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2006年12月24日HMS上級のレイアウト

2006年12月28日 | 上級レイアウト
 安全運転競技会の翌日のHMSです。担当はY下さんとMNMさんですが、暖かいご配慮のもと、前日のレイアウトを再現してくれました。
 私自身のことで言えば、私は一発勝負みたいなことは大変苦手で、競技会のような場面にはなるべく居合わせたくないのですが、ブログのネタ割れが心配で、泣く泣く参加したのでありました。案の定、相応しい結果になりました。 競技会のような局面を志向する人にとっては「タラ、レバ」は禁句、それが実力といった考え方になるでしょう。しかし、「走るソクラテス」的に言わせてもらうなら、「タラ、レバ」こそが哲学の原点なのです。
 実際、こういう機会を与えてもらって思ったのですが、「うまい人」は、直感的に最適なラインを選び、無造作に正しい操縦をするということです。そういう人たちは、一発で素晴らしいタイムを出しますし、その「うまさ」は、ただただ脱帽です。
 私のような年寄りの哲学者は、コースを与えられてから、自分自身への自問自答を繰り返し、「タラ、レバ」を反芻しながらラインとタイムを詰めて行くのだなあと思います。

 ちょっと愚痴が入ってしまいましたが、上図は当日午前中のコースレイアウトです。スタートのUターンを除くと、全くもって大会のコーススラロームと同じレイアウトでした。

 先に、前日の大会のコースを振り返ってみましょう。



 課題別に見ると10のセクションに分けて考えることができます。

 ①は、スタート直後のUターンです。車両をスタートラインに対して斜めに構えるか、直角に普通にスタートするか、二つのパターンがあります。斜めに構えた方がコーナーとしては浅くなりますが、進路が見えにくくなることと、普段やったことがないラインなので、失敗の危険があるでしょう。あとは、半クラッチを長めに使ってバイクを立て気味にしてトロリと回るか、少し前方に突っ込んで、クラッチをつないでバイクを寝かせていくかの選択があります。

 ②は右ターンの出口から直パイの最初のパイロンに向って左に緩く切り返すのですが、その時に滑らかに加速しながら切り返して直パイの通過速度にうまく乗せてあげられるかがポイントになります。ここは大変、難しくて、24日に何回も走ってから、やっと思うようなラインを作れるようになりました。やはり一発勝負では運を天に任せるようになってもやむを得ないかなあと思わせられます。

 ③は間隔9メートルほどの直パイですが、アクセルのオンオフをなるべく小さくして高い速度を保ったまま走り抜けます。

 ④はオフセットスラロームのセクションで、パイロンを小さく回り直線を作ってドンと加速するという走り方になります。このコースは全体の構成として、④と⑨が直線を作る走り方をするセクションで、(⑥はちょっと違うのですが)その他のセクションは概ねパーシャルスロットルでスピードをなるべく維持してバイクを寝かせたまま走るつくりになっています。24日にY下さんが説明してくれたのですが、④⑨の直線を作って加速する走り方をその他のセクションに持ち込んでしまうと窮屈なラインになってしまうということです。

 特に④を抜けて⑤に向かう時に、そのイメージを残してしまい、⑤を直線的に走ろうとすると⑤の脱出速度が遅くなり、定常円の旋回速度に乗せるのが難しくなってしまいます。この定常円の旋回速度はかなり高いので、⑤の右コーナーを出た後、左に倒して加速しながら、定常円を旋回するバンク角とスピードを一発で作ることを目指します。

 ⑥は二つの定常円とそれを結ぶ直線のセクションです。一つ目の定常円から早めにスロットルを開け始め、バイクを起こしてフルスロットルを目指します。N口さんの豪快なハイサイドを利用した切り返しが見られたのは眼福でした。
 二つ目の定常円へは、アプローチ速度を落としすぎないようにすることと、旋回中に速度が落ちないように注意します。

 ⑦は⑥が大きなセクションであったことに対してリズムを変えて、細かいリズムで直パイのような切り返しをします。

 ⑧はバイクを倒したまま次々に切り返して行くセクションです。コーナーごとに必要とされる旋回半径を維持したままコーナーの角を舐めるように走っていきます。このセクションの中では、コーナーごとにスピードを決めたらそこでアクセルのオンオフが無いような滑らかな操作を心がけます。

 ⑨は走り方が変わって、直線が作れる場所です。赤い矢印で示したように、二つの直線を作ってオフセットパイロンのような走り方が出来ます。ただし、そこにアプローチする上で、⑧のセクションの最後のコーナーの出口をどこにとるかを考える必要があります。

 ⑩は最後のUターンで特に難しいことはないのですが、なるべく小さく回るようにします。失敗を怖がって手前を大きく回りがちなのですが、パイロンに向っていってスピードを落として小さく回るべきでしょう。ただし競技会のような一発勝負ではそうはいかないのですが‥‥‥‥。N口さんは最小回転半径で回っていました。
 あとはタイムアタックとして考えると、最後のブレーキをきちんとやればそれだけでコンマ幾つは変わってきますけどね。まぁ、そこまでやるかどうか‥‥‥‥。




 さて、冒頭の図を再掲しましたが、スクールでの練習となると上記のような各セクションの走り方をじっくりと研究しながらラインを磨いていくことになります。その楽しみは私にとっては悦楽のひと時です。どう考えても、一発勝負よりはじっくり磨くことの方が私には合っています。
 そこでさらに追求していくと、この図の市街地セクションの③④、④⑤、⑤⑥⑦あたりのゆるいカーブの走り方がとても気になってきます。ここらへんも、実は定常円に近い走り方をする必要があるところで、それをどういう旋回半径と速度でこなしていくかということを深く考えさせられるのでした。
 全体として言えば、まさしくこれはMFCL投票大会のF:技巧派謎かけ型のコースであって、一回走っただけで終わるのはもったいないコースレイアウトであったわけです。
 そういう意味で、24日に参加された上級、中級の皆さんは、よい経験をされたと思います。


 この日の午前中は上のコースで走り、午後は、3番と4番のエリアでオフセットスラロームのコースになりました。バリアブルコース側から入口に向って直線パイロンスラローム、3番の細いエリアで6.75m間隔で約1mオフセットさせたパイロンスラロームで戻り、そして川寄りのコースを再び入口に向ってオフセットパイロンスラローム、4番の土手側に戻ってスタート地点に向うゆるいオフセットパイロンスラロームという構成です。まあ基本練習ということですが、そんなに面白いコースではありません。ただ個人的にはあこがれの「特上」と呼ばれるライダーさんの後ろについて走りこむ機会となったので本当に楽しかったです。こういう基本的なセットでは速度の差がつきにくいので、午前中のコースではあっという間に離されてしまった人に対しても結構ついていけるようになるのです。

 さらに午後の締めのコースは初級バリアブル基本コースになりました。
 上級にも随分参加しましたが、レギュラーの上級のコースで初級バリアブルを走ったのは初めてです。実はこの日は、かなり不慣れな方が一人おられて、午後はその方に合わせてコースを易しくしたようにも思われます。つまるところ、3番4番のオフセットパイロンの後、初級バリアブルということであれば初級もしくは中級の講習内容であるわけです。いかにも上級といった趣きのレイアウトパターンのと比べるとかけ離れています。しかし怪我の功名ともいうべきか、実はバリアブル初級は上級のスピードで走ると見事なF:技巧派謎かけ型になってしまうのです。
 まさしく初級バリアブルの上級的走り方のような不可解さを伴う難しい走り方が求められます。タイムを見ると、上図の競技大会のコースが約750メートルで、基準タイムが75秒ということで、秒速10メートル(N口さん)から9メートル(参加者の皆さんのボリュームゾーン)のコースなのですが、実はバリアブルの方も初級コースで走ると同じくらいのスピードになってしまうのです。これは結構怖い。バリアブルのコースは市街地よりも狭いですからね。

 このところ、イントラさんにもよりますが、小さく回ってドンという、昔「桶川走り」と呼ばれた走り方よりも、旋回中の速度を高めて滑らかに回るというテーマを掲げるイントラさん(もしくはその日その日のテーマ設定)が多いような気がします。私自身は、そういう走りも好きなのですが、クルッ+ドンという走りが好きな人には(そういう人は経験的にA:腕力派体育会系が好きな場合が多いです)すこしフラストが溜まったかもしれません。

 私にとっては一年の締めとしてよいイメージをつなぐことが出来ました。
 Y下さん、MNMさん、来年もよろしくお願いします。


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