『古都』
1963年1月13日公開 105分
監督 中村登
製作 桑田良太郎
原作 川端康成
脚本 権藤利英
撮影 成島東一郎
音楽 武満徹
出演
岩下志麻
吉田輝雄
早川保
長門裕之
環三千世
中村芳子
宮口精二
東野英治郎
双子の姉妹.
妹は、捨てられた姉が、捨てられたことによって辛い思いをしているのではないかと、それを案じて姉を探し求めていた.
他方姉は、彼女は自分が裕福な家に拾われて幸せになったが、妹の方は自分を捨てるような貧乏な家庭で辛い思いをしているのでは、と案じていたのだった.
姉は、幸せはお金だと、お金が重要だと思っていたのかもしれないが、妹には無用だった.綺麗な着物も、姉と自分を間違えた男もいらない.彼女は自分で働いて、自分で幸せを掴む女の子だった.
双子の姉妹であっても、それまで別々の暮らしをしてきたのであり、なおかつ、姉は姉なりの幸せを、妹は妹なりの幸せな生き方をしてきたのだから、これからもそれぞれの道で、それぞれの幸せを求めて行けば良いのだ.
幸せは、お金ではない.姉妹が互いに互いの幸せを願う、その心に有るはず.
その心を姉の元に残して、妹は帰って行った.
------------------------------------------------
もし姉妹のどちらかが愚れた生活をしていたら、愚れた当人が不幸なだけではなく、姉妹の他方も辛い思いをしなければならなかった、こう考えれば、二人共にそれぞれの生き方で幸せな生活をしていたとすれば、相手の幸せは自分の幸せでもあったはず.
誠実
妹を姉と勘違いしたのは仕方のない事だった.けれども、だからと言って姉から妹へ心変わりした織物屋の若者、彼は誠実な人間と言えるのだろうか.
親が子供を捨てることは、これ以上にない不誠実な出来事である.妹はその事実を、その不誠実を許すことが出来ず、姉を探し求めていたと言ってよいでしょう.
巡り合って姉の幸せを知った彼女は、それまでと変わらない自分自身の仕事を続け、そして姉の幸せの邪魔をしない生き方をすること、つまりは自分自身に誠実な生き方を望んだのだった.
-------------------------------------------------
妹は片意地張らずに、姉の好意を受け入れて一緒に暮らしても良いのではないか、と、思えてならないのだけど.....
けれども、そうしたならば、それは、親が子供を捨てた行為を、肯定することに他ならない.
貧乏な家庭だったので、金持ちの家の前に子供を捨てたら、その子は幸せになった.子供を捨てて良かった、と言う話になってしまう.
子供が親に捨てられた不幸と、裕福な優しい両親の家庭に拾われた幸福とは、別のものである.
今一度書けば、自分自身に誠実に生きること、幸せはそこから始まるはずだ.
1963年1月13日公開 105分
監督 中村登
製作 桑田良太郎
原作 川端康成
脚本 権藤利英
撮影 成島東一郎
音楽 武満徹
出演
岩下志麻
吉田輝雄
早川保
長門裕之
環三千世
中村芳子
宮口精二
東野英治郎
双子の姉妹.
妹は、捨てられた姉が、捨てられたことによって辛い思いをしているのではないかと、それを案じて姉を探し求めていた.
他方姉は、彼女は自分が裕福な家に拾われて幸せになったが、妹の方は自分を捨てるような貧乏な家庭で辛い思いをしているのでは、と案じていたのだった.
姉は、幸せはお金だと、お金が重要だと思っていたのかもしれないが、妹には無用だった.綺麗な着物も、姉と自分を間違えた男もいらない.彼女は自分で働いて、自分で幸せを掴む女の子だった.
双子の姉妹であっても、それまで別々の暮らしをしてきたのであり、なおかつ、姉は姉なりの幸せを、妹は妹なりの幸せな生き方をしてきたのだから、これからもそれぞれの道で、それぞれの幸せを求めて行けば良いのだ.
幸せは、お金ではない.姉妹が互いに互いの幸せを願う、その心に有るはず.
その心を姉の元に残して、妹は帰って行った.
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もし姉妹のどちらかが愚れた生活をしていたら、愚れた当人が不幸なだけではなく、姉妹の他方も辛い思いをしなければならなかった、こう考えれば、二人共にそれぞれの生き方で幸せな生活をしていたとすれば、相手の幸せは自分の幸せでもあったはず.
誠実
妹を姉と勘違いしたのは仕方のない事だった.けれども、だからと言って姉から妹へ心変わりした織物屋の若者、彼は誠実な人間と言えるのだろうか.
親が子供を捨てることは、これ以上にない不誠実な出来事である.妹はその事実を、その不誠実を許すことが出来ず、姉を探し求めていたと言ってよいでしょう.
巡り合って姉の幸せを知った彼女は、それまでと変わらない自分自身の仕事を続け、そして姉の幸せの邪魔をしない生き方をすること、つまりは自分自身に誠実な生き方を望んだのだった.
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妹は片意地張らずに、姉の好意を受け入れて一緒に暮らしても良いのではないか、と、思えてならないのだけど.....
けれども、そうしたならば、それは、親が子供を捨てた行為を、肯定することに他ならない.
貧乏な家庭だったので、金持ちの家の前に子供を捨てたら、その子は幸せになった.子供を捨てて良かった、と言う話になってしまう.
子供が親に捨てられた不幸と、裕福な優しい両親の家庭に拾われた幸福とは、別のものである.
今一度書けば、自分自身に誠実に生きること、幸せはそこから始まるはずだ.