映画と自然主義 労働者は奴隷ではない.生産者でない者は、全て泥棒と思え

自身の、先入観に囚われてはならない
社会の、既成概念に囚われてはならない
周りの言うことに、惑わされてはならない

宮本武蔵 (溝口健二 1944年12月28日 55分 松竹)

2013年10月25日 17時30分38秒 | 溝口健二
宮本武蔵 (公開1944年12月28日 55分 松竹)

演出  溝口健二
原作  菊池寛
脚色  川口松太郎
撮影  三木滋人
武道指導 高野弘正

出演
宮本武蔵............河原崎長十郎
佐々木小次郎........中村翫右衛門
野々宮源一郎........生島喜五郎
野々宮信夫..........田中絹代


陸軍にしろ海軍にしろ、軍の部隊が駐屯する日本の地方の街の遊郭、芸者置屋は、軍人、兵士のお客で繁盛していました.けれど
も、戦争が烈しくなって軍隊が海外に進駐し、遊郭、芸者置屋の経営が成り立たなくなると、遊郭、芸者置屋も、軍隊と一緒に海外に出て行くようになりました.

兵法とは、戦の方法であり、兵法を探求するとは、戦争の方法を探求することである.
武蔵は小次郎との戦いの後、「自分には迷いがあった」、と言いました.女に惚れて、そしてその女に未練があったことを告白して去っていったけれど、つまりは、兵法には女は無用というより邪魔であり、女に未練を抱くような人間には、戦争を行うことは出来ないと言っている.

山本五十六が真珠湾攻撃の最中に、情婦に手紙を書いていたのは有名な話.
2.26事件の日、横須賀を離れて東京で女遊びをしていた米内光正が、事件発覚前に朝の電車で横須賀に戻り、事なきを得た話も有名.
空母加賀だったと思うけど、横須賀に停泊しているときに、船内に芸者を呼んでどんちゃん騒ぎ.
ビルマでは、上層部の軍人は、皆、なじみの芸者がいて、毎晩、毎晩どんちゃん騒ぎ.
辻政信と言う戦後、国会議員にまでなった軍人がいます.彼は海外の部隊に赴任すると、まず経理部に行って司令官の公用車の運行記録、芸者置屋への支払いを調べ上げて、「貴様、それでも軍人か」と、詰め寄ったそうです.これで、司令官は辻に頭が上がらなくなり、辻は自分勝手な命令を出しました.

慰安婦の問題だけではありません.ともかく日本の軍隊は女と切っても切れない関係にあったのですが、その様な軍隊では戦争は出来ないと、溝口健二はあっさりと描いています.


「武蔵の剣にも迷いがあった.曇無しとは言い難い.修行が足らん、修行が足らん」
「兵法道、一生の修行」
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戦時中の溝口健二の作品

元禄忠臣蔵
天皇の怒りをかえば逆賊である.逆に天皇の許しがあれば何をやっても許される.
聖賢(中国の賢人)の教えに従えば、国を守ることを考えるべきだが、我らは日本人なので武士の考えが優先される.と考えて、他人の家(他人の土地)へ押し入り、殺人を働いて国を滅ぼした話しを、太平洋戦争開戦に合わせて描きました.

名刀美女丸
名刀は熟練した刀鍛冶にしか作ることは出来ない.
優れた兵器は、熟練工にしか出来ないのですが、熟練工は兵士に取られ、当時の軍需工場で働いていたのは学徒動員の中学生、女学生ばかりでした.


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