午後は市内散策。あさって聞きに行くコンサートの会場、楽友会館の下見。地下鉄のどの出口が近いのか分からず、大回り。わたしはどこへ行くにも、正しい(最短)ルートを必ず外すような気がする。
その後ぶらぶらしていると、ナッシュマルクトという市場に出る。人が多いのでショルダーバッグを抱えるようにして歩く。おいしそうなものがあれば試そうと思っていたけれど、ケーキにしてもチーズにしても塊が大きすぎて、食べきれる自信がない。見るだけにしておく。こういう時、複数人でいるとシェアできていいと思う。
歩いていると、後ろから二人組のお嬢さんに声をかけられる。店の場所が分からなくて困っている様子。
「○○という日本料理の店へ行きたいが、知っているか?あなたは日本人か?」
そうだと答えると、急に親し気に「日本人の友達がいる」など、いろいろおしゃべりを始める。何故いかにも観光客の私に道を尋ねる?変だな。と思ったけど、話を合わせる。鞄からガイドブックの地図を取り出し「現在地はここで…」と説明をすると、突然「もう分かった」と去っていく。
「?」
その時は気にも留めなかったけれど、その晩よく考えると、もしかして泥棒だった?と思い当たる。私に道を聞くのも、地図を見て一瞬で分かるのも変な話。地図を取り出す時、彼女らの後ろを向いて(鞄の中身が見えない向きで)出したり、無意識に鞄を抱えていたことでトラブルを未然に防げたのかもしれない。財布も大丈夫だった。あっぶな~。
歩き疲れて、ウィーン大学の中庭に入り込んで休む。中庭は芝生が広がっていて、ブルーの移動式チェアーがいくつも並んでいる。好きな場所に移動させて、仲間と、あるいは一人で座ったり寝転んだり。とても自由な感じ。私も関係者のふりをして座る。夕方寒くなってきたので、明るいうちにアパートメントへ戻る。