「草 叢」
竹薮なびかせ
群れ菜花なびかせ
風に運ばれ 川音が
陽射しの中を
流れて行く。
手前の川岸から
県道の向こうの林まで
僕とタロウの
ほっぺたを撫でながら。
当ての無い旅の道すがら
病む平衡感覚を持て余しつつ
川岸の草むらに腰をおろして
やすらぎのもたらされることを
思いあこがれる旅の道すがら
唇に引っ掛っているだけの
心忘れの小唄をつぶやきながら
投げ出した足のその先に
心を 放る
風が流れている。
岸を見失った舟のようなこの身を
手のひらで洗うように
草叢から湧き起こる
重い時間を融かした風が
この身の垢のかさぶたを
擦り落とし持ち去ろうとするように
目をあげれば空に白雲
青い光が山々を満たす。
風の中
タロウは草を噛んでいる。
此処は見知らぬ村
小川がながれる
美しいダムの村
(タロウは子猫 旅の友 一九九八.五.十)
竹薮なびかせ
群れ菜花なびかせ
風に運ばれ 川音が
陽射しの中を
流れて行く。
手前の川岸から
県道の向こうの林まで
僕とタロウの
ほっぺたを撫でながら。
当ての無い旅の道すがら
病む平衡感覚を持て余しつつ
川岸の草むらに腰をおろして
やすらぎのもたらされることを
思いあこがれる旅の道すがら
唇に引っ掛っているだけの
心忘れの小唄をつぶやきながら
投げ出した足のその先に
心を 放る
風が流れている。
岸を見失った舟のようなこの身を
手のひらで洗うように
草叢から湧き起こる
重い時間を融かした風が
この身の垢のかさぶたを
擦り落とし持ち去ろうとするように
目をあげれば空に白雲
青い光が山々を満たす。
風の中
タロウは草を噛んでいる。
此処は見知らぬ村
小川がながれる
美しいダムの村
(タロウは子猫 旅の友 一九九八.五.十)
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