長年フランス料理のシェフをつとめた志麻さんは、フランス人の男性と結婚し、出産後は家政婦として働き始める。
手際の良い作り置きの美味しい料理が話題となり、予約が殺到して「予約の取れない伝説の家政婦志麻さん」と呼ばれるようになった。
テレビにも出演されるようになり、依頼された家庭で3時間ほどで10数品の本格的なお料理を仕上げる姿を見た。
テレビ画面からは、家政婦としての有能な面だけでなく、人としての魅力も溢れていた。
コロナ禍となってからは、NHKが「プロフェッショナル仕事の流儀」の番組で、ご主人のタサン・ロマンさんが自宅で志麻さんの料理する姿を撮影するスタイルで、手軽に作れる家庭料理が紹介された。それは、志麻さんとお料理の魅力を伝えるだけでなく、家族の幸福な姿も届けられ、見ているこちら側まで幸せになる良い番組だった。
番組で志麻さんが教えてくれたお料理を試してみたが、大変美味しい料理に仕上がり、プロのアドバイスはさすがだと思った。また、その作り方の手軽さもありがたかった。
雪が溶け、冬の間行き来を控えていた息子のところへ、久しぶりに遊びに行こうという話になった。
一人暮らしになった当初は、自炊にもチャレンジしていた息子だが、最近ではすっかり外食や市販の弁当がメインの食事になっている様子。
そこで、私も伝説の家政婦志麻さんみたいに、息子に作り置きの料理を一気に沢山作ってみようと思い立った。
一度に数種類の料理を作る経験は、大晦日の日くらいのもの。どこまで出来るか挑戦だ。
献立は
・タラのアクアパッツァ
・回鍋肉(ホイコーロー)
・鶏の唐揚げ
・筑前煮
・ポテトサラダ
・キャロットラペ
・台湾カステラ
土曜日の午後4時頃から乾燥シイタケを水につけて戻したり、鶏の唐揚げの下味つけなど仕込みを始め、6時半頃には、4品完成。
その日の我が家の夕食はアクアパッツァ、ポテトサラダ、キャロットラペ。
全て三人前作ってあるので、予め息子の分は取り置き済。
食事が済んでからは、回鍋肉と鶏の唐揚げを完成。
翌、日曜日の朝、台湾カステラを焼いた。
なかなか、志麻さんの様に3時間で片付けまで全て終える事は出来なかったけれど、何とか予定の料理を作り終えることができて、ホッとした。それに、お料理は楽しかった。
息子のためとなると、何でもがんばれてしまう、母の性(さが)。
それに、我が家でもおよそ2日間の夕食は、チンするだけ。楽ができるメリットもある。
息子と会う日曜日の夜の食事はお店で食べる約束をしていたので、今回私が作った料理は月火水の3日間の夕食となる。魚料理は足が早そうに感じたので、月曜日はアクアパッツァ、火曜日は回鍋肉、水曜日は日持ちのする筑前煮を食べるように、加熱もしっかりするようにとアドバイスした。
水曜日は作ってから4日目となるので、ちょっと厳しいかなとも思ったが、まだ気温が10℃前後なので、しっかり冷蔵すれば何とかなると思う。でも、ドキドキだ。
事前に息子から「苫小牧のウトナイ湖で野鳥を見よう」とのメールがあり、日曜朝に簡単なお弁当を作り、お茶とコーヒーの水筒も持って行った。
息子のアパートに到着後、早速お弁当を平らげ、朝焼いた台湾カステラを切ってみると、ざんね~ん、加熱不足。中心部が生カステラだー。立派に焼けていたんだけどなー。指示どおりの焼き時間で焼いたし、見かけからも完全に火が入っているものと信じ、竹串を刺して中まで確かめなかったのがいけなかった。やっぱり、ボロオーブン、ここだけの話40年近く使っている。文字に書き起こしてみて、ちょっと恐ろしくなった。老朽化で熱が安定せずに、温度が低かったのかもなー。
他は何とか上手くやり遂げたと思ったのだが、一番自分が期待していたスイーツが最後の最後に失敗していたとは。
台湾カステラ、次回リベンジだ!