づれづれ気儘日記です

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一周まわって思春期?

2016年10月01日 08時51分42秒 | 日記

 今年は、渥美清さんの没後20年だそうで、

8月からNHKのBSプレミアムで『男はつらいよ』の特集や映画を放送している。

懐かしさもあり、映画や特番をDVDに録画保存している。永久保存版である。
 (映画『男はつらいよ』は全48作品だが、NHKでは10数作品の放送。
  残りも放送してくれると嬉しいのだが。)

没後20年。もうそんなに経ったのか、と過ぎ行く時の早さを実感するが、

寅さんの映画をある時期はほとんど見てなかったのに、今更永久保存しようと思う自分にも

なんとなく不思議な気もしている。



 思い起こせば、映画『寅さん』を初めて観たのは、高校生のとき。

それも学校の体育館で、授業の一環として全校生徒が半強制的に観せられた。

今から40数年前のことだ。

 冷静に当時を思い出しても、なぜ『寅さん』だったのか、

なぜあんなに進路指導も生活指導もろくにしなかった学校が校内で映画を上映したのか、

不可思議なことだらけなのである。しかし、間違いなく高校で観せられたのだった。

とてもじゃないが、寅さんのように人情溢れる学校ではなかったのに・・・。

当然の如く、学校からはなんの説明もなかった。


 良いように考えると、

当時は学生運動も下火になってきて、過激派が社会問題になってきた時期で、

社会的に醒めた、シラケたという言葉が流行って、それと高度成長が

相まって混沌とした時代だった。また、卒業生が浅間山荘事件の犯人だった

ということもあって、学内はなんとなくざわついて、冷たく動揺していた感じも

漂っていたから、学校側も教育的配慮をした結果、似つかわしくないが、

急遽『寅さん』を生徒達に鑑賞させて変な緊張を和らげようとしたのかもしれない。




 しかし、素朴に考えると、

ホントになんの指導もない学校だったので、

単純に個性的な先生が多かったし、そういう趣向の強い先生が

遊び半分で計画したのかもしれない、と思ったり・・・。

自分たちが観たかったのかも、と思ったり・・・。

それとも、なんの文化的な計画もなかったので、思いつきで上映したのかも・・・。
(・・・我が母校なので、そこまで疑ってしまう自分が少し恥ずかしいのだが。)



 今となっては真実は分からない。



 結果論かもしれないが、情操教育としては、独特で一貫性はないものの、

粋な企画と言えなくもない気もする。

 というのは、なんにもない中で、唯一『寅さん』を上映したという突飛な印象を残した結果、

こうやって改めて40数年後に感慨深げに思い出に耽る卒業生が実際いるわけだし。

あながち教育上、無駄ではなかったようにも思ったり・・・。たった一人かもしれないが。




 ともあれ、前段が長くなって恐縮だが、

『寅さん』が世に出て数年の頃、

つまり、1970年代初めの頃、思春期に見た『寅さん』は、ホントに面白かった。

観たいきさつはどうであれ、喜劇というものを肌で初めて感じた気がしたし、

多感な時期ではあったが、以降、20代前半の頃は何篇も『寅さん』映画を観ることにもなって、

自分なりに考え方や価値観も広がって、寛容な気持ちも少しは習得した気もしている。



 しかし、不思議なことに、社会に出たくらいからはほとんど観ることがなくなった。

日本的な、人情が絡むベタベタしたような情緒や場面がくどくて嫌になったのか、

発展しない毎回お決まりのパターンの物語に飽きたのか、

それとも、気ぜわしくてとても観る余裕がなかったのか、・・・。

 そういうこともあったのかな、と自分なりに今考えれば思うものの、

その頃は、理由もなく、あまり観る気になれなかったのだ。



 それがこの8月からのNHKの特集で、『観よう』となったのだ。

なにがきっかけなのかは、自分でも分からないのだが。



 録画しているので、映画を全編は観てないが、

どの作品も始めの部分を垣間見ただけで、なぜだろう、涙があふれてくるから不思議だ。

毎回お決まりのプロローグ、さくらやお馴染みの面々とのからみ。

この場面を見るだけで、既に涙腺が緩んでしまう・・・。

 すごく懐かしい人(或いは、亡くなった人)との再会を果たしたような感覚、のように。






 年寄りになると、赤ちゃん返りの現象が出るらしいが、まだ赤ちゃん返りには早い。

が、この頃なんとなく思春期の感覚に戻ってきた感じもする。なぜか感動することが増えてきた。

ちょっとしたことでもすぐに感動してしまう。


 ということは、ひとまわりまわって、これから若い頃に戻っていくのだろうか、

なんて思ってしまう。 還暦、暦が一周して戻る、とはこういうたぐいのものかと、

手前勝手に考えてしまう。



 それにしても、『寅さん』の懐は深い。自分を写す鏡のようにも思える。

誰もが当てはまるということはないが、時代、時期によって、

忘れていたものを思い出させてくれる何かが、そこにあるのかもしれない。




 とはいえ、これは喜劇なので、やっぱり涙を流しながらの視聴は相応しくない、と思う。

なので、もう少し冷静に観れるようになった頃合いを見はからって、視聴しよう。





    <最近の愛犬達  本文とは全く関係なし・・・・・>