シェーンブルン宮殿とは、マリアテレジアらハプスブルグ家君主の離宮。そしてマリーアントワネットが幼少を過ごした宮殿でもある。マリアテレジアの好きな黄色、テレジアンイエローと呼ばれる黄色の建物。
ところで、もし私だったら?ピンクが好きなのでピンクの宮殿にする?多分しないな。黄色と聞いてどんなに派手な宮殿かと思ったけれど、実際見てみると、そうでもなかった。長い間その場に存在してきた風格というか、堂々とした趣がある。ちゃんと周りの風景になじんでいる。もしピンクにしたとしても、将来、風景に溶け込んで風雅な宮殿と評価されるのだろうか?なーんて、ピンクの姿を想像する。
内部の見学は、イヤホン式オーディオガイドを聞きながら巡る。オーディオガイドは、各言語がそろっている。もちろん日本語も。ちっとも役に立たない私のドイツ語を一度でも使ってみたくて、イヤホンガイドを受け取るとき「Japanisch bitte」と言うつもりで、口の中で準備する。いざ受付のお兄さんを前にした途端、「Japanese please」と口走る。ああ残念。単語すらいえなかった。
昨日のモーツアルトハウスでも思ったが、従者やメイドの控の間だけでも、うちの寝室より随分広い。こんな広々したところに住むと、心も広々おおらかになるのではないか。目先の散らかりが感じられないだけでも、注意したり、何度も怒ることがなくなるかもしれないよなあ。細かいことを気にしたり、いら立ったりするのは、うちが狭いから…なんて思いたくなる。
さあ、内部へ。
各部屋やたらと肖像画が多い。そして、絹や漆。絵や肖像画を描かせたり、宮殿を建て増しさせたり、絹や漆で飾り立てたりすることに人生の大半をつぎ込んでいたのではないだろうか?と思うくらいたくさん。権威を保つことを自分の使命として、自分(国)を大きくすること、見せることを人生の目標として生きた。娘たちも政略に利用し、『娘たちが夫と神に仕え不幸な人生を送っても、魂が救われるのなら満足です』って、きっと本気の言葉なんだと思う→マリアテレジアのこと。魂が救われる状態って、何を指すんだろう?
国や時代、立場によって、大切にしたいものって大きく変わる。