媒介に根絶しようとする計画の杜撰さを指摘しt。

今回の三田市の措置は。住民を含めた十分な検討を経たもので、寂しい気持ちはするが、やむをえないものだと思う。

前述のブログ記事の一部を引用し、伐採されるニセアカシアへの挽歌としたい。

《ニセアカシア(ハリエンジュ)は地元では単にアカシアと呼ばれ,犀川や奈良井川の河岸を彩る景観として慣れ親しまれてきた。母校の応援歌には「アカシア薫る旗風に」という歌詞があり,美術部はアカシア会と命名されていた。初夏に白い花をつけ,蜜蜂がそれに群れる。アカシアのある風景は,わたしのノスタルジアをかきたてるものである。

そのアカシアが何故?調べてみると,ニセアカシアはとんでもない悪者に仕立てられていた。日本生態学会は侵略的外来種ワースト100のひとつに選定し,法的には生態系被害防止外来種リストに記載されている。その性質はすべて悪いものとされる。繁殖力旺盛で松林などに侵入して,景観を大きく改変する,マメ科で空中窒素固定能力があり,生物多様性を損なう,等々。果ては,棘があるのでヒトに怪我をさせる。まさに,坊主憎けりゃ袈裟まで憎いのである。

わたしはかねがね外来種駆除のあり方に違和感を覚えていた。フレッド・ピアスが書いた『外来種は本当に悪者か? 新しい野生THE NEW WILD』(草思社 2016年)を読んで,その意を益々強くした。外来種が入り込んで,豊かで安定した生態系が作られた例,外来種を駆除しようとした事業が,出来上がっていた生態系を攪乱し,惨憺たる結果に終わった例などが具体的に述べられ,外来種をいたずらに排除しようとするのではなく,取り入れて評価し,利用することの重要性が述べられている。そもそもわれわれの身の回りは外来種だらけである。極端な例をあげれば,食用作物で在来種なのは,ダイズ,アズキ,ワサビなどほんのわずかで,圧倒的大部分は外来種である。

アカシアのある景観は,地元住民にとっては100年以上にわたって慣れ親しんできた大切なものである。ニセアカシアに不都合なところがあれば,調節すればよい。外来種だといって撲滅を目指し,公的機関がボランティアまで募集するというのは,全く承服できない。ニセアカシアは伐採してもひこばえからの再生力が強く,そのため駆除に除草剤の使用が推奨されている。除草剤を散布して得られる生物多様性とは一体いかなるものか。

奈良井川沿いのアカシアが健在であることを,mt77さんのブログで知った。この景観が無粋な外来種駆除によって破壊されないことを強く願っている。》

 

宇宙飛行士

孫の作品。クス、プラチナ箔、油絵具。

束縛から解放された宇宙空間における孤独、しかし、地球とのつながり、自分と見つめあう他の存在。

そんな実存主義的なことを思いながらの作品らしい。

 

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