諏訪山岳会公式ブログ

諏訪地域の山好き、クライミング好きが集まって、ウラヤマからヒマラヤまで四季を通じてオールラウンドに活動しています。

剣尾根上半部~剣岳

2014年08月17日 | バリエーション・登攀
池ノ谷~剣尾根上部~剣岳~早月尾根
2014年8月13日~15日     参加者:S原、S藤、I間

入山前、天気がイマイチの予報でしたが、幸い小雨程度の崩れのみで、池ノ谷~剣尾根上部~剣~早月尾根、という周回コースに行って来ることができました。


13日 晴れのち曇り
 馬場島8時-白萩川取水口9時-白萩川10時-小窓尾根取付10時半-1600m12時-池ノ谷12時半-二股14時

茅野4時発、馬場島で前夜発のS藤と合流。計画書を提出して白萩川沿いの林道を行く。高曇りでそれほど暑くなく、北方稜線や小窓尾根が望める。
   <馬場島にて> 
取水口横からしっかりした高巻きルートに入り、30分ちょっとで池ノ谷が正面に見えるコルへ。樹林中で湿度高く汗びっしょりになる。
<取水口・「池ノ谷」のペンキマークに従って巻ルートへ>

<コルから池ノ谷ゴルジュ>
コルから白萩川へ急降下、池の谷正面に降り立つ。水量はそれほど多くなく、タカノスワリもそのまま来れたかも。しばらく右岸沿いに踏み跡を辿り、雷岩手前のペンキマーク辺りで流木を利用して川を渡る。
<左:白萩川、右:池ノ谷ゴルジュ>  
藪の中に「池ノ谷」の道標がある。ここから急登だが、トラロープも随所にフィックスしてあり、迷うことは無い。
ここから樹林中で風も無く、暑くて3人ともシャツからパンツまで汗でびしょびしょになる。
    <1600mから池ノ谷>
傾斜が緩むと1600m。積雪期は小広い快適なテントサイトだが、この時期はただ暑い灌木と藪の尾根。正面に池ノ谷全景が望まれる。
池ノ谷へ降り立つと、三重(と奈良?)から来たという二人Pと行き合い、言葉を交わす。剣尾根とチンネに登るとの事。
  <池ノ谷雪渓を登る>
二人Pに先行して雪渓を二股目指して登りはじめると、空は雲に覆われ、涼しくなる。
雪渓は切れ目なく続いており、ハイキングシューズのS原は滑るのでアイゼンを履いて登る。
今回二股付近に適当な幕営地は剣尾根末端の台地のみ。後続の二人は雪を削って雪渓に設営していた。
<剣尾根末端のテント場>
この日は我々の他には二人Pのみ、池ノ谷は静かに暮れていった。
今回は軽量化の為、乾燥食品中心で通した。今日のメニューは卵スープ+ふかひれスープかけごはん。それなりに旨い。
持ち上げたアルコールを軽量化の為飲み干して就寝。高度が低いせいか暑い上に、傾斜地でマットの上で滑って寝苦しかった。

14日 曇り一時小雨
 二股4:45-R8付近5:45-池ノ谷尾根末端7時-R2取付7時半-コルB8時半-長次郎頭13時半-剣14:40/15時-早月小屋17時

今日は全装備を背負って剣尾根上部を登り、剣岳を経て早月小屋までの長丁場の予定。
明るくなるのを待ってアイゼンを着け、左俣雪渓を登る。高曇りで涼しい。
  <行く手に三の窓が見える>
次回?の為にルンゼを数えて登るうち、1時間ほど登ったR8と思われるルンゼに後続の二人Pが取付くのが見えた。
その後、左俣は幅を狭めてくるが、雪渓は三の窓直下まで切れ目なく続いていた。(Rいくつか?は結局最後には良くわからなくなってしまった)
傾斜はそれほど急ではなく、同行の二人も問題なし。池ノ谷尾根末端で小休後、右の支雪渓に入り、R2へ。
 <R2チョックストン> 
R2自体には雪は無く、ガラガラ・グズグズの登りとなる。
1か所チョックストーンのある所でロープを使用。ザックが閊(つか)える。まだ新しいダブルロープの残置あり(懸垂用?)
コルBは狭く、ここから剣尾根上部の登攀開始。この頃からガスが辺りを包み、周囲が見え隠れする様になる。
<コルBからのリッジ>   
リッジはホールドも多く、ルートを選べばⅢ級レベルの愉しい登攀。ただ今回は荷物が重いので、慎重に。
2Pで岩峰基部へ、ここで左へトラバースし、7m程のチムニーへ。ザックが邪魔だがなんとか外へ出てクリヤ。この後はブッシュと岩稜歩きになるが、視界も無く岩も湿り気味だったので、しばらくロープを使用。
    
2Pロープ使用後、ロープを仕舞って踏み跡をしばらく辿ると岩場に出て、踏み跡は左にトラバースしている。
踏み跡を行くと最後に崩れた様なルンゼ状で踏み跡消滅。上の岩場に抜けるのかハーケンがあったが、急なスラブだったので戻ってリッジを登る。この頃はガスで周囲が全く見えず、現在地がわからない状態。
  
岩場を登りきると再び踏み跡が出てくるが、その後またリッジが崩壊したようなところに出て、ここは少し戻って左下にハイマツ帯を下り巻くことができた。

どこがコルAかわからないまま行くと、その後は岩峰を右から巻き、リッジを登るとピークに至り、縦走路に出て、長次郎の頭に到達したと知る。核心を抜けた後もロープを出したり、尾根上部で右往左往したため、想定したよりも大分時間がかかってしまった。易しいと言われる剣尾根上部だが、崩壊しているところもあり、やはり甘くはなかった。
装備を解き、休憩していると、剣方面から人が来て、「本峰はこちら方面ですか?」と北方向を指さす。聞くと八つ峰を登攀後北方稜線を南下してきたはずが、ガスで方向を失い、反対方向に行こう(逆行)としていたらしい。
この5人Pに続き、縦走路を南下、懸垂点へ。言葉を交わすと5人のうち3人はA田労山Pとのこと。ロープをお借りして懸垂(ありがとうございました)。
濃いガスの中、南方面のガスが切れ、一瞬本峰らしい姿が見え、ようやく確信をもって本峰を目指すことができた。

小一時間、ガスの中を登り、静かな剣岳へ。3人で握手を交わす。
  <早月尾根を下る>
頂上で小休後、早月尾根を下る。よれよれになって早月小屋へ到着、設営。小屋で仕入れたビールで乾杯、格別な一杯だった。
  <早月小屋前から沈む夕日を見る>
今夜は卵スープと乾燥野菜入り麻婆春雨。ご飯にかければ美味。
I間が割り当てのα米1袋では足りず、自分の予備食1袋を持ち出して食べ、彼のパワーの源泉は食い物、と納得。

15日 曇りのち雨 早月小屋6時-馬場島9時

夜半からの風が吹く中、雨が降る前に下山。
  
今日も樹林帯で汗びっしょりに。この3日間、実にたくさん汗をかいた。
3時間で馬場島着、車周辺にブヨがたくさんおり、あちこち刺され、逃げるように車に飛び乗り上市へ。走り出してすぐに土砂降りになる、という絶妙のタイミングだった。
上市の「アルプスの湯」(620円)で汗を流し、帰途についた。


今回、同行の2人は全装を背負っての登攀は初めてだったが、特に問題になるような事は無かった。やはりクライミングのトレーニングを積み、体力のある人達は強い、と実感。
コルBから上部のⅢ級程度のピッチには要所に残置はあるものの、カム・ハイマツ・岩角でのランニングを多用した。
登攀具:8mm×50mロープ2本、ビナ・スリング:ランニング12箇所分、カム2個


*****
帰宅後:
①富山県警から問い合わせの電話あり。何かと思えば、下山途中のガイドパーティが池ノ谷二股に不審な無人のテントを見た、という事で、情報収集との事。
13~14日に行き合った二人Pについて僅かながら情報を伝えた。何事もなければ良いのだが。
②下山時、馬場島の駐車場でブヨに刺された跡が翌日腫れ上がってしまい、まいった。
  



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2 コメント

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Unknown (U山)
2014-08-17 20:15:58
全装を背負って雪あり岩ありの正統派夏山登山でしたね。池の谷の静寂さも魅力に思えました。このお盆の全国の天気を考えると天候にも恵まれた山行だったのではないでしょうか。
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Unknown (Kaz)
2014-08-17 19:08:23
今回はありがとうございました。

いろいろ良い経験が出来ました。
また、宜しくお願いします。
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