福岡県の特産野菜、カツオ菜。
主に福岡市を中心に県北西部で栽培され消費されていた冬野菜。
博多を中心に雑煮の具として欠かせない菜物。
近年は福岡県全域で冬に食されるようになった。
雑煮のみならず、鍋や炒め物などに利用される。
同じ九州特産で、漬物としても全国区の高菜の近縁種。
とはいえ、硬い高菜に対し、
カツオ菜はその硬そうな見てくれに反し、すごく柔らかい。
芯の部分もそこまで硬くないので、全体的に白菜よりも柔らかに感じられる。
カツオ菜の表面。
写真では見えないが、うぶ毛のような繊毛状の突起がたくさん付いている。
色は濃緑色までとはいかないが、濃い緑色。
表面はゴツゴツしており、さらにゴツゴツの中央には細やかな突起まである。
こんな見てくれなので、硬そうに見えるし味も苦くてあまり美味しくなさそうに思える。
ところがどっこい、歯ざわりよく柔らかく、
菜物としてはトップクラスの味の良さを誇るという。
名前の由来がそれ。
「カツオ節が要らないくらいダシが出るから」
「カツオのような旨味があるから」
そんな理由でカツオ菜と名付けられたとか。
諸説あるようだが、どれも「カツオ=旨いから」は同じ理由なよう。
博多地方の雑煮。
伝統的な博多雑煮には、ブリの切身が入る。
ブリと共に欠かせないのがカツオ菜。
その他、ニンジン,サトイモ,ダイコン,シイタケ,ゴボウ等、
家庭によってその他の野菜類は違いがあれど、カツオ菜だけは不動だという。
カツオ菜の入った雑煮。
博多の雑煮にはブリの切身が入るが、自分は未だ食べたことがない。
自分の住んでいる筑豊地区は博多のそれとは異なり、
ブリも入らなければ、カツオ菜も入らない。
うちのお母んが長崎出身ということもあり、
こっちの叔母に習った、筑豊地区の雑煮と長崎の雑煮とがごっちゃになったスタイルで、
たぶんうちだけのハイブリッド雑煮。
鶏肉に刻みスルメ、水菜や白菜,ニンジン,ダイコン,ゴボウに高野豆腐なんかが入った、
それはそれは具だくさんな雑煮だ。
カツオ菜が福岡全域に広まったのは、ここ15年くらいだろうか?
少なくとも自分が学生時代には、
ここ田川辺りでは栽培も消費もされていなかったように思う。
もう17・8年前になろうか?
広島から戻ってきたくらいに、徐々に広まりつつあった。
それが近年では、秋口になるとホームセンターでポット苗が売られ、
多くの農家が栽培し、家庭菜園でも栽培されるようになり、
スーパーでもたくさん売られるようになった。
スーパーではだいたい3~6枚くらいで一束にされて売られている。
カツオ菜は育てやすい。
割と短期間で大きな株になり、ロゼッタ状に次々に葉を付ける。
外側から葉を一枚ずつもいで収穫するのだが、
中央から育った葉は大きくなって、また外側に広がる。
そうやってシーズン中、とう立ちするまで何枚も収穫できる。
ひと家庭に二株ほど栽培していれば、毎晩カツオ菜が食べられるんじゃなかろうか?
カツオ菜の畑。
葉を一枚ずつ外側から もいで収穫する。
福岡へ戻ってきてすぐ、
自分が福岡市にほど近い糟屋郡の園芸店で働いていた。
キャベツやブロッコリーと共に大量に購入される野菜苗、カツオ菜に興味を持った。
一度も食べたことがない野菜。
雑煮だけじゃなく、いろんな鍋に合うと教えてもらった。
これは食べてみらんにゃ。
福岡県民でありながら、30手前で初めてカツオ菜を口にした。
正直な感想を言うと、まずくはないが白菜の方がいいかな。
そんな感じだった。
雑煮にも入れてみたが、白菜とケンカしてしまう。
どちらかを選ぶなら、白菜の方を選んでしまう。
クセのない白菜に対し、カツオ菜は苦味とクセが少しある。
ただ、白菜と比較すると一度に使用する量でみれば安価ではある。
よせ鍋に入れたカツオ菜。
歯ざわりや舌ざわりなんかは絶品だったりする。
餅との相性もよく、雑煮に愛用されるのは解る気がする。
おにぎりを高菜でぐるりと巻いた、めはり寿司よろしく、
カツオ菜がぐるりと餅を包むようにひっついたそれは、すごく美味い。
ダシがよく出るといわれるが、けっきょく昆布などのダシを使うし、
鍋も市販のスープを用いたりするので、バカ舌の自分にゃ そこらへんはよく判らない。
独り鍋だと、葉が一枚二枚あれば十分なボリュームなので、
一束買えば、2・3日鍋が続くことになる。
よせ鍋,もつ鍋,水炊き・・・日替わりで鍋を楽しむのだ。
正直、鍋や汁物の具以外に使い道がない。
炒め物にも使われるようだが、あまり合うように思えない。
もうすぐ七草粥だが、あれの具にしても間違いないと思う。
ただ、粥の具だと葉の半分も消費しなさそうだけど・・・。
鶏肉系より、魚介系との方が相性良いように思う。
煮込みラーメンに入れたカツオ菜。
秋が深まる頃、店頭に並び始めるカツオ菜の束を見ると、
今年もそろそろ終わるな・・・と年末年始が近いことを感じる。
そうしてシーズン中、一度は食べなきゃ気が済まなくなってしまった。
今季、もう一度くらいは買うかな?
カツオ!
ラブリーな日々に訪問いただき有難うございます。
同じ福岡県でもサラ地方はカツオ菜はお雑煮に入れません。
でも いろんな料理で使えますね。
植えてみようかな…と思いました。
コメントありがとうございます。
福岡でも地域によってお雑煮は様々ですからね。
豊前市あたりは、うどん(だご)が入りますし、
朝倉の秋月あたりは、お雑煮が茶碗蒸しスタイルですからね。
自分の住んでいる田川も、カツオ菜は使用しません。
失礼ながらどの地域にお住まいなのか日誌をたどって探っみました。
なるほど、カツオ菜を使用しない地域ですね。
割と万能なので、機会あれば使ってみてください。
鍋もの汁ものだけでなく、炒め物や煮びたしなんかにも使えるそうです。
畑がありましたら家庭菜園で育てるのもいいと思います。
サンチュ並によく育ち、たくさん収穫できますよ。
クセのある野菜がけっこう好きで。
(多分、野菜がひじょうに苦手だったからだと思う →最近はいろいろ食べています)
ナゾの野菜のコメント、ありがとうございます。
参考になりました。
料理の画像、どれもおいしそうで腹が鳴りました。
今から朝食、作ります。
コメントありがとうございます。
謎の野菜、やはり謎のままでしたか。
うーん、なんだろう?
辛みがあるってことは、やっぱりアブラナ科になるのかな?
画像をよおく見直したら、確かに葉も根っこも からし菜のように見えます。
セリじゃあないですね。
ただ、からし菜ってロゼッタ状に育って、
こんなに密集して葉や茎が出ないんですよね。
葉ダイコンにも見えなくもない。
謎だ。
セリを見たことがなかったということで、ぜひ食べてもらいたいです。
今じゃ七草粥の具としか認識されていませんが、
けっこう万能野菜で、おひたしや炒め物にしても美味しいですし、
なによりも すき焼きの具にするとすごく美味ですよ。