以前はエミネムのCDを買って、よく家でかけていたこともある。
その頃、子供たちはまだ英語を理解出来なかったから良かったけど、エミネムのラップの歌詞は多分放送禁止用語の「ピー」音の連続だ。実際にピー音は入ってないけど…。英語のわからない子供たちでも、日本でも知られている
“f〇ck”や“mother f〇cker”は、多分使ってはいけない言葉だと理解していたかも知れない。
エミネム主演の映画「8マイル」のサウンドトラックも持っているが、エミネム以外のラッパーの歌もほぼ放送禁止用語だらけ。汚い言葉のオンパレード。しかしラップ音楽のルーツをたどれば、黒人の人達がそれぞれに抱えた不満を、リズムに乗せて歌ったのが始まりだということを考えれば、言いたいことを言うと、放送禁止用語もちょくちょく出てしまうというところだろうか。
ここが英語圏なら、放送禁止用語ばかりの音楽を子供に聞かせる私は、とても悪い母親ということになるだろう。
エミネムの曲との出会いは、初期の大ヒット曲“stan”のミュージックビデオを見てからだった。気に入って何度も聞いた事から始まったのだ。
もう随分前から日本でもラップは盛んだ。
最近好評なACJAPANのCMを初めて見た時は度肝を抜かれた。
コンビニで一人の年配の女性が支払いで小銭を取り出しながら焦っている。彼女の後ろにはすでに数人の人が並んでいる。謝りながら焦る女性。そのすぐ後ろに控えるのは、強面の男性(ラッパーの呂布カルマさん)。イライラしてるのか、アップで映った靴のつま先が上下にタンタンと…。実はそれはラップのリズム。
「Yo!
もしかして焦ってんのかおばーさん
誰も怒ってなんかない
アンタのペースでいいんだ
何も気にすんな…」
おばーさんと呼ばれた女性が意外にもラップで応酬
「迷惑かけてしまってるなって
焦ったらまさかの優しい発言…」
と続き、最後にしめの言葉として
「たたくより、たたえ合おう」
ラップだけに、頭の部分韻を踏んだのかな?
最初に見たときは、感動した。お年寄りに優しい対応。殺伐とした社会に必要なのは、「優しさ」だ。
調べて分かったことだが、呂布カルマさんはラッパーが本業だ。
おばーさん役の女性は多分ラッパーじゃないと思うけど、小気味の良いリズムのラップを披露していてカッコいい。
私はコンビニでバイト経験があるが、実際にこのCMみたいなシチュエーションになったらどうするか。
コンビニには大抵レジは2つある。
長い列ができたら、バックで作業しているバイト仲間をブザーか何かで呼んで、もう一つのレジを開け「二番目にお待ちのお客様どうぞー」という流れになる。
コンビニの店員の職務の要は、ほとんどどこも同じだと思うけれど、私がバイトしたお店では主に以下の3点。
1.商品を常に美しく並べておき、売れて品物が減った場所には即商品を補充。
2.店舗は常に美しく、汚れていたら直ぐにモップがけ。
3.レジは絶対待たせないこと。
あのCMのシチュエーションに私がいたら、一番焦りまくっているのは多分おばーさんではなく私だ。
仲間を呼んで、2番レジを開けなきゃ。
これだけお客さんが品物を買ったら、あっちこっちに商品補充して、乱れた場所は直さなきゃ。
雨の日だったら、モップもかけなきゃ。
コンビニ店員のすることは多い。けれども時給は低い。大体最低賃金程度。私のいたコンビニでは、バイトが一ヶ月もしないうちに辞めて行く人が多かった。
そんな記憶も蘇ったりした。斬新で素晴らしいCMだけど、現実社会では所詮幻想にすぎない。
おばーさんと呼ばれていた女優さんは美しい人だ。役柄、老けたメイクを施してはいるけど、普通にメイクしたらおばあさんとは呼ばれないような素敵な方だと思う。
私は女性に声をかける時は、70歳でも80歳でも年齢に関わらず「おばさん」と呼びかけるようにしている。
自分が40代になった頃から、「お婆さん」と呼び掛けることに違和感を感じたからだ。いくつからおばあさん?50代は「おばさん」?60代は「お婆さん」?。
自分がジワジワお婆さんと呼ばれる年齢に近づくに従って(いやもう実質私はお婆さんですが)、特に女性の微妙な年齢と感性に考慮し始めたのだ。
ブログで自分のことを「お婆さん」と書いたりするけど、それは自虐的に書いてみたりしているわけで、自分だからこそOKなのだ。
外出先で私に向かって「お婆さん」なんて今声をかけられても、多分私は気づかない。気づきたくないし、ちょっとショックだわ。
Yo!分かって欲しい 乙女の魂
年配の女性の呼び方、いくつであっても「おばさん」で、良くないですか?それは、おじいさんも同じ。「おじさん」で良くないですか?
Yo!みんなで呼ぼう 私の要望
「おじいちゃん、おばあちゃん」の呼び名は、孫だけに許す。