新型コロナウイルスにより、一年以上も続く自粛生活。
度重なる緊急事態宣言、そしてまん延防止等重点措置。
その自粛期間が、ようやくというか半ば強引というか、
明けたのをいいことに、今年になって初めて映画を観に行った。
駒井蓮主演のドラマ、“いとみち”だ。
原作は越谷オサム氏の同タイトルの小説。
キャッチコピーは、“わぁ、三味線弾ぐ”。
“わぁ”は感嘆符ではなく、津軽弁で「わたし」。
つまり標準語に直すと、「わたし、三味線弾く」となる。
たぶん・・・。
当初、公開前からずっと観ると決めていた、
ガンダムの映画、“閃光のハサウェイ”を観る予定だったが、
劇場のサイトで他の上映作品をチェックしていたら、
あらすじで面白そうな映画を発見。
“激しい津軽弁なまりでみんなから笑われ、人見知りで友人もいない~”
“ひょんなことからメイドカフェのアルバイト募集をみつけ、
電車を乗り継ぎ、板柳町から大都会、青森市へ~”
なんだこれ!
全文は読まなかったが、数行読んだだけで観たくなった!
主演は知らない女優さんの名前。
共演者でも判るのは、豊川悦司と宇野祥平、黒川芽以、そして古坂大魔王!
トヨエツ出てるのかよ!
てか、ピコ太郎・・・何の役だよ!
上映が今月15日までとなっていたので、
これは閃光のハサウェイよりも優先すべきだと思い鑑賞にのぞんだ。
弘前の高校に通う、相馬いと(駒井蓮)は、
この世代には珍しく津軽弁なまりがひどい。
授業の音読では、そのなまりでクラスメートから笑われる。
なまりのせいもあり、人見知りで人と話すことが苦手ないと。
友達もおらず、自分が何をやりたいのか、何ができるのかも判らないでいた。
大学で民俗学を研究している父、耕一(豊川悦司)は、
東京出身ながら、津軽弁を研究し、この地に定住している。
耕一は いとに対し、「お前は話すのが苦手だから音で対話しろ。」と、
祖母の津軽三味線を見よう見まねで会得し、
その得意の三味線で自己主張することを促すのだが、
弾いているときの姿がかっこ悪いからと、弾くのをやめて久しかった。
三味線を弾く際にできる爪先の溝(糸道)もすっかり無くなっていた。
幼い頃に母親を亡くし、
父と祖母のハツヱ(西川洋子)との3人暮らし。
学校では友達もいない。
話すのが苦手で感情が出せず、自己主張もできない。
母親がいないのを哀れられるのが嫌で、いつしか泣くことすら忘れた。
自分を変えたいと思いつつ、きっかけもない。
そんなとき、なんとなくいじっていたスマフォ。
「知りてえことがなにもねじゃ・・・。」
そうつぶやくと、スマフォの音声検索で見当違いの検索結果が表示される。
なぜか求人サイトが出てきて、そのなかに時給の高いアルバイトを発見。
青森市のメイドカフェ・・・。
うっかりダイヤルしてしまい、そのままアルバイトに応募してしまう。
電車を乗り継ぎ、やってきた大都会、青森市。
道に迷いつつ、たどり着いた雑居ビルの一室。
東京からUターンしてきた生真面目な店長、工藤(中島歩)、
実際は10歳の子を持つシングルマザー、
だけど「永遠の22歳」がキャッチフレーズのメイド、幸子(黒川芽以)、
東京で漫画家デビューを夢見る(自称)エースメイドの智美(横田真悠)、
個性豊かな面々のなか、人見知りでなまりの激しい いとが、
津軽メイド珈琲店で、メイドとしてデビューする。
憧れだった、かわいいメイド衣装を身に着け、
心躍らすものの、慣れないことばかりで前途多難。
メイドの使うなまりのない標準語。
お客が喜ぶようなかわいらしい表情と所作。
客もいろいろ。
ときにお尻を触られてしまったり、
自責ばかりで自己主張のない いとの性格を厳しく指摘されたり、
それでもいとは、なにかやりがいを感じ、
メイドカフェでのアルバイトをずっと続けたいと思っていた。
そんなとき、津軽メイド珈琲店に存続の危機が訪れる。
それをきっかけに、いとにメイドカフェを辞めるよう告げる耕一。
元々メイドカフェに良いイメージを抱いていなかった耕一といとは衝突する。
客がまったく来なくなり、あきらめムードの店長や先輩メイドたち。
そこへ三味線を抱えたいとがやってくる。
「わあ、幸子さんど智美さんど店長さんど、ずっと一緒に働きてえです!」
「まんだいっぺえお客さんさ来てもらいてえんです!」
「だばんで、この店で三味線弾がせでください!」
いとの必死のうったえに、幸子や智美も工藤にうったえる。
工藤も、抑えていた思いを吐露する。
―― 果たして、津軽メイド珈琲店は、起死回生の復活ができるのか・・・?!
まあまあ、おもしろかった。
最初は面食らった。
これは何言ってるかわがんね!
東北・・・というか青森県以外じゃ字幕要るだろレベル。
だけど不思議と、だんだんと解ってくる。
いや、細かいとこはそれでも解らない。
でもニュアンスでどうとでもなる。
字幕があるとかえって邪魔だろう。
逆に考えると自分がふだんしゃべっている九州弁も、
それ以外の地域の人からすれば、異国語のように聞こえているのかもしれない。
同じ九州でもジイちゃんのどぎつい長崎弁や、ネイティブなかごんま弁は解らんもん。
主演のいとを演じた、駒井蓮ちゃんがかわいかった。
いや、劇中、ほとんど無表情で不愛想なので、かわいいという表現は似つかわしくない。
だけど、その境遇や性格からくる、不器用ないとが愛おしくてかわいい。
駒井蓮ちゃんがふだんどういう女優さんなのか判らないけれど、
あまりはっちゃけた感じでなく、クールであってほしい。
自身も青森県出身らしく、ネイティブな津軽弁も三味線も、短期間でマスターしたらしい。
しかし化粧っけがまったくなかった。
いくら田舎の高校生といえど、メイド喫茶で働くのだから、
メイドさんのシーンはさすがにメイクするだろうと思っていたが、
最後まであか抜けないすっぴんのまま。
ふつう先輩メイドさん達がメイク指導するだろ!って思ったのだが、
そこはいとの役柄を重んじて、あか抜けないまますっぴんのままで通したのかな?
トヨエツ。
演技はもう言うことない。
むさくるしい怪しいおっさんやらせたら間違いない。
原作では耕一も青森人らしいのだが、配役が豊川悦司に決まり、
監督が東京出身だという設定にしたのだとか。
いととの喧嘩後、突然メイド珈琲店に現れた耕一。
いとが自らコーヒーを挽き、耕一にメニューを運んだ。
耕一は食べ終えたアップルパイの皿に、「め」とだけ書いて店を出ていくのだが、
それの意味が解らなかったのだが、「うめえ」
つまり、「おいし(かった)」って意味だったのかな?
「け」が、「食え」つまろ「食べろ」って意味なので、自信ある。
しかし一文字で会話できる津軽弁って、
今の若者がラインなんかで使う、「り」とか「け」や「ま?」なんかの先駆けじゃ・・・!
祖母ハツヱ役の、西川洋子さん。
いや、西川洋子氏とするべきかな。
この方は役者さんではなく、青森在住の本物の津軽三味線奏者。
なんでも人間国宝級だった奏者の方の最初の弟子だそう。
女性の奏者では先駆けらしい。
実際、駒井蓮ちゃんへの指導も行ったようで、
味のある演技で強いばっちゃを演じていた。
この方の津軽弁がもっとも聞き取れなかったが、ニュアンスで解るから不思議。
沖縄でおばあをやらせたら右に出る者がいなかった、平良とみさんを彷彿とさせる方だった。
平良とみさんの青森バージョンってとこ。
他のキャストもよかった。
古坂大魔王は、その見てくれどおり、胡散臭いペテン師みたいな役。
青森県出身ってことでキャスティングされたのだろう。
それなら新山千春もキャスティングして欲しかった。
ガチでりんご農園の娘じゃなかったっけ?
もう芸能界引退してんだっけ?
工藤店長役の、中島歩。
最初みたとき、佐藤隆太!?と思った。
いや、佐藤隆太にしては若いし、あの特徴的な泣きボクロがない。
生真面目で芯が強いけれど、少し気弱に見える。
そんな一見頼りなさそうな店長をうまく演じていた。
メイド珈琲店のお母さんみたいな、幸子役の黒川芽以。
年増のメイドみたくイジられていたが、全然イケる。
というか3人のメイドさんのなかで一番好み。
最終的にいとが涙を取り戻すのは幸子のおかげだったかも。
あの特製アップルパイもうまそうだった。
智美役の横田真悠。
どこぞのアイドルグループに所属してそうな顔立ちの子。
知らないひとだったが、モデルさんで女優さんとしても活躍している方。
若さで幸子とぶつかるが、なかなかいいコンビだった。
そのルックスから想像できないが、漫画家志望って設定がいい。
いや、そんなこというと女性の漫画家さんに失礼だな。
どうしてもジャイ子のイメージがね・・・。
宇野祥平以外は名前を存じなかったが、常連客の面々も個性あってよかった。
あと、青森のご当地アイドル達が数名出演していたらしい。
その辺くわしくないので誰がどれなのかは判らなかったが、
いとと初めて友達になる、早苗役の子は、
りんご娘ってグループの、ジョナゴールドちゃんらしい。
りんご娘って前に何度かテレビで観た記憶がある。
王林ちゃんって子がすごいなまりでしゃべってたのが記憶にある。
それぞれりんごの品種名だろうが、それにしても、ジョナゴールドって・・・。
そのジョナゴールドちゃん演じる早苗がいつも聴いているのが人間椅子!
今どきの女子高生が人間椅子なんて聴くかよ!
なんて突っ込んだが、人間椅子が弘前市出身ってことなので、
もしかしたら地元の学生は今の子たちでも聴いているのかもしれない。
しかし、自分が中学の頃、イカ天で初めて人間椅子を見たときの衝撃ったらなかった。
ギターだったかベースだったか、ネズミ男のコスプレしてたから、完全にイロモノバンドだった。
鑑賞帰りにアップルパイを買う。
ケーキ店に寄るのがおっくうで、ヤマザキのアップルパイにした。
もちろんシナモンたっぷりかけて。
それと、メイドのコスチュームがかわいくない。
というかダサい。
青森ってことで、秋葉原なんかのそれと差別化して、
わざとそういうデザインにしたのか?
なんて思ったが、昨今の過剰なジェンダー問題が起因するつまらない理由だった。
監督が女性だったので、より敏感にその辺に気を配ったようだ。
福岡の製パンメーカー、リョーユーパンが、
「九州メイド」ってシリーズの商品パッケージに、
かわいらしいメイドさんのキャラクターを描いていたのだが、
一年も経たないうちに「九州づくり」に名称変更したあげく、
あの人気だったメイドさんキャラも忽然とパッケージから消えてしまった。
もしかしたら同じような理由で黒歴史扱いされ、変更されたのかもしれない。
福岡の製パンメーカー、リョーユーパンから、
昨年はじめ頃から秋くらいまで展開されていた、“九州メイド”シリーズ。
パッケージに描かれた、かわいらしいメイドさんが目を引いた。
九州産の素材を用いて作られたシリーズというこで、九州メイド。
メイドさんとは意味が異なるけれど、
同音をかけてメイドさんのキャラクターが描かれていた。
スタッフロールで、メイド指導:hitomiって出たんだけど、
まさかあのhitomiじゃあないよね?
そう思い調べてみたら、秋葉原のレジェンドメイドだとか。
よかった、あのクールビューティのhitomiがメイドだなんて想像できないもの・・・。
劇中に登場した幸子のアップルパイもさることながら、
ばっちゃが、いとや耕一に差し出していた、
四角い二連の保存食のような、謎の食べ物が気になった。
なんでも干し餅らしいのだが、いとが口にしたとき、
“パリッ”って、せんべいみたいな音がしていたし、
どんなもんなのか食べてみたいと思った。
久しぶりに映画館で映画鑑賞して満足。
まあまあ面白い映画でよかった。
次は閃光のハサウェイだ。
エヴァンゲリオンに巻き返されてしまったし、
竜とそばかすの姫なんかの公開も間近に控えているし、
ぼやぼやしていたら公開終了してしまいそうだ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます