福富ストラット

「記者ときどき農夫」。広島の山里で子ども向け体験農園づくりにいそしむ、アラフォー新聞記者のブログ。

自分発

2020-01-20 10:20:52 | 日記
 社会のさまざまな課題に学生が自らの企画で関わっていく活動の報告会に参加した。
 障がいのある人のアート作品をツールに、障がい者への理解を深める▽料理を通じて農家と消費者のつながりを生む▽工学部で学ぶ知見を生かし、新時代の農業に貢献するすべを探る―。などなど、東広島市内の大学生たち計10組が、この半年間の取り組みを報告した。
 活動のひとつひとつに真新しさがあるわけではなかったが、どのプレゼンも力があった。ツッコミどころは満載なのに、共感できる話が多かったのだ。
 中でも、高齢者の生きがいづくりをテーマに取り組む大学1年生の女性の話には引き込まれた。この若さで福祉という地味な分野に目を向け、高齢者が楽しめる講座を企画。活動を機に、資格の勉強も始めたという。「プロジェクトが終わっても、活動を続けたい」。ありふれた言葉にも、明らかに本音の力がある。
 プレゼン終了後の個別ブースでの交流で、いくつかのグループの学生と話をした。「なんで、この活動をしようと思ったの?」「おばあちゃんが認知症になって…」「障がい者アートの作品展でびっくりして…」。学生たちはにかみながら、あるいは目を輝かせながらそれぞれの思いを語ってくれた。

 その後、アドバイザーたちによる講評を聞き、「力」の理由がすとんと落ちた気がした。学生たちに課したキーワードは「自分発」だというのだ。「世の中にこんな課題があるみたいだから…」ではなく、自分の内側からわき上がった活動をしよう、と。それは当然、自身の人となり、経験、家族環境などがからんでくる。
 自分発。「簡単なことのように見えて、案外難しいんですよ。年を重ね、経験を重ねればいっそう。でも、そこが一番の肝だと思います」。終了後、アラフォー隊員と同い年のアドバイザーに会の感想を話すと、こう語ってくれた。「『ソーシャルな活動』が全盛な時代だけど、そっから入っても続かないし、本人がおもしろがれないですよね」。激しく同意した。
 アラフォー隊員自身にとっても、協力隊の活動のみならず、取材、執筆という仕事の上で見失いたくない点だ。個人的な動機付けが「ソーシャル」につながれば互いに一番いいかたち。要は、頭でっかちにならんようにってこと。そんな足下をあらためて考えさせてもらった。会で知り合えた学生さんとも、何か一緒にできればいいな。


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