仙石庭園のボランティアガイドは、ときおり集まって打合・研修会を行っています。
今月は、広島大学名誉教授沖村雄二先生に周遊しながら石を見て、鑑定意見などについてお教えをいただきました。
園内各石には、苑主の山名征三先生によりナンバー83までの番号が割り振りされています。これにより、番号札がある石を特定でき、また、番号札がない石でも「何番の隣」などと特定し易くなりました。こうしてblogなどに各石についての記事を書く場合に、大変便利になりました。
研修には、基礎資料として園内マップと各石の概要を整理した表を使いましたが、これらの資料を手にしながら、各石について沖村先生に特徴的なことなどのコメントをしていただきました。
その中から、面白いコメントを幾つかご紹介します。
【神石殿玄関と間にある赤黒い石】
第3番・第4番付近と神石殿玄関と間にある赤黒い石は、玄武岩起源の緑色岩に赤色チャートが付いている岩です。築山の傍にあるテーブルの原岩も多分そうかな。
庭園入口付近に置かれている大型テーブルセットは、椅子等が紅く美しい紅レン石石英片岩製ですが、テーブルの研磨面をよく観察すると断層の跡が読み取れます。
【紅レン石石英片岩製テーブルの研磨面】
片理に沿って細かい石英の脈が走っていますが、片理脈とは違う、片理脈と交差する角度の石英脈もたくさん走っています。これは断層により破断したところを一旦融解した石英が埋めた痕跡です。
断層岩には、シュードタキライト、マイロナイト、カタクレーサイト、ガウジがありますが、この断層岩は「シュードタキライト等には該当しない」とのことですが、シュードタキライトと似た作用でできたのでしょう。
【火成岩製の石椅子】
その大型紅レン石石英片岩テーブルセットの傍には、珪化木性製と火成岩製の石椅子が仮置きされています。その火成岩製の石椅子について、私は「閃緑岩又は閃緑斑岩」ではないかと思っていましたが、沖村先生の鑑定により「閃緑岩」と判明しました。
【火成岩の分類表】
伊予青石(緑色片岩)と伊予赤石(赤石片岩)の間の「もみじ門」から紅葉園に入ってすぐ右側にあるのは、第21番の「高知紫雲石」です。この岩は玄武岩起源の「緑色岩」ですが、上半部は方解石岩(大理石)で、紫の地に白い雲がたなびいている風情です。これを庭師は、「紫雲石」と称します。
(高知紫雲石)
ところが、この岩を近くでよく観察すると紫色と緑色が複雑に絡まった文様に覆われています。これは高温の玄武岩質溶岩が海水と接して急冷されて破断した痕跡のようです。これよりもっとバラバラに破砕されたら、ハイアロクラスタイトでしょうか。
【仙石庭園の各石の概要表】
【この日の勉強結果で作成した私の私見による分類表】
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