諏訪山岳会公式ブログ

諏訪地域の山好き、クライミング好きが集まって、ウラヤマからヒマラヤまで四季を通じてオールラウンドに活動しています。

大天狗偵察

2018年08月08日 | 八ヶ岳 マイナールート
ルート:八ヶ岳 天狗尾根
日時:7月14日(土)
メンバー:W尾、岩ひばり、T嬢、kao、U山
 
ルート:八ヶ岳 地獄谷 天狗沢左俣
日時:7月21日(土)
メンバー:N原、U山
 
前から気になっていた大天狗正面壁を今年こそは登ろうと、2回に渡って異なるルートから偵察に行ってきました。


<天狗沢の詰めからの大天狗>
1回目 天狗尾根
昨年7月に主稜線から天狗沢を下って大天狗を偵察したが、この時は天候がいまいちで十分な時間が確保できず、目標の神奈川ルートの取り付きを見つけられないまま終わってしまった。この偵察の反省点の一つとして、大天狗の全体像をよく把握できていないことが挙げられたので、今回は、一度天狗尾根を歩いてみて、その構成や周囲の地形との位置関係を把握することを目的とした。

この日は、久々のW尾さんを交えての総勢5名の(自分にしては)賑やかな山行になった。
 
先週の豪雨の後とあって地獄谷の水量は多く、出合小屋までの渡渉のルートファインディングに頭をひねる場面もたびたび。


<渡渉>

幸いこの日は雲が多く、尾根に取り付いてからも、あまり暑い思いをせずに明瞭なトレースを辿った。我々以外には単独行者と関西の1パーティーだけの、静かな尾根筋であった。


<途中で見かけた光ゴケ>

カニのハサミを過ぎると岩稜帯の始まり。フィックスロープを辿って下部岩壁を超える。



この辺りから高山植物が目を楽しませてくれるようになってきた。




一登りすると大天狗が見えるようになってきた。できれば尾根上から昨年偵察で歩き回った沢筋と大天狗の位置関係を把握したかったのだが、湧き上がるガスにはばまれそれはかなわず。だけど、その分、暑い思をしなくて済んだので文句ばかりを言っているわけにはいかない。



大天狗は直登ルートを登る。


<大天狗直登ルート取り付き>

やる気満々で参加した元気女子のkaoから”短すぎる”と失望の声。気持ちはよくわかるけど、山はゆっくりレベルアップしていきましょう。





稜線に抜けたのが13時過ぎ。大休止をとって、登りの登山客で一杯の真教寺尾根を下る。




<絶滅危惧種らしい>

清里テラス(リフト頂上駅)に営業時間終了ぎりぎりに到着し、お目当てのジェラードにありつけて女子は大満足。そこから1時間ほどの我慢の下りで美しの森駐車場について無事終了。
 
この偵察は、当初の目的は果たせなかったものの、昨年見上げるばかりだった大天狗を初めて超えたことで、ぼんやりとしていたイメージに薄い輪郭が付いたということが収穫といえば収穫か。

美しの森 6:00 ~ 出合い小屋 8:00 ~ カニのハサミ 10:15 ~ 大天狗 12:30 ~ 稜線 
13:15 ~ 清里テラス 16:30 ~ 美しの森 17:50 


2回目 天狗沢左俣
 
昨年+前週の偵察では、いまだ取り付きの目星もつかない状態なので、本番の相方のN原さんに相談して2週連続の偵察を行うことになった。今回は、これまでとは違ったアプローチ(=視点)から見てみようという趣旨で天狗沢を詰め上げてみた。
 
先週は渡渉に苦労した地獄谷も、この週は下半部はが伏流となっていて楽にアプローチできた。


<前週 渡渉をした堰堤>

ツルネ東稜の取り付きで準備をして地獄谷に入渓。
いかにも八ヶ岳の沢といった独特の渓相が続く。





通過不能の大滝は左岸を高巻く。取り付きの草付きがいやらしかったのでロープを出した。意外なことに高巻きの踏み跡は明瞭で、定期的に入渓者はいるようだ。

この高巻きの途中で左岸から天狗沢が合流。沢に降りるところが短く切れていて懸垂で下る。
天狗沢に入ると、人跡はほとんど感じられなくなり、日本登山体系の記述そのままに、倒木帯、ナメ滝、直登困難な滝と続く。


<倒木帯>

岩のもろさや滝の側壁の草付きのいやらしさは昨年の広河原沢と似たような感じで、お世辞にも快適とはいえない。



最後の直登困難な滝は支沢もまとめて左岸側を大高巻きし、ある程度標高を上げたところから左へトラバースしながらいくつかの沢を渡って本流に戻る。



そこから少し上がると沢は右に屈曲し最後の”快適”とされる枯滝が出現。
期待はしていなかったが残置は皆無で、N原さんがハーケンを打ちながらリード。フォローをしてみれば”快適”という表現がどこから生まれたのか理解に苦しむばかり・・・。


<快適?とされる枯滝>

この滝を超えると、右上方に大天狗が姿をのぞかせた。


<天狗沢の詰めからの大天狗>

基部を目指して、高山植物が咲き乱れる気持ちの良い草付きを登る。



時折トポを取り出し、目の前の大天狗と見比べてみるがどこがラインなのか一向に埒が明かない。しかし、一つ新たな発見があって、これまで大天狗の壁だと思っていた面からさらに天狗尾根側に回り込んだ側にも壁が広がっていたこと。今回の偵察の最大(で唯一)の収穫はこの一点だろう。
 
しかし、神奈川ルートのラインは相変わらずさっぱりのままで、消化不良のまま稜線に抜けて偵察終了。

<稜線間近>

この日も、下降路は真教寺尾根に取る。先週は三連休でごった返していた尾根も今日は数えるほどの登山者を数えるのみ。途中、ひっきりなしに雷鳴が聞こえてきたので、そのうち降るかなと覚悟していたが一滴の雨にも降られなかった。後になって知ったところでは、その雷鳴はカサメリ沢に居た岩ひばり・kaoペアを直撃したそうで、二人とも濡れネズミになって岩場を退却したとか。

 
下りの楽しみにしていた清里テラスには中国語がけたたましく行きかっていて売店は行列待ち。この日はノンアルコールビールで渇きをいやし、最後の下りに向けての少しリッチな水分補給をすることができた。。
17時前に美しの森駐車場に到着して終了。

天狗沢など沢登りとしての価値はほぼ皆無といって差し支えなく、大天狗の偵察という目的が無ければ名前にすら接する機会は無かったと思うが、こうしてトレースしたのも何かの縁かもしれず、珍しい記録としてブログに残しておきます。
 
ということで通算三回の偵察を経ても、いまだにラインがわからない大天狗ですが、
下から見上げるばかりでは同じことの繰り返しになりそうなのでともかく一度触りに行って、壁の中から活路を見出したいと思います。

美しの森 4:30 ~ 出合い小屋 6:30 ~ 地獄谷入渓 7:15 ~ 天狗沢 8:50 ~ 最後の枯滝 11:15 ~  稜線 13:15 ~ 美しの森 16:45


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